2.5次元、ミュージカル、朝ドラ――チャンスをつかみ続ける男・古川雄大の現在。

古川雄大の舞台のキャリアは、20歳のとき、ミュージカル『テニスの王子様』青学4代目・不二周助役からスタートした。

そこから、グランドミュージカルにも活躍の幅を広げ、本人が「めちゃくちゃ苦労して、階段で泣いていました」と振り返る『エリザベート』のルドルフ役に抜擢されたのが20代半ば。その後、『ロミオ&ジュリエット』や『モーツァルト!』などで立て続けに主演を務め、今年は、井上芳雄とWキャストで、『エリザベート』のトート役を約3ヶ月間演じきった。

舞台と並行して、映像作品にも出演。2018年のTVドラマ TBS系日曜劇場『下町ロケット』では、舞台での美しいイメージからかけ離れた悪役っぷりが光った。さらに、2020年春スタートのNHK連続テレビ小説『エール』への出演も決まり、次々とチャンスをつかんでいる。

だが本人はいたって冷静。朝ドラ出演の反響を受けて、「それはがんばらないといけないですね」と、ふわりと微笑む。その深い瞳の奥にはきっと、想像もできない努力と、焦燥と、覚悟があるのだろう。

撮影/平岩 享 取材・文/大原 薫 制作/アンファン
ヘアメイク/平山直樹(wani) スタイリスト/吉野 誠
衣装協力/カーディガン¥100,000(へリル/アンシングス:tel.03-6447-0135)、シャツ¥41,000(トランジット ウオモ/ストックマン:tel.03-3796-6851)、スカーフ¥9,000(パオロ アルビザッティ/パオロ アルビザッティ:tel.050-5218-3859)、パンツ¥40,000(PT01フォワード/PT JAPAN:tel.03-5485-0058)、靴はスタイリスト私物

「ミュージカルの世界」特集一覧

このタイミングで朝ドラに出演できるとは思わなかった

以前、ゴールデンボンバーの歌広場 淳さんが「2018年、心を奪われた10人のイケメン」のひとりに古川さんを挙げていらっしゃいましたよね。
10人の中に選んでいただいたのはとてもうれしかったですし、けっこう反響があったんです。なので、歌広場さんには感謝しかないです。
歌広場さんとお会いしたことはありますか?
『マリー・アントワネット』をご覧になって、楽屋に来てくださったんです。腰が低くて丁寧な方で、そのギャップにちょっとびっくりしました。とても素敵な方です。
朝の情報番組で古川さんの特集が組まれることもあり、そのたびにネットで話題に。2020年4月からのNHK連続テレビ小説『エール』に出演が決定したときも、Twitterでトレンド入りされてましたね。
そうでしたか、それはがんばらないといけないですね。
改めて、朝ドラ出演おめでとうございます。
ありがとうございます。伝統ある朝ドラですし、かなり多くの方がご覧になると思うのですが、正直このタイミングで自分が出演できるとは思わなかったです。もっと映像の経験を積んでからトライさせていただけるものだと思っていたのでびっくりしました。でも、とても素敵な役をいただけて楽しみですし、挑戦だなと思って撮影開始を待っています。
朝ドラ出演が決まって、反響が大きかったんじゃないですか?
僕には「朝ドラ、おめでとう!」とかそういうのはあまりなかったんですけど(笑)、地元で母親が「おめでとう」と言われたみたいです。
二階堂ふみさん演じるヒロイン・関内 音の歌の先生、御手洗 潔を演じます。どんな役柄なんでしょうか?
自分自身が音楽に救われたということが心に大きくあって、だからこそ今度は指導する側に回って才能ある人を支えたい、という思いを持っている人です。個性的なキャラクターで、台本を読んでいると「ああ、こんな演じ方もできるな」、「こういう演じ方も」といろいろなイメージが湧いてきます。
ミュージカルの舞台に立つ古川さんの経験が活かせるのでは?
そうですね。僕は歌やダンスを習っていますが、自分が教える立場にいこうと考えたことはなかったんです。ずっとレッスンを受ける側だったので…。今は「自分が教えるとしたら、どんな感じになるんだろう」と想像しています。
歌の指導をされる先生もいろいろなタイプの方がいらっしゃいますよね。
先生によって全然違いますね。理論で話してくださるけれど言われていることがなかなか理解できない場合もありますし、指示されたとおりに体を動かすだけで、魔法みたいに声が出るようになる教え方をする先生もいらっしゃるんです。説明してもわからないことを、体から作ってくださるんですね。そういう先生にミュージカル出演を始めた早い段階からお世話になることができたのは、ありがたかったなと思います。
古川さんのドラマ出演を振り返ると、『下町ロケット』(2018年)の農林業協同組合の職員・吉井 浩役で、舞台での美しいイメージからかけ離れた悪役をインパクト強く演じていらっしゃいました。同じ事務所の先輩でもある山崎育三郎さんが、ミュージカルからドラマの現場に飛び込んだとき、カルチャーショックを受けたそうです。古川さんもそういう経験がありましたか?
ミュージカルに出演するようになる前は映像をメインでさせていただいていたので、そこまでのカルチャーショックみたいなものはなかったですね。5年間舞台を続けていて忘れていた感覚を、現場を経験して思い出させていただきました。
たとえば?
「ここはセリフをかぶせたらいけないんだ」とか、「このカットを撮影しているから、ここは間を空けないといけない」とか、技術的なことですね…。そういうことを忘れていて、始めは普通に芝居をしていたんです。あと、映像は舞台と違って練習期間がないので、現場に入る前に自分である程度完成させていかないといけないという部分もありました。

ただ、久しぶりのドラマがとてもプロフェッショナルな環境で、監督もしっかり愛を持って接してくださるなかで演じることができたのが、とても勉強になりました。

出演する前から「自分にとって絶対プラスになる」と思っていましたが、実際そのとおりだったなと思います。

初めて『エリザベート』に出演したとき、階段で泣いていた

古川さんは、ミュージカル『テニスの王子様』の4代目・不二周助役からスタートして、『エリザベート』、『モーツァルト!』などのグランドミュージカルに出演し、朝ドラ出演も決定。現在2.5次元作品で活躍している若手俳優の人たちが憧れるロールモデルのような道を歩いていると思います。
テニミュ出身で初めて『エリザベート』に出演したのが伊礼彼方さん。阿部よしつぐさんは『レ・ミゼラブル』などに出演されていて、僕は当時おふたりのことを「スゴいな」と思ったのを覚えています。

僕は、彼方さんや阿部さんと比べればグランドミュージカルに出演し始めたのが遅いですが、今は早くからグランドミュージカルに出演する方も増えてきていますよね。それだけミュージカルシーンが盛り上がっているということだと思いますし、これからももっと盛り上がっていくんだろうなという期待があります。
『ロミオ&ジュリエット』や『エリザベート』で、黒羽麻璃央さん、木村達成さんなど2.5次元の舞台で活躍する後輩と共演されていますね。おふたりについては?
2.5次元に出演する若手俳優のなかで、抜きんでた存在だと思います。というか、『ロミジュリ』のとき、「こんなに歌が上手なんだ」と思いました。これまでグランドミュージカルの経験がそんなに多くないでしょうに、ベンヴォーリオやマーキューシオを演じられて、「スゴいな」と思いました。

僕は初めて『エリザベート』に出演したとき、めちゃくちゃ苦労しました。僕は階段で泣いていたり……。
えっ、階段で泣いていたんですか。
はい。だから「みんな、泣かないの?」みたいな(笑)。それだけの実力があるんだなと思います。僕がルドルフを演じたときは周りは大先輩ばかりだったのに対し、『ロミジュリ』は同世代が多かったというのもあるかもしれないけれど、それにしてもスゴいです。
こういう話をおふたりにすることはありますか?
……しないかなあ。「うまいね」とか、言わないです。自分のことをあんまり先輩だと思っていないので、アドバイスもあまりできるタイプではないです。
先輩と後輩ではなく、あくまで共演者と?
共演者というより、同志だと思っています。テニミュは上の世代を大切にするという伝統があって、みんな先輩として敬ってくれるんですけど。同志のような関係性でいられたらなと思いますね。
では、城田 優さんや加藤和樹さんも同志という感覚ですか?
いえ、同志と気軽に呼べる存在ではないです。僕よりも先にテニミュに出ていて、そこから大きな舞台やドラマに出演されたおふたりなので。同志だと思えるのは(平方)元基くんですかね。(大野)拓朗もそう。

(井上)芳雄さんや浦井(健治)さん、(山崎)育三郎さんがミュージカルブームを作った方々で、そこに優くんが加わって、和樹くんもいて。みんな僕の先輩です。

そう言うと、育三郎さんは「年齢はひとつしか違わないじゃない」と言うんだけど、「でも、先輩なんです」って。今のミュージカルブームを作った先輩たちのことを、僕はすごく尊敬しています。

俳優と並行して、アーティスト活動も。11年目の“変化”

古川さんは俳優として活躍する傍ら、アーティスト活動を続けていらっしゃいます。アーティストデビューして11年ですが、11月13日に待望のミニアルバム『Love songs』が発売になりました。
舞台でいろいろな役を経験させていただくなかで、「こういう愛の形もあるんだ」と自分が感じたことを歌にしました。愛をテーマにした役や作品が多かったので、それを自分のアルバムに生かしたいなと思って、いろいろな愛の形を作詞・作曲した7曲になっています。
おすすめポイントは?
何回も聴いていただくと、けっこう、やみつきになるような曲がそろっていると思うんです。車の中とかでずっと流してほしいなと思います。
12月にライブツアー『古川雄大 TOUR 2019 〜Love songs〜』も控えています。どんなライブになりそうですか?
タイトルどおり、このアルバムを引っさげてのライブになります。新曲はもちろん、自分の過去の曲のなかで愛を歌っているナンバーを並べようかなと思っています。
以前ライブを拝見しましたが、お客さまを煽って乗せるというよりは、自然と古川さんのペースに巻き込んでいくような、古川さん独特の感覚があるライブだと感じました。
独特でしたか。独特から抜け出そうと思ったライブだったんですけど…(笑)。

ライブのスタイルもどんどん変化していきたいなという思いがあります。前回の経験を次に生かしたいですね。会場もどんどん大きくなって、観てくださる方も増えているので、いろいろな方に楽しんでいただけるライブにしたいです。
古川雄大(ふるかわ・ゆうた)
1987年7月9日生まれ。長野県出身。A型。2012年ミュージカル『エリザベート』のルドルフ役で注目を集める。近年の主な出演作に、ミュージカル『モーツァルト!』、『ロミオ&ジュリエット』、『マリー・アントワネット』、ミュージカル「黒執事」、TVドラマ『下町ロケット』など。第9回岩谷時子賞奨励賞、第44回菊田一夫演劇賞を受賞。アーティスト活動は2018年に10周年を迎えた。2020年4月からNHK連続テレビ小説『エール』に出演し、2020年のミュージカル『エリザベート』にもトート役として出演する。

「ミュージカルの世界」特集一覧

CD情報

古川雄大 Newミニアルバム『Love songs』
発売日:11月13日(水)

通常盤[CD]
¥2,091(税別)/SMYF-1005
Limited Edition[CD+DVD+特製ブックレット]
¥4,091(税別)/SMYF-1006/SHINKO MUSIC RECORDS SHOP限定

LIVE情報

『古川雄大 TOUR 2019 〜Love songs〜』
[東京]2019年12月5日(木)Zepp DiverCity(TOKYO)
[大阪]2019年12月10日(火)なんばHatch
[愛知]2019年12月11日(水)DIAMOND HALL

サイン入りポラプレゼント

今回インタビューをさせていただいた、古川雄大さんのサイン入りポラを抽選で3名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。

応募方法
ライブドアニュースのTwitterアカウント(@livedoornews)をフォロー&以下のツイートをRT
受付期間
2019年11月15日(金)20:00〜11月21日(木)20:00
当選者確定フロー
  • 当選者発表日/11月22日(金)
  • 当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、個人情報の安全な受け渡しのため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
  • 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから11月22日(金)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき11月25日(月)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
キャンペーン規約
  • 複数回応募されても当選確率は上がりません。
  • 賞品発送先は日本国内のみです。
  • 応募にかかる通信料・通話料などはお客様のご負担となります。
  • 応募内容、方法に虚偽の記載がある場合や、当方が不正と判断した場合、応募資格を取り消します。
  • 当選結果に関してのお問い合わせにはお答えすることができません。
  • 賞品の指定はできません。
  • 賞品の不具合・破損に関する責任は一切負いかねます。
  • 本キャンペーン当選賞品を、インターネットオークションなどで第三者に転売・譲渡することは禁止しております。
  • 個人情報の利用に関しましてはこちらをご覧ください。
ライブドアニュースのインタビュー特集では、役者・アーティスト・声優・YouTuberなど、さまざまなジャンルで活躍されている方々を取り上げています。
記事への感想・ご意見、お問い合わせなどは こちら までご連絡ください。