一つはメッセンジャーアプリ内への自動再生動画広告の導入。同社の主な収益源である「広告」において、新たな販路が模索されているようです。
もう一つはFacebookグループの参加者を対象として、管理者が月額課金を設定する「Facebook Groups」。会員は月額4.99ドル〜29.99ドルを支払って、グループ専用コンテンツにアクセスできるとのこと。いずれもテスト段階にあり、一部ユーザーないしグループに限って実施中です。Facebookは1年半前、メッセンジャーアプリの受信箱に静止画広告を導入済み。そして動画は静止画よりも広告料金が高いため、収益源として魅力的です。さらに主力のSNSアプリ本体にはすでに広告スペースが不足しつつあり、今回の動きも必然とは言えそうです。
とはいえ、メッセンジャーはプライベートな会話をやり取りする場です。そこに商業的で静止画より自己主張の強い自動再生動画広告を割り込ませるのは、ユーザーにとって不快なのではと懸念されます。
その点につきFacebookのメッセンジャー広告担当であるStefanos Loukakos氏は「ユーザーエクスペリエンスこそ我々の最優先事項です」として、今のところテスト中でユーザーの反応を見ている段階である旨をコメント。
ただ、その一方で「メッセンジャーアプリにベーシック広告を導入した際には、特にユーザの使い方や送信されるメッセージ数に変化は見られなかった」と語っており、自動再生動画広告について楽観視していることが伺えます。
もう一つの「Facebook Groups」は、Facebookグループの管理者にコンテンツの月額課金オプションを用意し、参加者に購読料を請求できるというシステム。料金は1ヶ月あたり4.99ドル〜29.99ドルの幅で設定できるとのこと。
FacebookのGroups担当プロダクトマネージャーAlex Deve氏によれば、現時点では少数のグループを対象としたパイロットプロジェクトであるとのこと。このアイディアはグループ管理者が「より深くメンバーと関わり、コミュニティを支え続けるためにも収益化を模索したい」との意見を汲み取ったものとして、グループ内の相互扶助を支援する点が強調されています。
たとえば「Declutter My Home(わが家の片づけ)」というグループは、14.99ドルの月額料金を設定した「Organize My Home」(家の整理整頓)という有料サブグループを作成したとのこと。チェックリストとビデオガイドにより、参加者の家事を支援するというしくみです。
有料グループ管理者にはこれらのメンバー専用コンテンツを簡単に用意できるツールが提供されるほか、iOSおよびAndroid用Facebookアプリによりメンバー登録や管理もできるとのこと。TechCrunch米国版によれば、Facebookはテスト期間中は管理者から料金を徴収しないと報じられています。
かたや貪欲ともいえる収益の強化、かたや(当面は)利益を度外視したコミュニティ作りの支援。一見して矛盾しているようですが、「収益性と社会の信頼度を高める」ことでFacebookの基盤固めをしようとする意図は一致しているのかもしれません。