今年も数多くのGI馬が集結し、豪華なメンバー構成となったが、最大の注目は、やはり「現役最強馬」の
アーモンドアイ(牝4歳)だろう。前走のGI天皇杯・秋(10月27日/東京・芝2000m)でも、2着以下に3馬身差をつける圧勝劇を披露。GI6勝目を飾って、ここでも1番人気が濃厚だ。
そして、過去10年の結果を振り返ってみると、
有馬記念では1番人気が断然の強さを見せていることがわかる。5勝、2着3回、3着1回と、馬券圏内(3着以内)に絡まなかったのは、2015年のわずか1回しかない。
加えて、
アーモンドアイの鞍上を務めるクリストフ・ルメール騎手は、
有馬記念との相性が抜群にいい。過去10年で1勝、2着4回と、連対率5割を誇るのだ。これらデータを踏まえると、
アーモンドアイは限りなく”鉄板”に近いかもしれない。
とはいえ、
有馬記念は波乱も多い。過去10年で8回も、8番人気以上の伏兵が馬券圏内に突っ込んできているからだ。
ならば、今年も穴狙いに徹するのも悪くないだろう。ということで、過去10年の結果を参考にして、今回の
有馬記念で激走しそうな馬を探し出してみたい。
まず狙い目となるのは、「人気落ちのGI馬」である。
2011年に7番人気で2着となったエイシンフラッシュ、2017年に8番人気で2着に入ったクイーンズリング、そして2018年に9番人気で3着入線を果たしたシュヴァルグランらがいい例だ。
ただ、今年はGI馬の出走が多く、その候補となりえる馬がたくさんいる。そこで、他のデータも踏まえて、狙える馬を絞り込んでいきたい。
有馬記念と言えば、人気馬、穴馬にかかわらず、リピーターが多い舞台である。2年連続で穴をあけたトゥザグローリー(2010年=14番人気3着、2011年=9番人気3着)をはじめ、ブエナビスタ(2009年=1番人気2着、2010年=1番人気2着)、オルフェーヴル(2011年=1番人気1着、2013年=1番人気1着)、ゴールドシップ(2012年=1番人気1着、2013年=2番人気3着、2014年=1番人気3着)、ゴールドアクター(2015年=8番人気1着、2016年=3番人気3着)、キタサンブラック(2015年=4番人気3着、2016年=2番人気2着、2017年=1番人気1着)、シュヴァルグラン(2107年=3番人気3着、2018年=9番人気3着)と、枚挙にいとまがない。
そこで、今年浮上するのは、昨年2着のレイデオロ(牡5歳)と、3着のシュヴァルグラン(牡7歳)だ。
ともに、今年は未勝利のため、人気落ちは必至だが、レイデオロは、昨年の有馬記念では1番人気に支持されて、勝ったブラストワンピースとはタイム差なしの2着だった。一昨年のダービー馬で、昨年の天皇賞・秋を制している実力馬が、自らの復活劇によって、引退の花道を飾ってもおかしくない。
シュヴァルグランも、一昨年のGIジャパンC(東京・芝2400m)の覇者で、今春の海外GIドバイシーマクラシック(2着。3月30日/UAE・芝2410m)では、日本馬最先着を果たしている実績馬。過去、ゴールドシップやキタサンブラックが3年連続で馬券圏内に絡んだことを思えば、今年も上位争いを演じる可能性は十分ある。軽視は禁物だ。
続いて、注目したいのが「菊花賞馬」である。
有馬記念では、その年のGI菊花賞(京都・芝3000m)を制した馬が無類の強さを見せている。オルフェーヴル(2011年)、ゴールドシップ(2012年)、そしてサトノダイヤモンド(2016年)が見事な勝利を飾って、キタサンブラック(2015年)も3着と健闘した。
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今年の菊花賞を制したワールドプレミア
こうした例から、今年の菊花賞(10月20日)を制したワールドプレミア(牡3)も外せない。
例に挙げた面々がそうだったように、菊花賞馬となれば、通常は上位人気となるが、今年は冒頭で触れたアーモンドアイをはじめ、他にも人気の実力馬が多数いる。つまり、有馬記念に強い菊花賞馬でありながら、ワールドプレミアは伏兵扱いにとどまりそう。馬券的な妙味からして、オススメの1頭だ。
最後は、少し違った角度から穴馬を発掘してみたい。
冒頭で、ルメール騎手の有馬記念における強さを紹介したが、もうひとり、この舞台に強い「グランプリ男」がいる。池添謙一騎手である。
池添騎手は、昨年のブラストワンピースのほか、2009年のドリームジャーニー、2011年のオルフェーヴル、2013年のオルフェーヴルと、過去10年の有馬記念でなんと4勝も挙げているのだ。
そうなると、侮れないのがフィエールマン(牡4歳)である。
当初、フィエールマンはルメール騎手が騎乗する予定だったが、アーモンドアイの出走により、急きょ池添騎手とのコンビ結成となった。
前走の海外GI凱旋門賞(10月6日/フランス・芝2400m)で12着と惨敗したフィエールマン。鞍上も乗り替わり、上位人気は望めないが、同馬は有馬記念に強い「菊花賞馬(2018年)」でもあり、さらに「グランプリ男」が手綱をとるとなれば、一発があっても不思議ではない。
池添騎手は今秋、GIマイルCS(京都・芝1600m)でもテン乗りのインディチャンプで戴冠を遂げている。大一番に強い男が、ゲンのいいレースで再び大仕事をやってのけるかもしれない。
競馬ファンに限らず、多くの人々が”夢を買う”有馬記念。最高のプレゼントをもたらしてくれる馬が、ここに挙げた4頭の中に、きっといる。