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「前任者が築いたチームをほぼ継承する」としている西野監督は、こうしたタイプを現在の日本代表メンバーから選出する場合、おそらく長谷部誠(フランクフルト/ドイツ)と山口蛍(セレッソ大阪)を、その候補として順当に選ぶと思われる。 だが彼らよりも、西野監督が意図する任務を忠実に実践できる能力を持った選手が、現在のJリーグにいる。ガンバの今野泰幸だ。ハリルジャパンでも重宝されていた今野泰幸 思い出されるのは、ハリルホジッチ監督時代の2017年3月23日に行なわれたW杯アジア最終予選の、アウェーのUAE戦(2-0)である。 その試合に欠場した長谷部の代役として約2年ぶりに代表に招集された今野は、戦前の予想をはるかに上回るパフォーマンスで勝利に貢献。相手の司令塔であるオマル・アブドゥルラフマンを封じ込めただけでなく、機を見て前線に顔を出し、ゴールまで叩き込むという特筆すべき活躍を見せた。 この試合における今野は、相手に押し込まれる局面では山口とダブルボランチを形成し、それ以外の局面ではインサイドハーフの位置で守備的な任務を遂行。戦況を見極めて、自分のポジションを適切に変化させるという高度な仕事をわずか数日のトレーニングで理解し、ほぼ完璧にその任務をやり遂げた。 その能力は、長谷部や山口が及ばないレベルにあった。
現在35歳のベテランには、確かに故障が多いという不安材料がつきまとう。とはいえ、昨年12月のE-1東アジア選手権でもハリルホジッチ監督から高い評価を受け、現在は故障から復帰してコンディションは上昇中だ。 だとすれば、短期決戦のW杯において、西野監督が今野に重要な役割を与える可能性は高い、と見ていいだろう。 しかも今野は、ザッケローニ監督時代にはセンターバックのレギュラーとして活躍し、2014年ブラジルW杯に出場。2010年南アフリカW杯でもメンバー入りを果たす(途中出場1試合)など、大舞台での経験は豊富だ。 また、状況によってサイドバックもこなせるというユーティリティー性も兼ね備えており、監督にとってこれほど有効な戦力は他にいない。 残された時間がないなかで、西野監督がロシアW杯でどのような戦い方を選択するのかはまだわからない。しかし、どんな戦略で挑むにしても、今野がその”助け”になることは間違いないだろう。
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