傷つくことがあっても、自分との戦いから逃げない。杉野遥亮、デビュー4年目の「覚醒」

7月に放送されたドラマ『スカム』で連ドラ初主演を飾り、12月公開の映画『羊とオオカミの恋と殺人』で映画初主演を果たす杉野遥亮。CM『洗濯男子』シリーズでは松坂桃李や菅田将暉、賀来賢人、間宮祥太朗らとの微笑ましい姿が話題となり、先日発表された月刊誌『日経トレンディ』の「来年の顔」にも選ばれた。

今年1月のインタビューで掲げた2019年の目標は「猪突猛進」。まさにその通りの活躍を見せた1年に思えたが、本人の口から出たのは意外にも「達成度は50%くらい」という控えめな言葉だった。

この1年で自分のウィークポイントに気付いたという杉野。現場で言われた「今のあなたがいるのはマネージャーと事務所のおかげ」という言葉が、心に重く響いていた。

撮影/祭貴義道 取材・文/李 有眞 制作/iD inc.
スタイリング/伊藤省吾(sitor) ヘアメイク/速水昭仁(CHUUNI inc.)

今はライバルのことよりも、自分の芯を見つめ直す時期

前回のインタビューで2019年の目標を「猪突猛進」と書いていただいたのですが、現時点でどれくらい達成できたと感じていますか?
あの撮影、ちょうど1年前だったんですね。懐かしいです。

目標の達成率は…「猪突猛進」っていう意味だと、50%くらいですかね…。うーん、50%もいってないかもしれないです。
厳しい評価ですね。
当時は、杉野遥亮をもっといろんな人に知ってもらいたいとか、自分自身に勢いをつけるために「猪突猛進」って書いたんです。それはどちらかというと、杉野遥亮の外側の部分を考えていたというか…。

でも客観的にどう見られたいか以前に、まずは内側を固めることが必要だなと気付いて。自分の芯は何なのかと考えたり、自分自身についてもっと知る必要があると思ったんです。
事務所の先輩である松坂桃李さんや菅田将暉さんに「追いつき、追い越さなきゃ」ともおっしゃっていました。アタックZEROのCM『洗濯男子』シリーズではおふたりと共演されていますが、少しは追いつけたという感覚はありますか?
そういうふうには思わないですね。というか、今そういう考え方をしていないかもしれない。目指す対象とかライバルがいるのは大切だとは思うんですけど、やっぱり自分のことをもっと見つめ直さないといけないなと思っているので。ここからは自分との戦いだなと思います。

逆に「追い越さなきゃ」って言えたのは、当時の僕の強さだったんでしょうね。
考え方が変化したきっかけは?
今年はいろんな作品に出会えた年だったんですけど、その中で今の自分に足りないものや、ウィークポイントが見つかりました。
その課題って何でしょう?
…具体的なウィークポイントはあまり言いたくないです(笑)。

ただ、ひとつ言えるのは…2018年は事務所に入って3年目の年で、2019年からはプロとしての自覚を持って活動すると決めていて。そういう意味では、今年が1年目とも言えるのかもしれませんが、どこかまだ人に甘えてしまっている部分があるというか、やるべきことが果たせていないなと思ってしまったんです。

このあいだ、とある人に「今のあなたがいるのは、事務所とマネージャーの力だからね」と言われまして…。僕に発破をかけてくださったんだと思うんですけど、そのときに、どこか言い返せない自分がいることに気付いてしまって。その言葉がけっこう心にグサッときたんです。

日をまたぐ撮影も続き、過酷だった初主演映画の現場

とはいえ今年はドラマ『スカム』で連続ドラマ初主演を務められ、今月公開の映画『羊とオオカミの恋と殺人』では映画初主演を果たすなど、目覚ましい活躍ぶりでした。出演オファーを受けたときは、どう思いましたか?
“初主演”に、そこまで大きな意味を感じてはいませんでした。どちらかというと、現場でどんなふうにいようかとか、自分に何ができるんだろうとか、先のことを想像していました。
作品は、杉野さん演じる自殺志願者の黒須越郎と、殺人鬼の美少女・宮市莉央(演/福原 遥)の恋を描いたラブコメディ。現場で心がけられていたことがあれば教えてください。
これまでに参加した作品でいろんな方々の背中を見てきて、どの現場でも、座長の空気感が現場の雰囲気を作り上げていらっしゃったので、僕も自分なりの空気感というか現場での居方が周囲にいい影響を与えられたらいいなと思っていました。
杉野さんなりの空気感とは?
とくに肩肘を張らずに、どんなことが起きてもフラットに対応できればいいなと考えていました。ただ、実際はそんな余裕はなかったかもしれないです(笑)。
宮市が殺した人々の死体処理を任されている延命寺 玲奈役の江口のりこさんも、今作の撮影は体力的にハードだったとおっしゃっていました。撮影中はどんなところに過酷さを感じましたか?
黒須と宮市さんは家が隣同士という設定で、黒須が壁に空いた穴から宮市さんの生活を覗くんですけど、ひとつの場面でもそれぞれの視点から2回撮影する必要があるんですよね。

同じシーンでも日をまたいで撮影することもありましたし、そのあいだに別のシーンの撮影が入ることもあって。そういうシーンはとくに意識を集中させて取り組みましたが、いつでも同じ芝居に見えるように演じるのは難しかったです。

問題を一緒に乗り越えようとする、その姿に愛を感じた

今作でW主演を務められた福原さんとは、2017年のドラマ『グッドモーニング・コール our campus days』に続き2度目の共演となりました。
今回のような面白い関係性の役でご一緒できたのは本当にありがたいことで、お芝居の面でも人間的な部分でも、お互いに成長したところが発見できて嬉しかったです。
刺激を受けたことはありましたか?
遥ちゃんが持っている空気感がこの作品にとても大きな影響を与えていて、僕が目指す主演の在り方を体現しているのを間近で見ることができたので、すごく刺激をもらいました。

言葉で説明するのは難しいんですけど、遥ちゃんだからこの役を演じられたんだろうなって思わせる力がありました。今作では、宮市さんが殺人鬼であることを知ったうえで交際をスタートさせるという、一見理解しがたい恋愛観が描かれています。監督には「世界の端っこの話」と言われましたが、この世界観を表現できるのは遥ちゃんの天性の才能なのかなと思いました。
黒須と宮市の恋愛は理解されにくい部分があるとおっしゃいましたが、杉野さんはふたりのどんな部分に愛を感じましたか?
彼女が殺人鬼であることでいろんな問題が起きるんですが、それを一緒に乗り越えようとする、その事実が愛なんじゃないですかね。

たぶん宮市さんは自分が殺人鬼であることから、誰かと出会うことをどこかであきらめていたと思うんです。でも、黒須が彼女の心をこじ開けていって、お互いの違いをわかり合おうとする。そんな二人の間には愛しかない、と。
杉野さんご自身の恋愛観もおうかがいしたいのですが、黒須と宮市のように秘密を抱えたまま誰かと付き合うことに共感できますか?
共感することはあまりできないですね。でも、二人の間にある壁を壊していこうとする姿勢には共感できるかな。
ふたりを見て、杉野さんが恋愛において、これだけは譲れないと感じたものは?
黒須と宮市さんみたいに常日頃からずっと一緒っていうのは苦手かもしれないです。自分の時間は欲しいです(キッパリ)。

マイナスな評価にも打ち勝つ自分でいたい

今年も残すところ約1ヶ月ですが、最後に、2020年の抱負を聞かせてもらえますか?
やっぱり自分との戦いというか、今年見つけた弱点を克服していきたいですね。

来年も主演ドラマが放送される予定なのですが、たくさんの方に知ってもらえるようになったからこそ、人から言われて傷つくことも増えるかもしれないなと思っています。でも、何かしらの評価をいただけるのはありがたいことなので、たとえマイナスな評価だったとしても、誰かに何かを言ってもらえることのありがたみを感じながら、それに打ち勝てるような自分でいたいです。
壁にぶつかる瞬間もあるかと思いますが、俳優という職業を楽しんでいますか?
100%楽しいと言い切るのは難しいですけど、自分の存在価値は感じたいし、なるべく感じようとしてやっています。今はこの仕事以外をやるイメージは持てないです。

ただ、プレッシャーっていうのかな、得体の知れない“怖さ”が迫ってきている感覚はありますね。先輩方を見ていると、今自分が想像している以上にいろんな方向から圧がかかってくるんだろうなって思います(笑)。
それは“期待”と捉えることもできますよね。
そうですね。その期待にはぜひ応えたいと思っていますし、「よし、来い!」っていう心持ちでいます。
杉野遥亮(すぎの・ようすけ)
1995年9月18日生まれ。千葉県出身。O型。2015年に雑誌『FINEBOYS』(日之出出版)の専属モデルオーディションでグランプリを獲得。2017年、『キセキ ―あの日のソビト―』で映画デビュー。主な出演作品に、ドラマ『地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子』、『ゼロ 一獲千金ゲーム』(ともに日本テレビ系)、『大恋愛〜僕を忘れる君と』(TBS系)など。映画では、『覆面系ノイズ』、『L❤DK ひとつ屋根の下、「スキ」がふたつ。』など。2019年は映画『居眠り磐音』やドラマ『ミストレス〜女たちの秘密〜』(NHK総合)に出演したほか、ドラマ『スカム』(MBS/TBS)では初主演を果たした。来年1月には主演ドラマ『山本周五郎ドラマ さぶ』(NHK BSプレミアム)が放送予定。

映画情報

映画『羊とオオカミの恋と殺人』
11月29日(金)ロードショー
http://hitsujitookami.com/
©2019『羊とオオカミの恋と殺人』製作委員会 ©裸村/講談社

サイン入りポラプレゼント

今回インタビューをさせていただいた、杉野遥亮さんのサイン入りポラを抽選で1名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。

応募方法
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受付期間
2019年11月26日(火)18:00〜12月2日(月)18:00
当選者確定フロー
  • 当選者発表日/12月3日(火)
  • 当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、個人情報の安全な受け渡しのため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
  • 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから12月3日(火)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき12月6日(金)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
キャンペーン規約
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