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「イニエスタも負けたら怒る」。神戸指揮官が見せたリアリストの一面
Sportiva
リージョは悪戯っぽく言う。 しかし、本当のところは、トレーニングまでが監督の仕事で、「実際にプレーするのは選手」という割り切りがある。そのため、ベンチでの動きは他の監督と比べて極端に少ない。 交代策をあまりしないことでも有名である。ピッチで起こっていることにコミットすることに奥手で、「必ずしも交代で状況は好転しない。ベストの11人を送り出しているからね」という姿勢の指揮官だ。 風変わりな監督に映るかもしれない。しかし、何ごともプレーの質を上げ、勝利を得るためにある。「(感情を)外に出さないので、あまりわからないかもしれないが、負けたあとのアンドレス(・イニエスタ)は怒っているよ。勝負に対する姿勢が大事だ」 リージョは、フットボーラーとしてあるべき作法について語る。「私はどんな試合だって、勝利を目指している。勝利はいつだって、プレーを改善させるからね。ルヴァンカップ(3月6日の名古屋グランパス戦)だってそうだった。メンバーは変えたが、必勝で挑んでいる。正直、(名古屋に)最後に追いつかれた(結果は2-2)ことに我慢ならない。私はまず、自分に怒っている。チームとして、勝者のメンタリティを持つことが重要だ」 勝利の方策として、必要なポジショニングやコンビネーションがある。その強度、精度を鍛える――。リージョはそれに全力を尽くす。 その一方で、システムに執着はない。
今シーズン、神戸はアメリカ遠征で便宜上、3-4-3からスタートした。その後は4-3-3、4-2-3-1と試し、現状は4-2-1-3、あるいは2-4-1-3のような形が標準になりつつある。しかしフォーメーションは、あくまでスタートポジションに過ぎない。イニエスタが扇の要のように前後左右の選手と連係しつつ、ダビド・ビジャは前線を行きかう。変幻自在が特徴と言えるだろう。 リージョは、ポジションという枠に選手をはめない。 たとえば、サイドバックはサイドハーフのような位置を取って、プレーメイクにも参加する。コンビネーションを使って幅を取り、スペースを作り、崩しにかかる。そのため、左SBの初瀬亮からに右SBの西大伍へのパス、というのも禁じ手ではない。そうやって高い位置に人を集めることで数的優位を発生させ、たとえボールを奪われてもすぐに囲い込んで奪い返し、強烈なショートカウンターを食らわせるのだ。 開幕戦のセレッソ大阪戦は、敗れたものの、62%のボール支配率を誇り、15本のシュートを浴びせた。第2節のサガン鳥栖戦は1-0で勝利し、65%の支配率で、16本のシュートを放った。仙台戦も6割以上は支配し、17本のシュートを見舞っている。「ボールありき」のコンセプトに、選手が居心地のよさを感じているのだろう。そこにはたしかな成長が見られる。それこそ、監督としてのメリットと言える。「日本人選手の底上げを考えるべきだろう。私はその可能性を、日本人よりも信じている」 リージョはそう言って胸を張る。「鳥栖戦だけでなく、セレッソ戦もタマ(三田啓貴)はよかった。高いスキルを持った選手で、主力になっていかなければならない。(古橋)亨梧も能力は高い。俊敏な選手だ。これからゴールも取れるはずだ」 1年後、三田、古橋などが日本代表に呼ばれていたら――。リージョは名将として、その名をJリーグに残しているはずだ。