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ただ勝敗を決めたのはそれだけではない。 コロンビアが最初にピッチに姿を現したとき、私は彼らの傲(おご)りを感じた。2014年ブラジルW杯で準々決勝まで勝ち進んだ彼らは、自分たちの勝利を信じて疑わない様子だった。南米選手にありがちな、そうした驕慢(きょうまん)を私はよく知っている。そして彼らはピッチでその代償を支払うことになった。サッカーとはそういう風にできている。相手を見下せば、必ず手痛いしっぺ返しにあうのだ。 前半の日本は、PKのシーン以外では、全体的に攻めあぐねている感じだった。しかし後半に入ると、日本のアグレッシブさがコロンビアを凌駕するようになった。 コロンビアのホセ・ペケルマン監督が後半にハメス・ロドリゲス、カルロス・バッカという2人のアタッカーを投入したことは驚きだった。この交代で彼は「試合に勝ちたい」という強い気持ちを見せたのだろうが、10人で戦い続けたチームがどれほど疲れていたのかまでは、見えていなかったようだ。 日本が得た勝ち点3は非常に貴重なものではあるが、ゆめゆめこの勝利で慢心してはならない。決勝トーナメント進出においては、まだ小さな一歩に過ぎない。 セネガルもポーランドに勝ったことで、グループHは先行きが読めなくなった。次の試合は日本にとってもセネガルにとっても、非常にハードなものになるだろう。 セネガルは次の試合でグループリーグ突破を決めようと、何が何でも勝とうと出てくるはずだ。彼らの身体能力は恐ろしく高く、また経験も豊かだ。ほとんどの選手がヨーロッパ5大リーグの強豪チームでプレーしていることは、彼らの持つ大きなアドバンテージである。
しかし日本人も、それには及ばないものの、決して無名のチームでプレーしているわけではない。多くの選手がヨーロッパのチームに所属しているので、戦術もよく理解し、勝ち残るための駆け引きも身につけているだろう。西野監督もきっとわかっているとは思うが、引き分け狙いで闘っては絶対にダメだ。守りを固くすることは必須だが、同時にゴールを得るために前に出なくてはいけない。互いにベスト16入りの夢をかけた試合は、絶対に0-0のスコアレスなどでは終わらないはずだ。 もうひとつのコロンビア対ポーランドの試合の結果も非常に重要になってくる。日本にとって一番理想的なのは、この試合が引き分けに終わることだろう。 日本が決勝トーナメントに勝ち進むことを私は心の底から願っている。日本代表は、黙々と自分たちのすべき仕事をし、最後の最後まであきらめず戦い続けるチームだ。どんなに不利な状況になっても、タイムアップの笛が鳴るまで、まるで決勝を戦うようなスピリットで戦い続けることができる。そんなチームは世界を探しても日本と、あとアイスランドくらいだろう。片やバイキングの末裔、片やサムライの末裔たちだ。 いま、私はオーストリアのグラーツにいる。健康状態はあまりいいとは言えない。もしかしたらリスクの高い治療を受けなくてはならないかもしれないが、妻のアシマの励ましを力に変えて、すべてがいい方向に向かうことを願っている。あまり元気ではないが、それでもすべての試合をテレビ観戦している。まあ、時にはソファーでうとうとしてしまうこともあるが……。 今大会はここまで多くのサプライズが起こっていて、W杯の醍醐味を感じている。それでもやはり最後には有力と言われているチームが決勝トーナメントに駒を進めるのだろう。だが、そのなかにひとつでも多くのサプライズチームが入ってくれれば、それはサッカーにとってすばらしいことである。日本に期待している。
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