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特に長友の場合、不運にも、非常にデリケートな試合で2度のとんでもないミスを犯してしまったことが響いている。 最初のミスは昨年11月3日のヨーロッパリーグ(EL)、アウェーでのサウサンプトン戦でのことだ。サウサンプトンMFの左からのクロスを、長友が自陣ゴールへと入れてしまう。この一戦は、デ・ブールが解任され、暫定的にステーファノ・ヴェッキがチームを率いていた微妙な時期の試合だった。だが、ELで駒を先に進めるには、どうしても勝たなければいけない試合といえた。結局、このオウンゴールがインテルの希望をすべて消し去ることになってしまった。不運ではあったが、集中力に欠けていたこともあると思う。 もうひとつは4月30日のホームでのナポリ戦。ピオリが指揮した最後から2番目の試合だ。このときはゴール前に上がったクロスの処理を長友がミス。クリアするどころかホセ・カジェホンへのアシストとなり、ナポリの決勝点を生み出してしまった。来季のEL出場権を手に入れるため、6位以内を目指していたインテルは、1試合も落とせない状況だったのだが……。 残念なことに、このふたつの決定的なミスは、インテリスタの脳裏に強く焼き付けられ、長友の今シーズンは「失敗」の烙印が押されてしまった。インテルに来てからの長友を見ている限り、こんなミスを犯すことは珍しい。
2011年1月、長友はチェゼーナからインテルへと移籍してきた。4バックでも5バックでもプレーできる資質、高い身体能力、豊富な運動量、仕事に対する真摯な姿勢、スポーツマンらしい私生活、それらすべてが彼をインテルに呼びよせ、契約延長ももたらした。移籍して半年後にはコッパイタリア優勝も果たした。パレルモとの決勝戦では90分フルに戦って勝利に貢献している。 インテルでの6年半の間に、長友はインテルのロッカールームの中心的存在ともなった。インテルに対する忠誠心からだけでなく、彼のフレンドリーな性格や、チームメイトへ惜しみなく力を貸すその態度が求心力となった。同時に、彼のイタリア語も目覚ましく上達していく。もちろん細かいニュアンスを説明するのは今も日本語のほうがいいようだが、それでもイタリア語をよく理解し、巧みに話す。 ミスをしたナポリ戦の2日後も、長友はロッカールームでチームメイトに謝罪し、イタリア語で、「より一層精進し、決して同じようなミスは繰り返さない」と誓った。インテリスタはそんな彼の陰日向のない、常に全力を尽くすプレーを高く評価してきたものだ。 しかし、長友の未来はミラノとは遠く離れた場所にありそうだ。インテルはDFの選手のほとんどを変えるつもりであり、確実に残ることがわかっているのはダニーロ・ダンブロージオだけだ。長友はおそらくイタリア国外に移籍し、インテルのEU外選手枠をひとつ空けることになるだろう。
長友としては、あと数年、ヨーロッパのトップリーグでプレーし、日本代表の主役としてW杯を迎えるつもりではないだろうか。例えば、ブンデスリーガでは多くの日本人選手が活躍しており、彼に興味を持つチームも少なくない。今わかっている限りでも、ヘルタ・ベルリンとマインツがインテルに問い合わせをしてきているようだ。 とにかく今後15日間に大きな動きがあることだろう。 しかしインテルを去ろうとも、背番号55を背負ったチーム初の日本人選手のことを、インテリスタは決して忘れることはない。彼がこの6年半、チームに与えてくれた多くのものとともに……。
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