ニューストップ > IT 経済ニュース > 経済総合ニュース
まぐまぐニュース
これを見ればわかるように、4年落ちの中古車を買えば、耐用年数は2年となるので、これがもっとも減価償却費では有利になります。これ以上、古いものを買っても耐用年数は減りません。耐用年数が2年ということは、定率法では償却率は1.000になっています。つまり買ってから、1年間で全額を経費に計上できるのです。
たとえば200万円で車を購入する場合、新車と中古車ではどう違うかを比べてみましょう。200万円の新車を期首に購入した場合は、その年に計上できる減価償却費は66万6,000円です。
一方、200万円の4年落ちの中古車を、同じように期首に購入した場合、200万円全額が減価償却費として計上できます。
つまり、4年落ちの中古車の場合、購入した年に新車の3倍の減価償却費を計上できるのです。だから、中古車というのは、急に儲かった年の税金対策としては打ってつけだといえます。
しかも、これがベンツとなると、さらに節税効果は高まります。なぜなら、ベンツは耐久性に非常に優れているからです。ベンツの特徴は、なんといっても優秀な性能ですが、それと同時に丈夫で長持ちということが挙げられるでしょう。そしてこの「丈夫で長持ち」ということが、節税で大きな意味を持ってくるんです。
たとえば、2013年モデルの「メルセデス・ベンツ A18ブルーエフィシェンシースポーツ」の場合、新車時には330万円程度で売られていましたが、現在、中古車として200万円程度で売られています。つまり5年以上経過しても価格は4割くらいしか下がっていないのです。
これは節税上、非常に有利になります。というのは、4年落ちのベンツを買えば耐用年数が2年なので、最初の1年間で全額を減価償却してしまいます。1,000万円の中古ベンツを買ったとしても、2年目には帳簿上の価値はゼロになってしまうのです。
でも4年落ちの1,000万円のベンツを数年間乗ったとしても、まだまだ市場価値はあります。よほどのことが無い限り、最低でも500万円、状態がよければ800万円くらいの価格で売れるでしょう。ということは、帳簿上は無価値ということになっているのに、実際には500万円から800万円の資産が残っていることになります。
中古ベンツを購入し、減価償却が終わってしまいますと、帳簿上の資産としてのベンツは消滅します。つまり帳簿上の価値はゼロということです。
しかし、先ほども述べましたように、中古ベンツは耐用年数が過ぎても、市場価値は大きく残っています。いってみれば、「含み資産」ということです。この固定資産における「含み資産」は、現在の税法では計上しなくていいということになっています。だから会社は、裏金を500万円から800万円持っているのと同じことなのです。
そして、あまり景気がよくないときには、ベンツを売り払ってしまえば、会社の資金繰りに大きく貢献するというわけです。もちろん、ベンツを売った時には、売却益は収益として計上しなければなりませんが、そのときは会社の収益が悪い時なので、節税のことは考えなくてもいいのです。
企業の経理担当者や、税務関係者の間では、こういう都市伝説がありました。「2ドアの車は会社の経費(社用車)にはできない」と。このことは、かなり以前から、経理関係では言われていたことなのです。そして10年ほど前に『なぜ、社長のベンツは4ドアなのか(小堺桂悦郎著・フォレスト出版)』という本が大ベストセラーになったことをきっかけに、この都市伝説は広まったようです。
しかし、実はこれは誤解に過ぎません。なぜ、2ドアの車はダメと言われるようになったのかというと、その理由は「2ドアの車は後部座席にお客さんを乗せることができない。社用車というものは、お客さんを乗せるためにあるのだから、2ドアの車は社用車にはできない」というわけです。
でも、裁判の判例で、この都市伝説は明確に覆されているのです。ある社長が2ドアの車を社用車とし、税務署はそれを否認したために、裁判となったのです。この社長は、2ドアの車を、出勤や出張の際に使っており、「会社の業務で使っているのだから社用車として認められるべきだ」と訴えたわけです。そして、判決ではこの社長の言い分が通りました。この社長は、プライベート用に別の車を持っており、この2ドアの車は会社のために使っているということが、はっきりしたからです。
この判決のポイントは、この社長がプライベート用の車を別に持っていたことでしょう。税務署側の主張は次の二点でした。
しかし、この社長はプライベート用に別に車を持っていたし、きちんと会社の業務で使っているという事が客観的にわかったので、社長の言い分が認められたのです。つまりは、2ドアの車であっても、会社の業務で使用してさえいれば、立派に社用車として認められるわけです。
この裁判で、社長が勝った理由をここで整理しておきましょう。判決では、次の2点をポイントとして、社長の主張が認められました。
これを見ると、2ドアの車でも実際に会社の業務に使っていれば、会社の経費で購入できるということがわかります。社用車というのは、顧客を乗せるためだけではなく、役員や社員が移動のために使うことも認められているのです。だから、スポーツタイプの車であっても、立派にその役目をはたしていれば、社用車として認められるということです。
image by: Flickr
MAG2 NEWS