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この12月から銀座線車内での無料Wi-Fiサービスを開始した東京メトロ。同社はすでに全駅で同様のサービスを展開しており、「外国人客などに好評のため、さらなる期待に応えるべく」(同社)車内での導入に踏み切ったという。銀座線からスタートしたのは、上野や浅草など、外国人観光客に人気の高いスポットを沿線に抱えているためだ。現在は1編成だが、2016年度末までに5編成、2020年度までに全40編成に導入する予定で、五輪開催時の整備率は約8割になるという。また、今後新型車両への置き換えが行われる日比谷線と丸ノ内線も、新車の導入に合わせて無料Wi-Fiサービスを導入する。日比谷線は2016年度から2020年度にかけて、丸ノ内線は2018年度から2022年度にかけて全編成に整備する方針だ。その他の路線についても、車両のリニューアル時に整備する方向で検討しているという。 車内の無料Wi-Fi整備で先行しているのは、東京のもう一つの地下鉄である都営地下鉄だ。東京都交通局は2013年から都営バス車内で無料Wi-Fiの提供を開始していたが、地下鉄車内でも今年2月から、空港アクセス路線として外国人の利用が多い浅草線を皮切りに導入を開始した。
東京の地下鉄では都営が先行
東京都交通局によると、すでに浅草線を走る都営の車両27編成全てで利用が可能なほか、11月の時点では大江戸線を走る55編成中8編成に導入が完了している。大江戸線で対応車両に乗り合わせる確率はまだちょっと低そうだが、浅草線なら白い都営地下鉄の車両に乗り合わせれば、無料でWi-Fiが使えるわけだ。東京都交通局では、五輪開催前の2020年3月に向けて全線・全車両への導入を目指すという。都営地下鉄が一歩リードしている東京の地下鉄車内無料Wi-Fiだが、地下鉄ではないもののさらに先を行っている路線がある。東京モノレールだ。同社は今年10月から、全線・全車両で無料のWi-Fiサービス「TOKYO MONORAIL Free-Wi-Fi」を導入した。こちらは特に訪日客対象とはPRしておらず「どなたでもご利用可能」。全駅・全車両同時に全ての利用客を対象とした無料Wi-Fiの整備が完了するのは、日本の鉄道では初めてという。
これに比べると、地下鉄の無料Wi-Fiはどちらも「訪日外国人観光客向け」として展開されており、一見すると外国人しか使えないように思えてしまう。だが、実際には日本人も利用可能だ。東京メトロの無料Wi-Fiは「Metro_Free_Wi-Fi」、都営地下鉄は「Toei_Subway_Free_Wi-Fi」という名称のSSID(ネットワークの識別名)だが、いずれも「Japan Connected-free Wi-Fi」という、国内の数多くの無料Wi-Fiに対応したスマートフォン・タブレット用のアプリに対応しており、数ある言語の中に日本語版も用意されている。積極的にPRされてはいないが、日本人利用者も使えるサービスなのだ。今後私鉄各社が導入する「座れる通勤列車」でも無料Wi-Fiの整備は進みそうだ。西武鉄道が2017年春から座席指定制の列車として運行を開始する予定の新型通勤電車「40000系」は、同社の特急電車「レッドアロー」で使用されている「SEIBU FREE Wi-Fi」を導入予定。京王電鉄が2018年春から運行を開始する予定の座席指定制列車でも、無料Wi-Fiの導入が予告されている。総務省の調査によると、日本国内の無料Wi-Fiサービスに不満足と答えた訪日外国人は2011年10月には36.7%に達していたものの、2013年12月には3.7%まで減少。「十分ではない」との答えも引き続き約3割はあるものの一定の評価を得ており、ある程度整備が進んできたといえる。この10月には、京急電鉄の新型通勤電車にコンセントが設置されたというニュースが注目を集めたが、通勤・通学の車内でのスマホやタブレットといったモバイル通信機器の利用に対する需要は高い。車内でネット利用が可能なのは公共交通機関ならではのメリットでもある。訪日外国人向けWi-Fiサービスが広がりつつある今、日常的な利用者である通勤・通学客向けのサービス拡充にも期待したい。
著者小佐野 景寿 :東洋経済 記者<関連記事(東洋経済オンライン)>・欧州の「新型車両」はいったい何がスゴイのか・1車両に4口!京急「コンセント電車」の全貌・新型ロマンスカー、「観光」以外にもある狙い