ノイズキャンセリング機能そのものが嫌いという訳ではないので、あの気持ち悪ささえ解決できれば是非使いたいのです。仕事柄、電車や飛行機での移動が多いので、リラックスしたり集中したりするのに使いたいのです。......ただ、これまでノイズキャンセリング機能が搭載された色々な
イヤホン、ヘッドホンを使ってきましたが、どれにも満足はできませんでした。
なので外部からの音をシャットアウトできるオーバーサイズのヘッドホンや、耳型を取って作るカスタムIEM(In Ear Monitor)を使っています。それはそれで純粋に音楽を楽しむために良いのですが、Appleの
AirPodsのようにお気楽に音楽を楽しむスタイルも捨てがたく、それぞれを使い分けていました。
▲左:Campfire Audio社のIO。右:ONKYOのIE-C2。両方共スマートフォンでは使わず、音楽再生専用機にてバランス接続で聴いています
SONY WF-1000XM3との出会い
変化があったのは今年7月に発売されたソニーのWF-1000XM3です。周囲のオーディオ好きがこぞって購入し、その良さを伝えてきました。半信半疑で視聴をしてみると、これまでのノイズキャンセリング
イヤホンにあった悪印象が驚くほど低減。完全に無くなったわけではないですが、耐えがたいレベルではありませんでした。
その理由は、状況に応じてノイズキャンセルを行う専用のプロセッサが開発・搭載されたこと。内側と外側の複数のマイクで集音した内容を演算して、違和感をできるだけ感じさせず必要なノイズを打ち消す「デュアルノイズセンサーテクノロジー」のお陰ということがわかり、過度なノイズキャンセリングが気持ち悪さの原因だったと理解しました。以前からソニー製品には「デュアルノイズセンサーテクノロジー」がありますが、WF-1000XM3はその完成度が高いです。
また、
イヤホンを装着したままで外部の音を聞ける「アンビエントサウンドモード」も素晴らしく、気になった時にすぐに外の音を鮮明に聞き取れるのは感動すらありました。自分もすぐに購入しましたが、とはいえ、装着感は
AirPodsの方が好みで、ノイズキャンセリング非搭載の安心感からか併用していました。
結果、しっかりと音楽を聴きたい時はカスタムIEMなどの
イヤホンで、専用機(DAP)を使い、
イヤホンとはバランス接続。それ以外は
AirPods。周囲のノイズが気になる時はWF-1000XM3と使い分けていました。ですが、体調が悪い時はWF-1000XM3は使えなかったので、自分の中でノイズキャンセリング機能はまだ完全ではないなぁと思っていました。
WF-1000XM3を潰しにきたAirPods Pro
そこに発表されたのが
AirPods Pro。内容を確認していて、これはWF-1000XM3を本気で潰しに来たなと思いました。基本的なノイズキャンセリングの仕組みは似ています。もちろん味付けはAppleお得意のSiP(System in Package)の賜物であるH1チップ。かなり高度なノイズキャンセリングを毎秒約200回処理しているとあります。とにかく、すぐにApple Storeに注文しました。
![](https://image.news.livedoor.com/newsimage/stf/6/3/63672_1186_73bba45135e3b022aa691e6bd1471948.jpg)
▲発売日の朝にちゃんと入手できました。既に90%以上のバッテリー充電量だったので、すぐに使い始めることに
発表直後、タイミング良く注文できたので、10月30日の朝には手元に届きました。音を出す前に現物をチェックをすると、まず驚いたのがスピーカーノズルの開口の大きさ。カスタムのダイナミック型ユニットを内蔵しておりかなり豊かな低音が出せるのが
AirPodsの特徴でしたが、Proになってその開口径はさらに拡大しました。イヤーチップは交換式になりましたが、先の開口部のこともあり汎用品は使えずに専用品を用意しています。このあたりもAppleらしいなと思います。
![](https://image.news.livedoor.com/newsimage/stf/e/4/e4a32_1186_6a76a5bd20c288b5521eaacbe4c34b35.jpg)
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AirPods Pro(左)とWF-1000XM3(右)のスピーカーノズルの違い。
AirPods Proは汎用サイズを無視して独自仕様にしたことで開口が大きくなっている。小さい音量でも厚みがありながら嫌味のない豊かな中低音を実現
![](https://image.news.livedoor.com/newsimage/stf/7/d/7dcb6_1186_7cd884fd41ba2300caf012ee6a76e771.jpg)
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AirPods Proの専用イヤーチップには耳垢が入り込まないよう、ネット(ワックスガード)が貼られているのに感心した。開口も大きいので有効な対策と言える
早速装着をしてみると、最初はノイズキャンセリング効き始めの「圧」を感じますが、すぐに落ち着きます。WF-1000XM3と似ていますが、ノイズキャンセリングの効き方が違った感じです。WF-1000XM3よりも若干周囲の環境音が聞こえる感じがしますが、音楽を再生すれば気にならなくなります。音を出し始めて数分で気に入りました。
AirPods Proはユニット重量が片方で5.4gと、WF-1000XM3の8.5gより軽く小さいため、装着感もとても良好です。重量以外にもオリジナルのイヤーチップの形状がすばらしく、汎用品を使わなかった理由はここにもあるなと思われます。
イヤホンを収納するケースは、
AirPods Proの方がWF-1000XM3よりも二回り小さく、ケースの重量は
AirPods Proが45.6gと、WF-1000XM3の74.5gよりも軽く仕上がっています。また、ケースの小ささと相まって適度な密度感が質感を高めています。WF-1000XM3のケースも決して悪くありませんが、
AirPods Proのケースを見た後だと少し安っぽく感じます。しかも、
AirPods ProのケースはQi規格のワイヤレス充電にも対応しています。
![](https://image.news.livedoor.com/newsimage/stf/2/6/26c32_1186_aa0f7279273132988684814e0ccaf6f0.jpg)
▲左:WF-1000XM3のケース。右:
AirPods Proのケース
ノイキャン能力はAirPods Pro。音質はWF-1000XM3が上
1日使ってみて、聞き疲れの少なさは
AirPods Proの方でした。対してWF-1000XM3は、
AirPods Proよりも音の粒立ちの良さがありますが、
AirPods Proと比較してノイズキャンセリングの効き方が強くて長時間は疲れます。ノイズキャンセリング自体に違和感を感じない人は、WF-1000XM3の方が高音質だと思います。特にXperiaでのDSEE HXとの組合せではさらに差がつきます。
しばらくは両方共携帯して、もっと長く使ってみようと思います。勝手な想像ですが、ソニーもこのままではいないように思えます。折角の専用プロセッサを活かし切る新しいファームウェアがリリースされることにも期待が持てるでしょう。しばらくは両社の戦いに期待しています。
![](https://image.news.livedoor.com/newsimage/stf/b/7/b7a74_1186_190d1fae3cae53d3c3e53d9592a066fd.jpg)
▲Xperia 1とも組合せて使ってみましたが、ノイズキャンセリングは問題なく動作しました。具合が良いので、この組合せでもそのまま使っています
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