00年代前半に一時代を築いた男も今年で42歳となった。引退した翌年の09年から指導者の道を歩み始め、現役最後のクラブとなった京都でコーチに就任。14年に佐川印刷京都のヘッドコーチ、15年からは京都U-18の監督を歴任した。そして今季から、自身初となるJクラブの指揮官として、鳥取の地で日々奮戦を続けている。
しかし、開幕からなかなか結果が出ない。10月16日に行なわれたFC東京U-23戦に敗れ、これで7連敗。現在の順位は17チーム中16位だ。「自分たちのミスから失点してしまって、そこが決定打になってしまったのはとても残念」と語り、悔しさを滲ませた。
とりわけ感じているのは、J3特有の「難しさ」だ。
「サッカー界の将来を担うような若手プラス、経験のある選手で構成されているチームがあれば、自分たちみたいに小規模でやっているクラブもある。J3の不思議なところでもあるけど、それが魅力であり、醍醐味だと思う。うちは若い選手が多いけど、クラブをどういう方向に持っていくのか。育成型になっていくのか、自分たちが上を目ざしていく上で1シーズンで勝負をかけるのか、複数年を掛けて挑むのか。そういうところのすべてが常に求められる。そうしたところが、J3で はより求められているのかなと思う」(森岡監督)。
小規模の予算で運営しているところもあれば、この日のFC東京のように23歳以下で戦う余裕のあるチームがある。育成型クラブを目ざすところもあれば、J2復帰を最大のミッションとして戦うところもある。置かれた状況はまさに千差万別だ。
ただ、全チームに共通して言えることがある。それは負けていい試合など、ひとつもないということだ。
それは森岡監督も理解しており、「さすがに結果が出なければ、何年かチームを託すと考えていても、クラブは決断しないといけない」と話す。だからこそ新米指揮官は、勝利を追求しながらも選手の育成も怠らない。両輪を回しながら、突き進んでいる。
「J3は地方都市をホームタウンにしているチームが多い。どうしても小規模なので、求められるところも多い。育成をしながら、勝ちにいかないといけない」
その狭間の中でもがきながら、どのようにチームを作り上げていくのか。森岡監督の新たな挑戦はまだ始まったばかりだ。
取材・文:松尾祐希(サッカーダイジェストWeb)