撮影/西村 康 取材・文/照沼健太 ヘアメイク/小菅美穂子(Sweet) どうやって歌えばいい? 最初は悩んでばかりいた
――2014年4月に、テレビアニメ『悪魔のリドル』のOPテーマ『創傷イノセンス』でソロデビュー。音楽活動を開始してもうすぐ3年になりますが、振り返ってみていかがですか?とても充実していた3年間だったので、一瞬だった気がしますね。とくに1年目と2年目はスキルがないこともあって、どうしたら歌をうまく歌えるのかとか、体力がないけどライブをどうすればうまくできるのかとか考えながら、目の前にあることをがむしゃらにやってました。
――音楽活動は思った以上に難しかった?もともとカラオケで歌うことは好きで、お仕事でもキャラソンを歌っていたので、もっと上手くできる気がしていたんです。でも、始めてみたらうまくできないことばかりで。
――具体的にはどこで悩みましたか?なかなか歌もうまくならないし、体力がなくて迫力のあるライブもできない。ポエムを書くのは好きだったのに、歌詞も思うように書けない。「音楽活動って本当に難しい!」と思っていました。
――なるほど。ライブでは体力面に不安があったんですね。「ライブになると何もできない」という感じでした。最初のライブでは、一曲歌っただけでバテてしまって、2曲目からは声がブレブレで歌いきれなかったんです。「みんなが思ってるほど何もできないな、私…」って、1年目は本当に悩んでいましたね。
――そうやって壁にぶつかったときは、どうやって解決しようとする?私は悩んだりすると、マネージャーさんだったり周りの人たちに話を聞いてもらって、みんなからいただいた意見をまとめることが多いです。そのときは、ボイトレをいっぱいしたり、ジムに行ってみたり、ヨガをやってみたり、基礎トレーニングの内容を見直してみたりしました。基礎トレはそれまでもやっていたんですけど、自己流じゃダメだなって。“内田真礼”という名前をひとりで背負って活動することが難しいことに気づいたんです。
――声優アーティストとしてデビューするにあたって、イメージした歌手の方などはいましたか?それがいなくって。デビュー曲の『創傷イノセンス』はロックかつちょっと中二病っぽいイメージだったので、自分が昔歌ったキャラソンを思い出しながら歌いました。自分の引き出しから引っ張ってきて歌うって感じでしたね。
――そこもまさに自己流だったんですね。ボイトレの先生に聴いてもらったら、「こんな声じゃ歌えない! 歌いづらい音で歌ってる!」って言われましたけど(笑)。声優だからこそかもしれないですけど、どの歌声が自分の出しやすい声なのかわからなくて、そこは最初、すごく悩みましたね。
私の歌声を聴いて、楽しい気持ちになってもらえたら
――内田さん自身は、もともとどういう音楽を聴いていたんですか?R&Bが好きなんです! 三浦大知さんやBoAさん、m-floやBlueもよく聴いてました。
――そこと内田さんの音楽は、けっこう距離がありますよね。自分のやってる音楽は、テンションが高いガールズロックやガールズポップが多いんですけど、今の方向性は、音楽プロデューサーの冨田明宏さんが私にできることや向いていることを考えてくれた結果、できたものなんです。
――なるほど。そのおかげで音楽活動を続けて来られたと思うんですけど、やれるものだったらいつか、R&Bを歌って踊ってみたいですね。
――デビューした頃と比べて「成長したなぁ」「変わったなぁ」と思う部分はありますか?当初は「上手くできなかった」と後悔してばかりいたんですけど、最近はライブが楽しく思えるようになりました。今年2月のワンマンライブが終わってから、「もっとこうしたい! こういうことをしてお客さんに喜んでもらいたい!」という気持ちがこみ上げてきたんです。
――苦手だったライブ活動に対する意識が変わった?はい。後悔よりも「やってよかった」と思えることが増えてきました! 「こうしたらお客さんが喜んでくれるだろう」という想像も明確にできるようになってきたし、自分も楽しみつつ、スタッフさんや周りの人たちと話してブラッシュアップしていければと思っています。
――今後、“アーティスト・内田真礼”として、どういうメッセージを伝えていきたいとお考えですか?私が「内田真礼っぽい」と思う声には、あっけらかんとしたハッピーな感じがあると思うんです。だから、ファンのみなさんが私の歌を聴いてちょっと救われたり、楽しい気持ちになってくれたらいいなと思って歌っていますね。ライブでもテンション高く息も絶え絶えになっていますけど(笑)、その瞬間瞬間で笑顔があふれるライブにできたらいいなって。それが、内田真礼が“伝えたいこと”なんだと思います。
――だとしたら成功していると思います。今回の新作ミニアルバム『Drive-in Theater』を聴かせてもらって、そう感じました。ホントですかー! よかったー!(笑)