歌への苦手意識から解放された瞬間がある――鈴木拡樹×三浦宏規の“初”音楽談義

2.5次元舞台の黎明期からトップランナーとして走り続ける鈴木拡樹と、ミュージカル『刀剣乱舞』などで注目され、『レ・ミゼラブル』のマリウス役に抜擢されるなど伸び盛りの三浦宏規。2020年のミュージカル『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』で、そんな“Wヒロキ”の主演が実現した。

この日がほぼ初顔合わせだったが、「小さい頃ピアノを習っていた」「カラオケが苦手」など音楽談義で共通点も見つかり、ふたりの距離は少しずつ近づいていく。

多くの役者仲間から慕われる鈴木の包容力と、物怖じしない三浦のチャーミングな笑顔で、終始ほっこりした対談となった。

撮影/川野結李歌 取材・文/鈴木 幸 制作/アンファン
スタイリング/岡本健太郎 ヘアメイク/AKI【鈴木】、横山裕司(Lomalia)【三浦】

「仏のような人」とは聞いていたけど、本当に仏でした(笑)

本日、おふたりはほぼ初対面と聞きました。会う前のお互いの印象はいかがでしたか?
鈴木 三浦くんはミュージカル『レ・ミゼラブル』にも出演していますし、それを知ったときからスゴいなあと思っていました。僕は本格的なミュージカルは経験したことがなかったので、2.5次元から本格ミュージカルに出演している役者さんがいるんだな、と。

三浦くんの出演作は拝見したことがないのですが、やっぱりダンスがスゴいと聞いていて。『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』ではダンスシーンは多くはないと思うので、そこは少し残念なのですが…。
三浦 僕は鈴木さんと直接面識はなかったのですが、共演者には鈴木さんのことをよく知っている方がたくさんいるんです。Wキャストに決まったあと、その方々に「鈴木さんってどんな方ですか?」と聞くと、みなさん口をそろえて「本当に仏だよ」とおっしゃっていて。もはや聞く前から「仏だよ」と言う方もいるくらい(笑)。
鈴木さんの“仏っぷり”を感じた点はありましたか?
三浦 そうですね…こんな年下の後輩にも「気を遣わないでね」と対等に接してくださるのは、後輩の僕からすると本当にありがたいことで、やっぱり仏なんだなあと思いました。
鈴木 ありがとうございます。
三浦さんは、いつか鈴木さんと共演したいと思っていましたか?
三浦 はい! もちろん思っていました。僕は以前、『ぼく明日』(恋を読む『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』)という朗読劇で鈴木さんと同じ役をやらせていただいたときに、鈴木さんの回を拝見したことがあったんです。
鈴木 そうだったんだ!
三浦 僕のなかの鈴木さんは、舞台『刀剣乱舞』の三日月宗近のイメージが強かったので、『ぼく明日』の南山高寿のような芝居もされる振り幅に驚いた印象があります。でも、そのときは朗読劇だったので、身体を使ったお芝居はまだ拝見したことがなくて。だから、今回ようやく鈴木さんのお芝居を観られるのが楽しみなんです。ただ、今回はWキャストなので、共演ではないんですよね。
鈴木 板の上で一緒にやれることはないんだよね。でも、みんなで同じものを作り上げたという実感は欲しくて。だからこそ、お互い稽古場で切磋琢磨するなかで、どういう居方ができるのかが勝負になってくると思います。

三浦くんは僕が今まで経験してこなかったミュージカルのステージを踏んでいるので、先輩後輩関係なく、現場で疑問に思ったことは三浦くんに質問しようと思っていて。そういうコミュニケーションが間柄を深めてくれると思いますし。だから、僕から質問するだけでなく、三浦くんからも質問してもらえるような存在でいたいですね。
三浦 今のお言葉を聞いて、本当に仏なんだなあと思いましたし、鈴木さんにそう言っていただけると、僕はすごく気持ちが楽になる部分があって。鈴木さんとWキャストとして出演できることがまずうれしいので、わからないことがあれば僕からも質問していきたいです!
三浦さんは、鈴木拡樹さんとWキャストだと知ったときは、どんな心境でしたか?
三浦 最初はビックリしましたね。まさか!って。タイプもあまり似ていないかなと思っていたので、同じ役でお仕事をいただくとは。誰も想像がつかなかったと思います。じつは似ているところがあるのかもしれないですけど、まだわからないです。
鈴木 似ているところ、探したいですね。
鈴木さんは劇団☆新感線『髑髏城の七人』Season月<下弦の月>の天魔王役でWキャスト、三浦さんは『レ・ミゼラブル』のマリウス役でトリプルキャストを経験されていますね。それぞれ、どのような意識で稽古に臨まれていたのでしょうか?
三浦 僕の場合は、同じマリウス役の方々と共通認識を持っていたいので、稽古場ではなるべく一緒にいるようにしていました。同じ役を演じる方々とは、共演者とはまた違う絆が生まれるんです。ただ、本番が始まったら一度も会わなくなってしまうのが少し寂しかったですね。
鈴木 僕がWキャストで難しいと思ったのは、「向こうがこうしているから自分はそれをしない」ということを考えてしまうと、うまくいかなかったりするところですね。たとえ同じ方向性の芝居でも、演じる人間が違えば確実に違う芝居になると思うので、Wキャストの方の芝居を観て素敵だなと思ったものは取り入れてみるべきだと思っています。

とはいえ、やっぱり自分の芝居プランを通していきたい部分もあるので、その線引きは非常に難しいなあと思いますね。相手を観れば観るほど、「あれもいいなあ、これもいいなあ」と思ってしまうので。
引っ張られてしまう部分もあるんですね。
鈴木 そうですね。あとWキャストだと、稽古場で先にやる人と、あとからやる人がいるじゃないですか。これも人によりけりで、先にやったほうが楽だという人もいれば、あとのほうがいいという人もいて。三浦くんはどっち派?
三浦 僕の場合、マリウスはトリプルキャストだったので順番はバラバラでしたが、基本的には先輩方が僕を先に送り出してくださって、最初にやらせていただくことが多かったです。
鈴木 そうだったんだ。
三浦 最初は、「え、僕からいくんですか?」と思ったんですけど、何も染まっていない状態で演じて自分がどう感じるかがいちばん大事な時期だったと思うので、今思えばすごくありがたかったですね。
鈴木 僕は、『髑髏城の七人』のときはあとからやるほうでした。だから、相手の芝居を観ながら考えを膨らませていく、というやり方に慣れていて。ただ、それで固定してしまってもつまらないので、(三浦さんに)たまにじゃんけんで決めたりする?(笑)
三浦 いいですね(笑)。

歌には苦手意識があったが、“義務感”が“興味”に変わった

鈴木さんは数々の舞台で主演を務めていらっしゃいますが、今回、本格的なミュージカルに初挑戦にして主演。出演が決まったときのお気持ちは?
鈴木 もちろん不安もありましたが、事務所スタッフや制作スタッフの方々が全力でサポートしてくださるとのことでしたので、そのなかでやらせていただけるのであれば僕も精一杯がんばります、と前向きな気持ちで受けさせていただきました。
三浦さんはシアタークリエで初めて主演されますね。
三浦 そうですね。シアタークリエに立つのは初めてですが、今まで客席からいろいろな作品を観させていただいて、本当に素敵な劇場だと思っていたんです。まさか自分が主演という形で立てるとは思っていませんでした。主演のプレッシャーもありますが、鈴木さんの背中を見て、精一杯がんばりたいと思います。
鈴木 今回は、僕がすごく見ていると思います。
三浦 いやいや…。
鈴木 僕は初挑戦なので、気持ちとしては“戦う”つもりで立っているのですが、『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』は楽しい作品なので、今回は“楽しい”をテーマにしたいと思っています。

今は緊張もあって構えたスタンスですが、本番に向けて“楽しい”気持ちだけで舞台に立てるように臨みたいなと。
鈴木さんは個人での歌稽古が始まっているそうですが、手ごたえはいかがですか?
鈴木 意識の問題なのですが、歌うことがすごく楽しくなってきまして。このまま稽古へ突入するにあたって、自分で描いていた、いちばんいい状態にもっていけているかなと思っています。
11月13日のTwitterで鈴木さんが「最近一番の変化は、歌うことを楽しめるようになってきた事ですね」と投稿されていました。もともと歌には苦手意識があったのでしょうか…?
鈴木 苦手意識がありましたし、なんなら堂々と「苦手だ」とずっと言っていたんですよ。でも、ミュージカル出演が決まったからにはもう苦手とは言えないと思いましたし、言ってる場合じゃないな、と。そういうこともあって、正直、自分のなかで歌うことを楽しめるか不安だったんです。

でも、ミュージカルの第一線で活躍されているみなさまと稽古でご一緒するにあたり、現場でより多くを吸収するためにも、本格的な稽古が始まる前にどうしても苦手意識をクリアしておきたかった自分がいて。

やっぱり、最初はガチガチに固まった状態でレッスンを受けていました。ただ、そのなかで「あ、今、気持ちが変わってきたな」と思った瞬間があって、そのおかげですごく安堵の気持ちになれたんです。

その心境の変化があってからは、「今回学んだこれを次の稽古で生かしてみよう」といろいろ楽しく考えられるようになって。もう今は、歌稽古へ行くときの足どりの軽さが前と全然違います。傍から見たら、「いや、そのステップかよ!」ってびっくりするくらい軽快なステップで(笑)。それくらい、僕にとっては大きな変化だったんです。
何かブレイクスルーするきっかけがあったのですか? 歌唱指導の先生からヒントをもらったり…。
鈴木 先生はとても長い目で見てくださっていて、すごくありがたいです。でも、具体的に何がきっかけになったかはわからなくて。ただ、変化した中身はわかるんです。それは、「やらなきゃ」という“義務感”から“興味”に変わった瞬間なんですよ。
三浦 ああ〜!
鈴木 どのタイミングでそう感じられたのかはわからないけど、ひとつずつクリアしていくうちに、「あ、ここもできるようになったな」とか「徐々に理解できるようになってきたな」という実感が増えてきて、意識せずとも自分の感情と歌詞がリンクし始めたんです。

そこから、「ああ、こういうことなんだ。だとしたら、歌うのって気持ちいいな」と気づくことができました。
三浦さんはバレエからキャリアをスタートされて、歌を勉強されて。今の鈴木さんのお気持ちがわかるところがあるのでは?
三浦 わかります。僕もこれというきっかけはなかったんですけど、やっていくうちに、とても苦手だった歌が「あれ、楽しいな?」に変わっていって。まさに今おっしゃったとおり、自分の感情とリンクした瞬間があったんでしょうね。

それと、「何かを伝えるという意味では、ダンスも歌も変わらないんだ」と思ったときがあって。そう気づいたときに、歌が好きになっていましたね。
今年『レ・ミゼラブル』を経験して、反省点や次への課題が見つかりましたか?
三浦 課題しかないです。ひとつの課題をクリアしたら次の課題が出てきて、また次…って…。それをどんどんクリアしないとうまくなっていかないし、今までのテクニックだけではダメなので、難しいところなんですけれども。もう、課題まみれですね。

幼少期にピアノ。カラオケは歌わない。意外な共通点

おふたりはもともと、たとえば楽器を弾いたり、カラオケで歌ったり、音楽には親しんでいたのでしょうか?
鈴木 まさにそこが苦手意識のいちばんの原因だったと思っているんですけど、僕、普段からあまり音楽を聴かないんですよね。でも思い返してみたら、3歳くらいから、姉がやっていたからという理由でピアノを習っていたんですよ。小学校の途中までは続けていたと思うんですけど、まったくモノになっていなくて、今思うと悔しいですね。
三浦 え、僕もまったく同じです! 母がピアノの先生だったので習っていたんですけど、親が先生だと反抗しちゃって…。僕も小学校の途中まで続けたんですが、母に反抗してやめてしまいました。今は何も弾けないんです。
鈴木 ここで意外な共通点が。
三浦 僕にとっては、(好きになったのは)ピアノじゃなくてダンスだったんですよね。小さい頃に、映画の『リトル・ダンサー』を父と一緒に観に行ったりして。よく覚えています。あと『ウエスト・サイド・ストーリー』とかも観て、ダンスを真似したりしていました。それで、できもしないのに「簡単だなあ」とか言っていたんですよ(笑)。
そうだったんですね。おふたりは、カラオケなどは行かないんですか?
鈴木 行かないです。
三浦 僕も、カラオケは行かないですね。
舞台の打ち上げなどで行くことは?
鈴木 「行こうよ」って誘われたら行きますよ。行きますけど、マイクを持つのは拒否するタイプです(笑)。聴いてるのはすごく好きなんですけどね。
三浦 僕、打ち上げにあまり行かないんですよ。とくに二次会とかには…カラオケって二次会が多いですよね? 二次会は行かないです。
鈴木 どうしても1曲歌えって言われたら何歌う? そういうのある? 俺、それがなくて困っちゃうの。
三浦 僕もないです。どうしようかな…、「今、ちょっと喉痛いんで」って言うと思います。…いや、でももう断れないときですよね? 何歌うんだろ?
鈴木 いつも困るんだよね。決めるのに時間がかかるのも周りに悪いし。まあ、あれでもないこれでもないって迷ったところで、知ってる曲がないからどうせ出ないんだけど。
三浦 ないですよね。
鈴木&三浦 (笑)。
ここでも共通点が見つかりましたね。
鈴木 共通点、出てきましたね。まさかの音楽の話で(笑)。

鈴木拡樹さんも怒ることはありますか?

せっかくふたりが顔をそろえたので、お互いに聞いてみたいことはありますか?
三浦 えーっと…、“仏”とうかがっているんですけれども。
鈴木 はい、実際は違うんですけれども(笑)。
三浦 怒ることはありますか?
鈴木 怒ることは…あるのかもしれないですけど、でもたぶん、人に向けて怒るのが苦手なんです。これはお芝居でもそうなんだけど、自分が怒り慣れていなくて、怒るシーンは毎回苦戦する。
三浦 そうなんですね。
鈴木 共感してくださる方もいると思うんですけど、あまり怒らない人って、怒ること自体が苦手なんです。だから、「え、そんなところで怒るの?」みたいに感じるときって、もしかしたら本当は違うところで怒りたかったのに、そのタイミングを逃して変なところで怒っちゃってるんじゃないかなって。僕も近いものを感じるので、たぶんそれだけのことなのかなって。

僕からは、そうですね、三浦くんは本番前の準備って何してる? たとえば発声とか。僕はミュージカルでの準備の仕方がわからなくて、どういうことをやってるのか聞いてみたい。
三浦 僕もまだ手探りなんですけど、人によってぜんぜん違うんですよ。発声だったら、「あーあーあー」としっかりやる方もいれば、「ん〜ん〜ん〜」と喉を使わないハミングだけで温めている方もいますし、まったく何もしない方もいます。僕もまだ、何が自分に合っているのかわからないんです。
鈴木 合う、合わないがあるもんね。
三浦 だから、今は全部ためしてみています。しっかり発声をやってから出る日もあれば、まったくやらない日もあって。
鈴木 違いを確かめてるんだ?
三浦 そうなんです。まだ探っていて、自分のベストを見つけていきたいなと思ってるんですよね。
鈴木 僕もこれから探ることになるだろうから、まずはみなさんに聞いてみようと思っていたんですよ。
三浦 でも拡樹さん、喉がすごく強いとうかがっていて。
鈴木 叫ぶ役が多かった時期もあったんだよね。
三浦 それがスゴいと思います。舞台って、やっぱり喉の強さが大事ですよね。ロングランになればなるほど。
鈴木 今回も長いですからね。
三浦 勉強させていただきます。
鈴木 いやいや(笑)。

頼りがいがなくて情けないシーモアは、初めての役どころ

おふたりとも、『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』の映画版はご覧になっていますか?
三浦 はい、観ました。
鈴木 僕も観ました。出演のお話をいただいてから初めてこの作品を知ったのですが、そこからいろいろ調べていくと、本国(アメリカ)でも長く愛されていて、根強いファンがいらっしゃることを知って。「ホラー」とついているから怖い作品なのかな…と思いきや、その予想にうまく裏切られるんですよね。そんなところが魅力なのかなと思います。

あと、主人公シーモアの純粋さが、観ていて心地いいですよね。シーモアの人柄に惹かれる作品ファンの方も多いんじゃないかなって。
心優しいけれどドジで、どこか頼りない、ちょっとダサいところがかわいい青年ですよね。
三浦 そうですね、シーモアにすごく感情移入できるし、登場人物の個性があまりにも強くて、そこが観ていておもしろいですよね。とくにオリンっていう…歯医者が出てくるんですけど、あの人スゴいじゃないですか(笑)。こんなにみんなの個性が際立っていて、何回観ても飽きない。
鈴木 僕も映画を観てて、まさにオリンの登場シーンで笑ってしまいました(笑)。強烈なインパクトですよね。

あと僕、雑にやることで生まれる笑いっていうのもちょっと好きなところで。この作品には、“オードリーII”という名前の、人に近い感情を持つ植物が出てくるんですけど、序盤でシーモアがオードリーIIを買いに行くシーンがあるんですね。その説明があまりにもざっくりしすぎちゃってて(笑)。あれは、僕のなかではツボでした。
宣伝ビジュアル撮影はいかがでしたか?
鈴木 カメラ前の立ち位置についたら、「今からオードリーIIが服を引っ張るので、引っ張られてください」と指示を受けまして。突然のことだったので最初は動揺しましたが(笑)、楽しく撮影に臨めたと思います。たくさん撮ったので、このカットはいろいろな動きや表情をしたなかの1枚ですね。
三浦 シーモアらしく、衣裳のベストの丈が短いんです。普段そういった衣裳はあまり着ないので、丈の短さは新鮮でしたね(笑)。

でもじつは僕、撮影に苦戦してしまったんです。自分的にはすごく情けない顔をしたつもりだったんですけど、情けなさがあまり出ていなかったみたいで。そうやって苦戦しながら撮影したうちの1枚です(笑)。
おふたりはさまざまな2.5次元舞台に出演されて、自転車に乗ったり、テニスをしたり、カッコいい役が多かったと思います。今回のシーモアは、おふたりにとってめずらしい役どころなのでは?
鈴木 僕は自転車に乗っていたほうのヒロキなんですけど(笑)、たしかにシーモアのような役はめずらしくはありますが、かといってクールな役ばかり演じてきたわけではないので、正直、今回は「カッコいいイメージでいてほしい」というプレッシャーがないぶん、いつもより気持ちはラクなんです。

シーモアの魅力って噛みしめて味わうタイプのものだと思うので、何度も咀嚼するように観ていただけたらと思いますし、そういうふうに演じていきたいですね。
三浦 僕はラケットを振っていたほうのヒロキですが(笑)、おっしゃるとおり、僕にとっては、頼りがいがなくて情けないシーモアは初めての役どころなんです。

キメキメな俺様や、物忘れが激しいほんわかした役の印象が強いと思うのですが、僕自身は決して普段からキメキメではなくて、どちらかと言えばシーモアのほうが僕自身に近いかな。

なので、シーモアみたいな役のほうが演じやすいのかなと思いますし、昔からおっちょこちょいだと言われて育ってきたので、冒頭の植木鉢を割るシーンはうまくできるんじゃないかなと(笑)。
鈴木さんは、シーモアに共感できるところはありますか?
鈴木 近いところはあると思います。シーモアって周りに振り回されることが多いと思うんですが、僕もわりと人の言うことを真に受けちゃうタイプなので(笑)。オードリーIIみたいなタイプにそそのかされたら、もしかしたら同じ結末をたどっているんじゃないか…と容易に想像できますね。
お互いにシーモアらしさを感じるところは?
鈴木 どうなんでしょう? 稽古が始まったらそう感じるタイミングも増えるかもしれないですけど、今はもう、ただただ(三浦さんは)カッコいいとしか…(笑)。
三浦 僕も同じくです(笑)。

プレッシャーより使命感。いい舞台にする覚悟は決まっている

のちにディズニーで『リトル・マーメイド』や『美女と野獣』を生み出した名コンビ、ハワード・アシュマン&アラン・メンケンの楽曲も素晴らしいですね。
三浦 とにかく楽曲が素敵ですよね。普段なら1回聴いただけではなかなか覚えられないんですが、『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』は耳に残る曲がたくさんあって、気づいたら口ずさんでいるんです。
お気に入りの曲はありますか?
鈴木 選ぶのが難しいですけど、いちばん好きなのは『Grow For Me』です。シーモアがオードリーIIに対して、どうやったら成長してくれるのか考えているシーンで歌うんです。実際に歌っていてすごく楽しいし、歌詞にシーモアの苦悩が表れていて。
三浦 僕は、シーモアとオードリーIIが掛け合う『Suppertime』という曲。植物と人間の歌の掛け合いってすごくおもしろいですし、ハモリも素敵なんです。オードリーIIの声はデーモン閣下が演じられるんですけど、閣下とハモれるなんて、なかなかできることじゃないですよね。
鈴木 もう、この曲では閣下にぶつかっていくしかないよね。そういうシーンでもありますし、見どころのひとつになると思います。
シーモアが恋するヒロイン・オードリー役は、元宝塚トップ娘役の妃海 風さんと、乃木坂46の井上小百合さんのWキャストです。『Suddenly, Seymour』という、ヒロインと掛け合う曲も印象的です。
鈴木 メインテーマと同じくらい印象深い曲ですよね。今はまだ、歌稽古でこの曲になると「あ、来た!」と構えてしまう自分がいます。そういう感覚なく歌えるようになるといいなと思っていますし、それくらい重要な曲ですね。
本格ミュージカルで初主演、しかも“Wヒロキ”への注目度の高さを、こうして取材を受けたりして実感している最中だと思うのですが、プレッシャーも感じますか…?
鈴木 根強い人気のある作品だと聞いていましたし、それ相応の覚悟はしていましたけど、僕のなかではちょっとだけ、プレッシャーより使命感のほうが勝っていますね。先ほど、今回は“楽しい”をテーマにしたいとお話したとおり、劇場を“楽しい”に満ち溢れた空間にしたいと思っていますし、もっとみなさんにこの作品を知ってほしい思いのほうが強いです。

そして、僕が出演させていただくことで、これまでミュージカルに触れたことがない方や、ミュージカルを観てみたいけど敷居が高そうで一歩踏み出せずにいた方にも、ぜひ観ていただきたいと思います。

僕もミュージカル初挑戦、みなさんと近い立ち位置にいると思いますので、僕と一緒に踏み出してみませんか?という気持ちです。
三浦さんはいかがですか?
三浦 注目していただくのはすごくありがたいですし、うれしいことですよね。でもじつは注目度とかは、そんなに気にしていないというか…あまり気にならないタイプなのかもしれません。ありがとうございます、という思いだけで。

やっぱり、いい舞台にする!ということがいちばんなので、プレッシャーを感じすぎちゃうと…。
鈴木 鼓舞していかないとね。
三浦 はい、自分自身で。意外とプレッシャーがかかると構えてしまうので。そうならないように、自分で「大丈夫。いい舞台を作るぞ」という気持ちだけでやっていけたらと思います。
鈴木拡樹(すずき・ひろき)
1985年6月4日生まれ。大阪府出身。AB型。2007年、ドラマ『風魔の小次郎』で俳優デビュー。2009年には『仮面ライダーディケイド』で剣立カズマ/仮面ライダーブレイドを演じる。舞台では、『弱虫ペダル』シリーズ、『刀剣乱舞』シリーズなど次々と話題作に出演。主な出演作に、劇団☆新感線『髑髏城の七人』Season月<下弦の月>、『No.9 −不滅の旋律−』、ドラマ『カフカの東京絶望日記』など。2020年1月よりWOWOWにて、MCを務める『2.5次元男子推しTV』のSeason4が放送予定。
三浦宏規(みうら・ひろき)
1999年3月24日生まれ。三重県出身。A型。5歳よりクラシックバレエを始め、『第22回全国バレエコンクールin Nagoya』男子ジュニアA部門第1位、『第18回NBA全国バレエコンクール』コンテンポラリー部門第3位の成績を収める。ミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズンで注目を集め、2.5次元舞台を中心に活躍。主な出演作に、ミュージカル『刀剣乱舞』、『レ・ミゼラブル』など。2020年6月よりミュージカル『ヘアスプレー』に出演予定。

出演作品

ミュージカル『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』
[東京公演]2020年3月13日(金)〜4月1日(水)日比谷シアタークリエ
[山形公演]2020年4月11日(土)・12日(日)山形市民会館
[愛知公演]2020年4月14日(火)〜16日(木)日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
[静岡公演]2020年4月18日(土)清水市文化会館マリナート
[大阪公演]2020年4月20日(月)〜27日(月)新歌舞伎座
https://www.tohostage.com/little-shop-of-horrors/

脚本・歌詞:ハワード・アシュマン
音楽:アラン・メンケン
翻訳・訳詞・演出:上田一豪
出演:鈴木拡樹/三浦宏規(Wキャスト)、妃海 風/井上小百合(乃木坂46)(Wキャスト)、岸 祐二、石井一孝、デーモン閣下(声) ほか

サイン入りポラプレゼント

今回インタビューをさせていただいた、鈴木拡樹さん×三浦宏規さんのサイン入りポラを抽選で3名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。

応募方法
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受付期間
2019年12月23日(月)12:00〜12月29日(日)12:00
当選者確定フロー
  • 当選者発表日/1月6日(月)
  • 当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、個人情報の安全な受け渡しのため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
  • 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから1月6日(月)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき1月9日(木)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
キャンペーン規約
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