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しかも、この試合の2トップは、179cmのアジョセ・ペレスと178cmの武藤のふたり。長身の相手センターバックに、ことごとくロングパスは跳ね返された。「僕としては、もうちょっと(チームとして)つないでほしかった。僕が全部、裏へ抜けるという形になって。つなげばいいところを全部、裏に蹴ってしまっていた」と、武藤も問題点を口にしていた。 そんななか、武藤なりに工夫も見せた。たとえば、最前線から中盤まで降下し、味方のパスを簡単に叩いて、前線にもう一度飛び出していくプレー。日本代表FWは動きの意図を次のように説明する。「裏を狙う動きばかりじゃなく、中盤に下りたときに足もとにつけてもらう。前の試合では、相手がいるにもかかわらず、無理やりパスを通そうとするから、ふたりがかりで潰されてしまった。ああいう場所でパスをもらうより、スペースを見つけてシンプルにプレーし、またゴール前に入っていく。そういうのが生きてくるし、それが自分に求められているタスクだと思う」 それでも、単調な攻撃を劇的に変えるには至らなかった。むしろ、ニューカッスルが抱えている問題は、もっと根深いところにある。チームの課題は「中盤の構成力不足」と「連動性の欠如」。チーム全体の問題であり、武藤ひとりで解決できる課題ではない。 それゆえ、前線に効果的なパスを供給できず、最後まで武藤を含む2トップを有効活用できなかった。結局、日本代表FWは80分に途中交代――。悔しそうな表情でピッチを後にした。「足をつったんですけど、それでもいけていた。終わった後もみんなに『なんでお前が交代したんだ?』と言われたので、みんなも自分を必要としてくれていたと感じました。でも、やっぱり悔しいですよね。ラスト10分、自分の得意なところだったし、最後決め切ることができたら、ヒーローになるチャンスだったので。FWとして0点で、チームとしても勝てなかったのは責任があります」
そんな武藤のプレーをタッチライン際で見つめていたのが、サウサンプトンの吉田麻也だった。この試合でベンチスタートを命じられた吉田に出番はなく、残念ながら日本人対決は実現しなかった。吉田も「歯がゆさしかない」となかなか出番を掴めないことに唇を噛んでいたが、武藤のプレーを次のように見ていたという。「かなり相手の嫌なところを突いていたと思います。うちの2センターバックがアジリティのところで、けっこうヨッチ(武藤)に先にボールを触られて、苦戦していたと思うので。悪くなかったと思う。 ただ、ヨッチの動きをもう少しチームメイトが見てくれていたらいいなとは思いますね。(セントラルMFの)シェルビーも、そういう繊細なプレーよりもダイナミックなサイドチェンジとかが得意で。(パスワークに長ける)キ・ソンヨンとかが入って、もうちょっと関係がよくなれば可能性があるんじゃないかと思いますけど。でも、動き出しも悪くないし、身体もキレている。いい状態ではあると思います」 とはいえ、ニューカッスルの厳しい状況に変わりはない。 4連敗こそ免れたが、チームは依然として未勝利が続く。とくに、0-1で敗れた前節のブライトン戦に続き、攻撃陣は2試合連続の無得点に終わった。今回のサウサンプトン戦は、チームの枠内シュート数が0本。先述したように「中盤の構成力不足」と「連動性の欠如」が最大の問題点だが、ストライカーの武藤にかかる責任は小さくない。 次節は11月3日にホームで行なわれるワトフォード戦。果たして、武藤とニューカッスルはこの試合を転機にできるだろうか。