細田監督が自分を、観客を、キャラを最も信用していた最後の劇場アニメは『ONE PIECE THE MOVIE オマツリ男爵と秘密の島』でしょう。制作されたのは、幻の細田版『ハウルの動く城』がご破算になった直後のこと。 後半で仲間を一人、また一人失って絶望のどん底に落とされるルフィは、慣れないジブリで仲間を集めたのに、全てを失った細田監督の姿にかぶります。海賊の仲間を奪うのが楽しみだと暗い愉悦にひたり、ルフィの全身を串刺しにするオマツリ男爵もまた細田守。かわいい幼女に励まされて逆転の一撃を放つ頼りないお父さんも監督……の願望?