声優業への感謝と愛。ミュージカルの世界にいる喜び。平野 綾の現在・過去・未来

18歳のとき、アニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』の涼宮ハルヒ役でブレイクした平野 綾。茅原実里、後藤邑子とともにSOS団として踊った『ハレ晴レユカイ』は社会現象を巻き起こした。

その後も『DEATH NOTE』の弥 海砂、『NANA』の芹澤レイラ、『らき☆すた』の泉 こなたをはじめ話題作に次々抜擢。演技力に加えて、そのルックスからアイドル的な人気を博し、確かな歌唱力でアーティストとしても実力を発揮した。

2013年頃からはミュージカルに軸足を移し、『レ・ミゼラブル』のエポニーヌ、『レディ・ベス』のベス、『モーツァルト!』のコンスタンツェなど当たり役を得て、女優として着実にキャリアを積んできた。

そんな平野が、8月に約4年ぶりのライブを開催。「クラウドファンディング アニメLIVE」と「ミュージカル コンサート」の2タイプというユニークな企画だ。

この機会に、女優・声優・歌手としての彼女の現在地を知るべく、1万字に及ぶロングインタビューをお届けする。

(この取材は6月に行われたものです)
撮影/川野結李歌 取材・文/千葉玲子 制作/アンファン
ヘアメイク/高良まどか

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ずっと待っていてくれたみなさんへ、恩返しのソロライブ

8月に約4年ぶりのソロライブ開催、おめでとうございます!
ありがとうございます!
「クラウドファンディング アニメLIVE」と、「ミュージカル コンサート」の2タイプを実施するそうですが、どういった経緯だったのですか?
ファンの方から「ライブ待ってます!」という声をいただきつつも、2014年からリリースもしていないし、4年前にファンクラブを解散してからは、なかなかタイミングをつかめずにいたんです。それが今年、ちょうど次の舞台まで時間ができたので、ここ何年かではなかった動きをしようと思い立って。

2月にミュージカル『レベッカ』を終えてから、カナダ、アメリカ、フランスなどでアニメイベントに参加し、ライブをしました。海外でライブをやるのに日本でやらないって変だよね、という話にもなって(笑)。

それで、実現するかはさておき、インスタグラムで「どんなライブが観たいですか?」ってアンケートを取ったんです。
結果は?
見事に分かれました。ありがたいことに、ずっとライブを待っていた方はアニソンを聴きたい、舞台から私を知った方はミュージカルナンバーを聴きたいと。共存は難しいな、だったらふたつに分けたらいいんじゃないかな?と思ったのがきっかけです。
Twitterで楽曲のリクエストも募っていました。4月の中間発表では、キャラソン部門1位は『God knows...』。やはり『涼宮ハルヒの憂鬱』(以下『ハルヒ』)シリーズが強いですね。
『ハルヒ』は、ほぼ自分の楽曲と言ってもいいくらい近い存在ですね。キャラソンコーナーに入れると『ハルヒ』だけで終わっちゃうので(笑)、ライブでは『ハルヒ』は別枠にしてセットリストを組む予定です。なので、キャラソンコーナーでは少しレアな曲も聴けると思います。
平野 綾名義の楽曲リクエストについてはいかがでしたか?
不動の1位が『Unnamed world』(2008年の7thシングル)。求めてくれるものが昔から変わらないんだなと、うれしくなりました。ある意味、時間が止まってるのかなって。私のファンの方って同世代が多いんですよ。「一緒に青春を歩んできた」じゃないですけど、みんなで一緒にやってきた感覚があって、そういう方々が当時を思い出してくれているのかな。

この曲はジャケットが真っ白で、タイトルも含めて、何も色をつけないというコンセプトだったんです。それまで個人名義の音楽活動では原色のイメージが強かったんですが、一度まっさらにしてみよう。改めて自分と向き合ったら何が生まれるかな?と見つめ直す曲でした。みなさんにとっても、何かを変えるきっかけになる曲だったらいいなと思います。
「アニメLIVE」のクラウドファンディングも初の試みですよね。手応えは?
(取材時点で)すでに250%以上達成となっていて、まさかこんなに賛同していただけるとは、ホントにありがたいです。

クラウドファンディングって、「お返しできる」のが素敵ですよね。もちろんパフォーマンスでお返しするのは当たり前なんですが、日本全国や海外から応援してくださる方もいて。会場には行けないけど、気持ちだけでも!と思ってくださる方に、チケットやグッズとは別に、サイン入りの手紙をお返しするコースも作ったんです。

そうしたら、かなりの方がそのコースに参加してくださって。すごくうれしいです。想像以上だったので、正直、今何人になってるかわからないんですけど、どんなに時間がかかっても手書きでお返ししようと考えています。

ずっと待っていてくれた方々、ひとりひとりへの恩返しとしてライブを楽しんでもらえたらうれしいです。
恩返しといえば、『Animelo Summer Live 2017』でのSOS団復活は感動的でした。ブログでは、家で『ハルヒ』関連の映像をぜんぶ見直して臨んだと書かれていましたが、約11年ぶりのパフォーマンスに戸惑いもありましたか?
アニメのお仕事としては、劇場版『涼宮ハルヒの消失』(2010年公開)が最後だったんですよね。ゲームなどで演じる機会はありましたけど、まさかライブイベントで復活するなんて、最初はびっくりしました。

とくに、(朝比奈みくる役の後藤)邑子さんがずっとご病気をされていて、踊ったりはなかなか難しいとうかがっていたので…なんとかみんなでアニサマのステージに立てるようにと…。邑子さんが踊れないぶん、私とみのりん(長門有希役の茅原実里)で頑張ろうねって。
3人一緒だからできた?
そう、ひとりじゃ絶対できないんです。『ハレ晴レユカイ』は、邑子さんとみのりんがいないと踊れない!

だから『FNS歌謡祭』でコラボしたときは、邑子さんとみのりんに相談したんです(2017年12月に平野さん、当時NMB48のメンバーだった山本 彩さん、乃木坂46の松村沙友理さんでコラボ)。

「こういう話があるんだけど、私ひとりで出てもいいのかな…?」って聞いたら、「私たちの気持ちを背負って綾が出てくれれば、みんなうれしいよ」と答えてくれて。「じゃあ私、みんなに届くように頑張って踊るね」と言って、実現したんです。
今年6月の『ランティス祭り2019』では、キョン役の杉田智和さん、古泉一樹役の小野大輔さんも加わって、SOS団5人で復活を遂げました。
杉田さんや小野さんも含めて、『ハルヒ』の絆ってすごく強くて。大変な時期をみんなで乗り越えた仲間という感覚があるので、ホントに大事なメンバーです。

私だけじゃないと思うんですけど、『ハルヒ』をきっかけに、みんなの人生が変わっちゃった感があって。
ハルヒを演じていたとき、18歳くらいですよね?
はい。作品が大きくなってひとり歩きし始めて、私たちは大きな波に飲まれてどこに行くかわからないまま、一気にいろんなことが押し寄せてきて。

今でこそ声優さんがいろいろな分野で活躍していますけど、当時は、まさか武道館デビューするとは想像もしていませんでした。海外のフェスで『ハレ晴レユカイ』を披露することになったり、『涼宮ハルヒの激奏』(大宮ソニックシティでのライブイベント)では「フルライブをやるから」と言われて、「え? それは、ぜんぶ歌ってぜんぶ踊るんですか?」って聞いたり。

今振り返ってみても、忙しすぎて限界ギリギリのなか、なんとか必死に乗り越えたという感じでした。

『ハルヒ』のメンバーと再会すると、「当時は大変だったよね」って盛り上がります(笑)。「こんなことあったよね?」「あった、あった!」って。
今はようやく落ち着いて…?
そうですね。あの頃はとにかく時間が足りなくて、それが悔しくて。あの時期にしか出せないよさがあったでしょうし、命をかけてやっていましたけど、「今持っているものをぜんぶ出し切るしかない」って乗り切ってきちゃったので。

今は、余裕を持ってひとつひとつお仕事に取り組むことができています。じっくり考えて、理解して、納得して。自分にはこういうやり方が合っていたんだなと思いますね。

幼少期に初めて抱いた夢は「ミュージカルスターになりたい」

ここからは、平野さんとミュージカルについてうかがいます。小さな頃からミュージカルがお好きだったんですよね?
子どもの頃、父の仕事の関係でニューヨークに住んでいて、ブロードウェイ・ミュージカルがきっかけでした。初めて抱いた夢が「ミュージカルスターになりたい」。絵日記とかにも描いてたんですよ。でもその絵は、ブロードウェイというよりは宝塚みたいなメイクだったんですけど(笑)。ショーアップされた華やかな世界に憧れていましたね。

8歳頃からアマチュアのミュージカルに出演して、10歳から児童劇団に入りました。その途端、苦手分野がわかって。
苦手分野?
ミュージカル『アニー』のオーディションを受けていたんですけど、絶対ダンスで落ちるんですよ(笑)。私、緊張しいなので、オーディションの前に熱が出たりして。もう踊れない〜って。
今の平野さんのパフォーマンスからは想像できないですね。どんなタイプのお子さんでしたか?
大人しかったです。今と変わらず読書が好きで、学校でもひとりで本を読んでいて、あまりしゃべらないタイプでした。児童劇団では、次第に声優業やアイドル活動が忙しくなっていきました。
学生の頃、宝塚がお好きだったとか?
そうなんです。小さい頃から観てはいたんですが、高校生のときに友達の影響もあってかなりハマって。和央(ようか)さんと花總(まり)さんの頃の宙組ファンで、ずっと追っかけてました。水(夏希)さんも大好きでした。

だから、ミュージカル『レディ・ベス』で初めて花總まりさんとご一緒したときは、真っ先に「お花さまがいる!」って。こっそりファンでいるのは気持ち悪いかなと思って(笑)、ものすごく緊張したんですけど、ご本人に「高校時代、ずっと追いかけてました。花さんのポストカードとかクリアファイルとか、いっぱい持ってます!」とご挨拶させていただきました。花さんは、快く「ありがとう」と言ってくださって。

『レ・ミゼラブル』挑戦は、育三郎さんの言葉がきっかけ

本格的なミュージカル初出演は、2011年の『嵐が丘』でした。声優として活躍するなか、新たなフィールドに挑戦されました。
タイミングが合えば舞台をやりたいとずっと思っていたので、ありがたいお話でした。しかも、もともと原作が好きだったんです。だから『嵐が丘』をやらせていただけるのは女優のキャリアとしても素晴らしいことだなと、挑戦させていただきました。

10歳から児童劇団で仕事を始めて、20代半ばでようやく夢が叶った感じですね。
夢が叶ったといえば、2013年と2015年にはエポニーヌ役で『レ・ミゼラブル』に出演。
じつは、『嵐が丘』で共演したとき、(山崎)育三郎さんから「綾ちゃん、エポニーヌやりなよ」って言われたんです。

そりゃ、エポニーヌに憧れる気持ちはすごくあるけど…私なんかが…って尻込みしていたら、「綾ちゃんはきっと、今後ミュージカルの世界でどんどん出ていく人だから、今のうちに(『レ・ミゼラブル』の)オーディションを受けたほうがいいよ」と言ってくださって。

育三郎さん、いろんな人にきっかけをくれるらしいんです(笑)。加藤和樹さんも、育三郎さんから「もっとミュージカルやりなよ」って言ってもらったとか。
『レ・ミゼラブル』のオーディションはいかがでしたか?
じつは、いざ応募するとき、事務所からはコゼットで受けるようにすすめられて。それまで活発な役が多かったので意外でしたが、なんとか次のチャンスにつなげようと強い気持ちでオーディションに行ったんです。

歌い出しだら、ロンドンの演出家の方が、「ねぇ君、どうしてコゼットで受けたの?」と。それでエポニーヌがやりたいと正直に伝えたら、「じゃあ、『オン・マイ・オウン』歌える?」って。
それで見事に合格!
まさか1回目のオーディションで、って本当にびっくりしました。正直、私なんかが『レ・ミゼラブル』のオーディションを受けていいのかなっていう気持ちもずっとあって…。
それほどミュージカルが好きで、リスペクトしているんですね。
私が加わることで、大好きなこの世界を崩しちゃったら嫌だなとか、まだ私はそこまで達していない、っていう気持ちがあったから。だから、育三郎さんに言っていただいて、ホントによかったなって思います。
お稽古に入ってからはいかがでしたか?
印象的だったのは、エポニーヌとファンティーヌだけ特別に「ファイティング稽古」があるとうかがって。何だろう?と思ったら、「ステージングや振り付け担当のロンドン・スタッフの方を、5分間で倒す稽古です」と。
どんな意図があったのでしょう?
「エポニーヌとファンティーヌが置かれている環境に、みんなの身体がいない」と言われました。もっと緊張感を持って存在してほしいし、舞台に出た瞬間から彼女たちの生活に馴染んでいないといけない。今のままじゃ、あの環境では生きられないからと。

何の技を使ってもいいから倒せ、って。もうとにかくパンチしたりするんですけど、屈強な方なので歯が立たなくて、当たり前ですけど5分で倒せなくて。

それで、ヘトヘトになるまで戦った直後に、『恵みの雨』を歌ったんです。
それはきついですね。
それぐらいのリアリティを持って舞台に立たなくちゃいけない、ってことなんですよね。そのとき初めて、「ああ、身体で表現するってこういうことなんだ」って。こういう感覚を理解してアウトプットしなきゃいけないんだ、舞台って大変…と実感しました。どうやら、ファイティング稽古が実施されたのはその年だけだったようなんですけど。
『レ・ミゼラブル』の翌年、日本初演のミュージカル『レディ・ベス』でタイトルロール、続けてミュージカル『モーツァルト!』のヒロイン・コンスタンツェ役に抜擢されました。やはりこの2作がターニングポイントだったかと思うのですが。
はい、(2作とも手がける演出家の)小池(修一郎)先生に育てていただいたのが大きいです。

『レディ・ベス』は新作だったので、オーディションの段階では楽曲ができあがっていなくて、課題曲として『ダンスはやめられない』(『モーツァルト!』のヒロインが歌うナンバー)を渡されたんです。オーディションでその歌を歌ったところ、「コンスタンツェ、いいんじゃない? ちょうど再演が決まってるから」とお話をいただいて。
『レディ・ベス』のオーディションを受けに行って、コンスタンツェが先に決まったのですか?
そうなんです。何がどうつながるか、ホントにわからないですよね。
小池先生の慧眼ですね。
小池先生からの初めてのダメ出しは、「背が小さい」でした。「…どうしよう、それはどうにもできない」と思って。たしかに私は背が低いから、すごく高いヒールを履いたりしてたんですが、あるときからぱったり言われなくなったんです。

あれ? なんでだろう?と思っていたら、身長を存在感やオーラでカバーしろってことだったんですね。もっと大きさで魅せろ、って。だから、「背が小さい」とダメ出しされているうちは、舞台で存在が小さく見えてると、後々わかりました。

最初は右も左もわからず、すべて先生に言われた通りにやっていました。でも、徐々に自分から質問したり提案したほうがいいんだと思えるようになって。そうすると、50倍くらいで返して説明してくださるんです。今は、先生とお互いにわかり合うまでお話させていただいています。
『レディ・ベス』では、高校時代に憧れた花總さんとWキャストで主演という大役でした。
豪華なドレスを着たこともなければ所作を学んだこともなく、ゼロからのスタート。花さんに何から何まで教えていただきました。

一度、稽古場ですってんころりん転んだことがあったんですけど、「綾ちゃん、大丈夫?」と声をかけてスカートのさばき方を教えてくださり…もう、本当に支えていただきました。それを言うと花さんは「そんなことないよ」っておっしゃるんですけど、私にとっては先生のような存在です。

自分を見つめ直し、亡き父との約束を果たしたNY短期留学

2016年に、ニューヨーク(NY)に短期留学をされました。何かきっかけがあったのですか?
『レディ・ベス』の初演でたくさん課題が残って、自分の至らなさがとても悔しくて。2017年に再演が決まっていたので、3年間でなんとかしようと思ったのがきっかけです。

そもそも、私は子役の劇団以来、舞台のレッスンを受けたことがなかったんです。一度しっかりと時間を作って学びたいと、半年お休みをいただいて。ご迷惑をかけてしまった現場もありましたし、「帰ってきて仕事がなくても当たり前だと思って行きなさい」と言われていたので、それはもう覚悟して。

思い切ったことだったかもしれないけど、スキルを身につけて今まで以上にパフォーマンスでお返しすることができたら、仕事がなくなることはないだろうし、きっと挑戦することに自信が持てるから。私なりに、ちゃんと何かを獲得して帰ってこようって。

それと、『レディ・ベス』初演の公演中に、父が亡くなったんです。

NYに留学したい、今度は自分の力でNYへ行きたいと、以前から父に相談していたんですね。いつか父と同じように海外で仕事ができるようになって、向こうで活躍するからねって、亡くなる直前に約束しました。それを叶えたいという思いもあって。

もっとNYでのことをお父さんと話せたらなって…今でも悔いが残るんですけど。
そうだったんですね…。NYでは、いいボイストレーニングの先生に出会ったとか。
はい。NYには何のツテもなかったので、手当たり次第に連絡して、行ってみて。昼間は語学学校に通って、朝と放課後にレッスンや観劇という生活を4ヶ月続けました。
もともとストイックなタイプなのでしょうか?
どうなんでしょう…なんだかんだ言って、自分に自信がないというのもあって。

NYで、「そもそもあなた、ここ(NY)にいること自体がスゴいことだって、わかってる?」ってボイトレの先生に言われたんです。

「そうやっていろんな経験を積んで、よし、じゃあNYに行こう!って自分から動いて。今こうしてブロードウェイのレッスンにひとりで来てることの意味が、あなたわかる?」って言われたときに、「ああ、私、自分に対してのハードルが高すぎるんだな」と気づいて。

どんどん課題ばかり積み重ねて、いつまでもクリアできない自分にいらついてないで、ちゃんとひとつずつ消化していかないと、次に続かないなぁって。もうちょっと…ハードルを下げるわけじゃなく、「よし、ここまでやったぞ」ってまずは自分をほめてあげようと思ったんです。

コンサートではウィーン・ミュージカルのメドレーも計画中

『レディ・ベス』や『モーツァルト!』の再演も経て、ほかにも、宮本亜門さん、山田和也さん、上村聡史さん、福田雄一さんなど錚々たる演出家とお仕事をされていますが、今後演じてみたい役柄はありますか?
30代に入って、芸歴が長いからか声優としては若手ではなく中堅ポジションにいて、ラスボスとか人間じゃない役とか、ちょっとクセのある役をいただくことが増えているんです。おそらく、これから舞台でも私はそちらになるんじゃないかなと思います。

ミュージカル界の年齢層が若返ってきていることもあって、ヒロインとかではなく、「(バイプレイヤーとして)あの役者さんいいね」と思っていただける役どころを演じられる年齢になってきたんじゃないかと。私自身もそういう存在になっていきたいですし、演じる楽しみが広がりますね。12月の『ロカビリー☆ジャック』や来年の『サンセット大通り』も今からすごく楽しみです。
8月の「ミュージカル コンサート」では、どんな曲を歌う予定ですか?
私が一番お世話になっているのはやはりウィーン・ミュージカル。『モーツァルト!』、『レベッカ』、『レディ・ベス』などを中心に、演じた役以外の曲を歌ったらどうなるかな?という可能性も考えながら、いろいろなパターンを試しているところです。

「アニメLIVE」のセットリストはわりとすんなり決まったんですけど、ミュージカルの選曲は難しかったですね。

私、リーヴァイさん(シルヴェスター・リーヴァイ。『エリザベート』をはじめウィーン・ミュージカルを代表する作曲家のひとり)のお嬢さんと仲良くさせていただいていて、以前から「綾にこれを歌ってほしい」と言ってくださる曲があるので、今回披露できたらと思っています。

ウィーン・ミュージカルのメドレーも考えているんですよ。
たとえば『エリザベート』など、平野さんが出演されていない作品からも?
歌う予定です!『私だけに』は、一度だけファンクラブのライブで歌ったことがあるんですけど。メドレーのつなげ方がうまくいったら、すごく壮大な感じになると思います。もちろんウィーン・ミュージカルだけでなく、『レ・ミゼラブル』やブロードウェイ・ミュージカルからも盛り込めたらと。

ちょっとお腹いっぱい!ってくらいのラインナップを積み上げているので(笑)、私自身も楽しみです。

「この世界が大好きだから、この道を選んだんだ」

今やミュージカル界で欠かせない存在になりましたが、女優業と声優業のバランスはどのように考えていますか?
舞台の期間はほかのお仕事ができないこともあって、声優の仕事をしていないと思われがちなのですが、ありがたいことに長く継続しているお仕事もありますし、ずっと続けていきたいと思っています。

たとえば『アンパンマン』の現場には、声優業とほかのお仕事を長年両立している諸先輩方がいらっしゃって、参考にさせていただいています。とくに私、戸田恵子さんをすごく尊敬していて、女優としてどうしていったらいいか、相談させていただいていて。先輩方がレールを敷いてくださっているので、その姿勢を見習って、声優業も長いスパンで続けていきたいです。
ジャンルを問わず、平野さんがお仕事をするうえで大事にしていることを教えてください。
私が児童劇団に入りたいと言い出したとき、家族会議が開かれたんです。小学校高学年だったので、人によっては受験をしたり、道が分かれていく時期ですよね。「今からこの仕事を選ぶなら、一生の仕事になるようにしなさい」と親に言われて。「約束するよ」って、そのとき、絶対にこの仕事を続けるって決めたんです。

大人になってからも、迷ったときや悩んだときはそれを思い出します。両親との約束と、「この世界が大好きだから、この道を選んだんだ」って忘れないように。

だからいつも、好きだから楽しむ、ということを心がけています。
それでもつらいと思った時期もありましたか…?
ありました。やめたいと思った時期もありました。

たとえばNYに留学してすぐの頃、体調を崩してかなり痩せちゃって。頼れる人もいないし、「日本に帰らなきゃだめかな?」と思ったんですけど、なんとか元気を出すために、「うん、ミュージカル観よう!」ってブロードウェイに『アラジン』を観に行ったんです。それで元気になるって私、わかりやすすぎますけど(笑)。この大好きな世界に私は関われてるんだって。
女優としてのキャリアや年齢を重ねてもなお、“ハルヒの人”という肩書きがついてまわることに、もどかしさを感じたりもするのでしょうか…?
ぜんぜんないです! やっぱりアニソンを歌っているイメージが強いと思いますし、10代で当たり役をいただけるって、すごく幸せなことですよね。なんというか…いつまでたっても「ハルヒ」って言われるけど、当たり前だよな、ハルヒだし!って(笑)。不思議に思わないというか。

先日『うたコン』(NHK総合)に出演したときも、アニソンを歌ったことを喜んでもらえて、そうやって求めていただけるのはうれしいですね。

アニメが好きで舞台に興味がない方が、「なんで平野、ミュージカルばっかり出てるの?」ってなるのは当たり前のことだなと。でも、もしそう疑問に思ったら、そこから興味を持ってくれたらうれしいなと思います。そこからつながっていったらいいなって。

これが、海外に行くとおもしろくて、「ハルヒの人がエポニーヌやってるんだよ」って言われるんですよ(笑)。
海外ではエポニーヌの知名度がより高いからでしょうか?
そう。そういう広がり方もあるので、“ハルヒの人”と言っていただくことは、むしろ私の強みだと思います。アニメも、ミュージカルも、いろいろなきっかけで興味を持っていただけたらうれしいです。
平野 綾(ひらの・あや)
1987年10月8日生まれ。愛知県出身。O型。声優として、『涼宮ハルヒの憂鬱』(涼宮ハルヒ)、『FAIRY TAIL』(ルーシィ・ハートフィリア)、『DEATH NOTE』(弥 海砂)、『NANA』(芹澤レイラ)、『らき☆すた』(泉 こなた)、『アンパンマン』(コキンちゃんほか)など出演作多数。主な舞台出演作に、『レ・ミゼラブル』(エポニーヌ)、『レディ・ベス』(レディ・ベス)、『モーツァルト!』(コンスタンツェ)、『モンティ・パイソンのスパマロット』(湖の貴婦人)、『ブロードウェイと銃弾』(オリーブ)、『レベッカ』(わたし)ほか。

「ミュージカルの世界」特集一覧

ライブ情報

『AYA HIRANO SPECIAL LIVE 2019〜Storm Rider〜』
[クラウドファウンディング アニメLIVE]
8月8日(木)Shibuya TSUTAYA O-WEST
18:00開場/19:00開演
『AYA HIRANO 1st MUSICAL CONCERT 2019〜Starry Night〜』
[ミュージカル コンサート]
8月10日(土)Motion Blue YOKOHAMA
1st 14:15開場/15:30開演 2nd 17:15開場/18:30開演
8月11日(日)Billboard Live OSAKA
1st 15:30開場/16:30開演 2nd 18:30開場/19:30開演
8月17日(土)NAGOYA Blue Note
1st 16:00開場/17:00開演 2nd 19:00開場/20:00開演
http://ayahirano.jp/

出演作品

舞台『仮面山荘殺人事件』
[東京公演]9月28日(土)〜10月6日(日)サンシャイン劇場
[大阪公演]10月11日(金)〜13日(日)サンケイホールブリーゼ
[新潟公演]10月19日(土)りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館
http://napposunited.com/kamensansou/
ミュージカル『ロカビリー☆ジャック』
[東京公演]12月5日(木)〜30日(月)シアタークリエ
[福岡公演]2020年1月11日(土)・12日(日)福岡市民会館
[愛知公演]2020年1月16日(木)日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
https://www.tohostage.com/rockabilly_jack/
ミュージカル『サンセット大通り』
2020年3月14日(土)〜29日(日)東京国際フォーラム ホールC
https://horipro-stage.jp/stage/sunsetblvd2020/ 

サイン入りポラプレゼント

今回インタビューをさせていただいた、平野 綾さんのサイン入りポラを抽選で3名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。

応募方法
ライブドアニュースのTwitterアカウント(@livedoornews)をフォロー&以下のツイートをRT
受付期間
2019年8月7日(水)12:00〜8月13日(火)12:00
当選者確定フロー
  • 当選者発表日/8月14日(水)
  • 当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、個人情報の安全な受け渡しのため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
  • 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから8月14日(水)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき8月17日(土)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
キャンペーン規約
  • 複数回応募されても当選確率は上がりません。
  • 賞品発送先は日本国内のみです。
  • 応募にかかる通信料・通話料などはお客様のご負担となります。
  • 応募内容、方法に虚偽の記載がある場合や、当方が不正と判断した場合、応募資格を取り消します。
  • 当選結果に関してのお問い合わせにはお答えすることができません。
  • 賞品の指定はできません。
  • 賞品の不具合・破損に関する責任は一切負いかねます。
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