ニューストップ > IT 経済ニュース > 経済総合ニュース
週プレNEWS
投資用賃貸アパートが増えすぎて、高止まりしていた首都圏の家賃相場がジリジリと下がり始めたのも不気味だ。総務省のデータによれば、今年8月の東京都の家賃は前年同月比マイナス0.4%。次々と新しいアパート物件が登場するなか、居住者にとどまってほしい大家が家賃を引き下げているのだろう。
はっきり言おう。今の不動産市場の活況は、アベノミクスと日銀の金融緩和が生んだバブルだ。
人口減少が進むなか、いつまでも不動産価格が上がり続けるはずがない。全国の空き家数は約800万戸にも上るが、冷静に考えれば、賃貸アパートのニーズは将来的に小さくなるはず。
なのに、日本人の不動産投資熱は衰えない。マイナス金利が実需なき不動産投資を呼び起こし、節税目的で賃貸住宅を建設する個人への融資も増えている。その結果、すでにアパートがだぶつき始める地域も出てきた。
心配なのは30代、40代の若い大家だ。銀行が「頭金ゼロ」の融資に踏み切った結果、資産を持たない人々がアパートのオーナーになってしまっている。
不動産バブルがはじけて、想定していた家賃収入が入らなければ、ローン返済はおぼつかない。物件を売却して返済しようとしても、不動産価格が下落すれば完済は難しい。どう転んでも大きな借金を抱え込まざるをえず、最悪、自己破産だ。
「タダより高いものはない」というが、今の不動産投資はその言葉がピッタリ当てはまる。
●古賀茂明(こが・しげあき) 1955年生まれ、長崎県出身。経済産業省の元幹部官僚。霞が関の改革派のリーダーだったが、民主党政権と対立して2011年退官。著書『日本中枢の崩壊』(講談社)がベストセラーに。近著に『国家の暴走』(角川oneテーマ21)