変わりゆく街並みに、自分自身を重ねながら――高杉真宙と、早朝の渋谷を歩く。

10月下旬の渋谷。ニットに身を包み、人通りの少ない街並みを歩く。「ニットって丸っこくなるシルエットが可愛いですよね」と語る人気者の彼とスクランブル交差点を歩けるのは、早朝の限られた時間だけ。再開発が進んだ渋谷を「あんなビル、あったっけ?」と、楽しそうにあちこち見上げる姿が愛おしい。

デビュー10周年を迎えた高杉真宙。今年だけで連続ドラマ3本に出演し、公開された映画は5本を数える。デビュー当時といまを比べれば、グッと大人っぽさを増したことは一目瞭然だが、見た目だけではない。求められる役柄の幅、評価や人気、そして作品の中での存在感。すべてが以前とは段違いだ。
(文/iD inc.)

撮影/平岩 享 取材・文/黒豆直樹 制作/iD inc.
スタイリング/石橋修一 ヘアメイク/堤 紗也香
衣装協力/コート¥72,000、ジャケット¥42,000、ハイネックジップニット¥37,000、パンツ¥28,000(以上すべてファクトタム/ファクトタム ラボ ストア tel.03-5428-3434)、その他スタイリスト私物

「ニット男子」特集一覧

ニットを着ると、冬が近づいてきていることを感じる

2年半ぶりの渋谷での撮影はいかがでしたか?
いやぁ、街がすごく変わっててびっくりしました! (前回の渋谷での撮影の記事を見ながら)2017年の5月? ちょうど映画『超・少年探偵団NEO -Beginning-』の撮影をしていた頃ですね。この作品のために髪を短くしていたので。
普段、プライベートで渋谷に遊びに来ることは?
ほとんどないんです。来たとしても、駅前のTSUTAYAに直行で、帰りも地下から直接駅に戻って…という感じで。周りがどうなっているかにほとんど注意を払ってなかったので、こうやってじっくり街を見てびっくりです。2年ちょっとでこんなに変化するとは…。
今回は“ニット男子特集”ということで、ニットを着用していただきました。
普段からハイネックは好きなんですけど、ニット自体はひさびさに着ました。ニットを着るとだんだん冬が近づいてきたんだなと感じますね。
手の甲がすっぽり隠れて指先だけがのぞいている“萌え袖”も撮らせていただきました。“萌え袖”自体、ご存知でした?
女性誌の取材でお願いされることが多いので知っていました。僕自身、普段からわりと大きめの服を着ることが多いので、図らずも萌え袖になっていたり、指まで全部隠れていたりすることもしばしばで(笑)。
ちなみに女性のニット姿はお好きですか?
いいですよね、女の子がニットを着ているのって。フワフワした感じというか、ちょっと丸っこくなるじゃないですか?
シルエットが可愛いということですね?
そうそう! シルエットが可愛いです。

最近、僕の発言について「言葉の選び方が間違ってる」とか「女心がわかってない」と言われることが多々ありまして…(苦笑)。「可愛い」までちゃんと伝えればいいのに、僕の場合「丸っこくなったね」だけで終わってしまうところが問題なんですよね。本当に、他意も悪意もないんですけど、何かすみません!(苦笑)

ゲーム機入手のため、東京中のお店を巡った

タピオカドリンクも飲んでいただきましたが、世のタピオカブームはご存知でしたか?
一応、知ってはいましたが、飲む機会はなかったんですよね。「こういうものがいま、流行ってるんだ」くらいの知識で。
そもそもタピオカブーム自体、今回が初めてではなく何度目かのブームですが、以前、流行っていたのも知っていました?
それもネットニュースとかで読んで知っていましたね。まあ、情報源はだいたいネットの掲示板だったりするんですけど(笑)。
普段、行列に並んで何かを買ったりすることは?
ないですねぇ。並んでまで何かを手に入れたいって思ったことがないかな? 誰かと一緒に並ぶのは苦ではないので、友人が「食べたい」と言ったら並びますね。

あ、そういえばゲームのために走り回ったことはあるかな(笑)。

僕、ゲーム機を手に入れるのが遅くて、入荷しているお店を調べて東京中を巡りました。山手線を1周しましたね。
最近は仕事が休みのとき、どんなふうに過ごしていますか?
いまは舞台(『カリギュラ』)の稽古中ということもあって、なかなかゆっくりする時間がなくて、稽古がない日もどこかで焦っているんですよね。本番が迫っているのもあって、心がせわしないというか…。
リラックスする時間は…。
いまはあんまりないし、もしかしたら必要としてないのかもしれないですね。僕自身、オンとオフを切り替えるというよりは、オフのときに仕事のことを考えていたりもして。舞台の稽古中だからってわけでもなく常にそんな感じなのかも。

たくさんダメ出しを受けるけど、それがキツくて楽しい!

舞台『カリギュラ』では、ドラマ『35歳の高校生』以来、菅田将暉さんと6年ぶりに共演されています。
僕にとって、歌や踊りのない、お芝居だけの演劇はこれが初めてなんですけど、ずっとやりたかったことなんです。それを『カリギュラ』で挑戦させていただけて、しかも演出は栗山民也さんで…。最高の環境で望んでいたことをやらせてもらえて、本当に自分は運がいいなって思います。
11月9日の初日に向け、稽古は佳境かと思います。
毎日の稽古時間は短いんですけど、すごく濃くて、メッチャ疲れます。できないことが多くて、いっぱいダメ出しを受けながらやっていますけど、それがキツくて楽しいです。

僕が演じる詩人のシピオンは、全体的に詩的なセリフが多くて「これどういうこと?」って思うことが多いんです。今回のセリフは、記憶するよりも思考する時間が圧倒的に長いですね。

それに稽古場が本当に素晴らしい環境で、照明も仮衣裳も装置もあり、実寸でお芝居ができているんです。初日から立ち稽古だったんですけど「これ、もうほとんど本番じゃん!」という感じで、すごく緊張感がありました。
ひさびさの菅田さんとの共演はいかがですか?
当時は“お兄さん”という感じですごく可愛がってもらっていました。そのときも菅田さんのスゴさを感じていましたが、今回、稽古で対峙して、やっぱりスゴい人だなと改めて感じて。台本の持つ熱さ、力強さを体中で表現されているんです。

長い時間ご一緒してなかったので、「自分はあの頃と比べて、どれくらい成長できているんだ?」と考えさせられる瞬間が多いですね。
おふたりの関係性は…?
それが僕、メッチャ緊張していて…(苦笑)。
あれだけがっつりと共演した菅田さんに対しても緊張されるんですか?
そうなんです(笑)。僕、思っていることを言葉にするのが本当にヘタなんですけど、緊張するとさらにヘタになるんですね…。もうコミュニケーションに支障をきたしているレベルでして(苦笑)。

「シュールだな」と思いながら菅田将暉とラーメンを食べた

先日、菅田さんがラジオ番組で、高杉さんと食事に行ったエピソードを明かしていました。
そうなんですよ。僕も聴きました。というか、いろんな人に言われました(笑)。
「何が食べたい?」という問いに高杉さんが「ラーメン」と答え、菅田さんは「焼肉とか、寿司とか、甘えてほしかった」と。菅田さんとしては食べながらゆっくり話もしたかったそうで…。
「何が食べたい?」って聞かれて、何て答えるのが正解なんだろう?って考えて、その少し前にラーメンの話をしていたのでラーメンがいいかなと思ったんですよね。

「寿司」とか「焼肉」って…先輩とひさびさにお会いして食事に行くってときに僕は言えないですよ(苦笑)。
甘え上手な人は、聞かれる前から「先輩、焼肉でも連れてってくださいよ!」とか言えちゃうんでしょうけど、「言えない」というのが高杉さんらしいなと思います。
それもみんなに言われました。「らしいね」って(笑)。稽古場でも言われています…。
ラーメン屋は高杉さんが調べたんですか?
その場で僕が調べましたね。「こんなお店がありますよ」って。で、券売機が壊れていて、お店の人に直接注文してカウンターに並んで食べました。菅田さんと横並びでラーメンを食べるなんて…「この画はシュールだな」と思いながら(笑)。
早く食べ終わったので近くを散歩するも、なかなか会話が盛り上がらず、解散となったとか…?
いやいや! 僕はすごく楽しかったですよ、菅田さんとラーメン!(笑)別に会話もそっけなく返事したわけじゃないんです。まあ、ラジオでおっしゃっていたことにウソはないんですけど…。まあ、シュールな状況でしたね(笑)。
※その後、菅田さんは高杉さんと2度目の“デート”を敢行。もつ鍋を一緒に食べて、会話も弾んだことをラジオで報告していました。
https://www.allnightnippon.com/news/20191104-47939/?pg=suda

確立したのは、劣等感から努力につながる“負け犬精神”

2009年に舞台『エブリ リトル シング'09』でデビューされて、今年の夏で10周年を迎えました!
あんまり実感がないんですよね…。こうやって取材などでいろんな方に言っていただいてようやく実感するというか。
10年という時間は長かったですか? それともあっという間でしたか?
体感で言うと、メチャクチャ長かったです。いや、長すぎて正直「え? まだ10年なんだ?」くらいの感じです。1年が濃すぎるんですよね。
映画だけでも年に4、5本が公開されることもありますし、それぞれものすごい集中力で臨んでいるわけですからね…。
僕、この仕事をやってて、絶対に寿命が縮んでると思います(苦笑)。あの緊張感の中にずっといると……実際の時間以上に濃い時間を過ごしているなと。
なかなかひとつに絞れないとは思いますが、この10年の中でとくに印象に残っていることや転機となったできごとがあれば教えてください。
映画『ぼんとリンちゃん』(2014年)の小林啓一監督もそうですが、いろんな人との出会いがいちばん大きなことですね。とくに、継続して何度かお仕事をご一緒させていただいたり、同じ監督の作品に呼んでいただけたりすることで、仕事に対する意識や考え方も変えてもらったなと思います。
ご自身の成長や変化をどのように感じてらっしゃいますか?
ここ2、3年くらいで、仕事における自分の精神状態というか、マインドみたいなものが確立されたなと思います。ある種の軸と言えるものができたというか。ここからまたどう変化していくのかわからないですが。
それは具体的にどういう状態でしょうか? 自信がついたということ?
いや、逆ですね。「できない」という状態を自覚したうえで「だからやろう!」という、いわゆる負け犬精神(笑)。毎回、取材でも言っている“劣等感”が努力につながっているという状態です。それが自分でもわりと気に入っているというか、しっくりくるんですね。
現在23歳。以前は学生役が多かったのが、徐々に社会人の役も増えてきましたね。
それはすごくうれしいです。今年に入ってからの撮影では、映画『見えない目撃者』での1回しか制服を着てないんですよ。学生から社会人の役をもらえるようになるためのステップアップってどうすべきなんだろう?と考えていたんですけど、思ったよりもスムーズにスーツを着た社会人の役をいただけるようになってきて幸せですね。

社会人の役となると、学生役以上に「その人物+職業」でできることや考えることが増えて、より広がっていくと思うので、今後も楽しみです。
今年、出演されたドラマ『サイン ―法医学者 柚木貴志の事件―』の警部補役や、『サギデカ』で演じられた詐欺グループの“かけ子”役も印象的でした。
この2作品は縫い(※複数の作品の撮影期間が重なること)だったんです。ちゃんと作品を縫うのは初めての経験で…正直、最初に話が決まったときは、刑事と詐欺師って(マネージャーを見ながら)ウソでしょ?って(苦笑)。

大変でしたけど、それ以上に素敵な現場で、やってよかったなと思いました。

『仮面ライダー』以来の佐野 岳とは、さらに距離が縮まった

そして10月25日には主演映画『超・少年探偵団NEO -Beginning-』が公開となりました。
この作品は、僕にとっては以前から知っている人ばかりで、メインキャストでは長村(航希)さん以外みんな知っているという…。
佐野 岳さんとは『仮面ライダー鎧武/ガイム』で共演されていますし、堀田真由さんとは映画『虹色デイズ』でカップルを演じられていましたね。
『虹色デイズ』は昨年公開ですけど、撮影自体はこの『超・少年探偵団NEO』のほうが先だったので、堀田さんとはこっちが「はじめまして」だったんです。それからあんなにがっつり共演して“よく知る人”になりましたけど(笑)。
佐野さんとの共演はいかがでしたか?
安心しますね。すべてを委ねられるというか。今回は一応、僕が主演でしたが、「まとめる」とか「引っ張っていく」ということができない人間なので(苦笑)、そういう意味でも佐野さんにお世話になりました。
『仮面ライダー』の撮影の頃を思い出したりは?
思い出しましたね。あのときの経験があって、またこうやって現場で一緒になれたことを考えると、すごくうれしかったです。
佐野さんに対して「成長した姿を見せられた」という感覚はありましたか?
それはあります!
そんなにハッキリとポジティブな答えが高杉さんから出てくるとは意外な気も…。
そうですか?(笑)一度、ご一緒した方には、再共演するときに「成長した姿を見せたい」という気持ちを必ず持っていますし、今回は佐野さんということで、とくにその気持ちが強かったと思います。それで空回りするってパターンが多いんですけど…(苦笑)。
今回、ひさびさに共演されたことで関係性に変化はありましたか?
『仮面ライダー』のときと変わらず、やっぱり“お兄ちゃん”という感じですね。ただ役柄上、同じ制服を着て、同じ学校に通っていると思い始めると、不思議と距離が近くなる感じはありました。

加えて、ふたりとも年齢を重ねて、大人同士という立場で共演させてもらったことで、互いの距離がさらに縮まった気はしますね。

川釣りがしたかった。自然を感じられる趣味を探したい

10周年を経て、今後はどのような俳優になりたいと考えていますか?
先ほど10年ということに「実感がない」と言いましたが、それでも10年を迎えて、新たに考えるようになってきたことがありまして。

最近、『高杉真宙 10thメモリアルカレンダー』を出したんですけど、衣装や写り方とか、作品以外のことを考える機会が増えてきて、それが楽しくもあり、大変でもあり、「あぁ、ちょっとずつ大人になっているのかな」と感じています。

そうやって、できることが増えてきて、改めてここまでのことを振り返ったりもして、これからもっといろんなことに挑戦したいなと思ったし、「もっと自分にできることがあるんじゃないか?」と思うようになりました。
今年もあとわずかですが、プライベートでやり残したことは?
本当は今年の秋に川釣りに行きたかったんですよね。もう寒くなってきちゃったので、今年は難しそうですけど…。
なぜ川釣りに?
何か大自然の中でゆっくりしたいなぁって。友達と出かけて、ボーっと川釣りをしたいなぁって思ったんです。
友達から「川釣りへ行こうよ」と誘われたとか?
いや、僕が「行きたい」と言いました。普段はインドアですけど、なぜか年に2、3回くらい、アウトドアしたいなという日があって、それで川釣りがしたいなと思ったんです。来年は、何か自然を感じることができる趣味を見つけられたらと思っています!
高杉真宙(たかすぎ・まひろ)
1996年7月4日生まれ。福岡県出身。A型。2009年に俳優デビュー。2013年の『仮面ライダー鎧武/ガイム』(テレビ朝日系)で注目を集める。主な出演ドラマに『35歳の高校生』(日本テレビ系)、『明日もきっと、おいしいご飯〜銀のスプーン〜』(東海テレビ系)、『セトウツミ』(テレビ東京系)、『賭ケグルイ』シリーズ(MBS、TBS系)、『サギデカ』(NHK総合)など。主な出演映画に『渇き。』、『虹色デイズ』、『ギャングース』、『十二人の死にたい子どもたち』、『笑顔の向こうに』、『見えない目撃者』、『超・少年探偵団NEO -Beginning-』など。2018年には、劇団☆新感線の舞台『メタルマクベスdisc3』に出演した。2020年も出演映画『前田建設ファンタジー営業部』、『糸』の公開が控える。

「ニット男子」特集一覧

サイン入りポラプレゼント

今回インタビューをさせていただいた、高杉真宙さんのサイン入りポラを抽選で3名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。

応募方法
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受付期間
2019年11月14日(木)18:00〜11月20日(水)18:00
当選者確定フロー
  • 当選者発表日/11月21日(木)
  • 当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、個人情報の安全な受け渡しのため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
  • 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから11月21日(木)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき11月24日(日)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
キャンペーン規約
  • 複数回応募されても当選確率は上がりません。
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