真多呂人形は、大正8年創立。木目込み人形発祥の地、上賀茂神社から唯一の正統伝統者として認定を受け、270年受け継がれてきた伝統工芸品である木目込み雛人形を制作している。2018年には「初音ミク雛」を制作し大きな話題となったが、今年はポケットモンスターの「
ピカチュウ」を木目込み人形で表現することに挑戦、熟練の職人たちが試行錯誤を重ね、キャラクターのもつ独特のビジュアル感を損なわず可愛らしい丸みを表現することに成功した。
幅広い年齢層に人気のある「
ピカチュウ」。伝統工芸品となった「
ピカチュウ」は、大人の生活空間に置いてもしっくりくる落ち着いた高級感のある仕上がりになっいる。また、ポケモンは海外でも大人気で、もはや現代日本文化の象徴的存在とも言える。そのポケモンを古き良き伝統工芸品として表現した「江戸木目込み人形
ピカチュウ」は、海外からも注目される存在になると期待できる。
”かわいい”
ピカチュウには、随所に伝統工芸ならではの工夫が施されている。真多呂人形の原型づくりは、3DプリンターやCADなどに頼らずすべて手作業。職人は、まず
ピカチュウをつぶさに観察するところからスタート。伝統的な和人形は作り慣れている職人たちが、キャラクターのもつ独特のビジュアル感を損なわず、可愛らしい丸みを表現することは簡単ではない。
ピカチュウの黄色い体は、伝統工芸ならではの花柄の和人形衣裳で表現。多くの職人の試行錯誤の上、
ピカチュウのもつ可愛らしさと木目込みならではの優しい雰囲気を掛け合わせた”かわいい”
ピカチュウが誕生した。
伝統的な和人形業界の市場は年々縮小傾向にある。かつてのように、雛人形や五月人形が当たり前のこととして家庭に飾られる時代ではなくなった。しかし伝統工芸品の魅力は、お祝い事や縁起物、贈り物としてだけではなく、インテリアやアートとして、日々の生活を豊かにしてくれる。大人の生活空間に
ピカチュウのぬいぐるみは置けなくても、伝統工芸品としての
ピカチュウは置けます。真多呂人形は、そんな世界観に活路を見出そうとしている。
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