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知らなきゃ損する「名古屋ルール」【2】
※ビジネス編はこちら(http://president.jp/articles/-/15149)
名古屋人にとっての「喫茶店」は、もはや暮らしの延長線上。自宅に客が訪ねてきても、行くのは近所の「喫茶店」。取引先との商談も「喫茶店」ですることが多い。これを実証するかのように、総務省が行った家計調査では、「喫茶代」支出がダントツに多いのが名古屋。なぜ、これほどまでに「喫茶店」を愛するのか。全国的にも有名な「モーニング」は、自宅で朝食を作って食べるよりもはるかにお得=お値打ち。コーヒー1杯の値段で自動的にトーストやサラダ、ゆで卵などが付いてくる。モーニングに限らず、飲み物にはお茶請けのお菓子が付くのは当たり前。喫茶店ならついでにお菓子も食べられるとあらば、誰もが喫茶店に通うのは当然のことだろう。強者はコーヒーチケットなるお得な回数券で行きつけの店をいくつか持つほど。さらに土日は、朝からモーニング目当ての家族連れが列をなすなど、喫茶店はもはや生活の一部。「はよ起きないと、モーニング終わってまうがね」は、休日に子どもを起こす母親の常套句だ。喫茶店は、おしゃれなカフェでは決して味わえない「お値打ち」感が満載なのである。
名古屋人は大きくてかさばるものが大好き! これを顕著に表しているのが結婚式の引き出物。高価な小洒落たグラス2個より、羽毛布団などが好まれる。布団まではいかずとも、あれもこれもと組み合わせて大体5 つぐらいを大袋に揃えるのが最低の常識。見栄っ張りな名古屋人の基本は「見た目」。重い・かさ高・ブランドの三拍子揃ってこそ相手も自分も満足なのだ。お中元やお歳暮に「カツオ節」が好まれるのもこれによるもの。かさが出て縁起がいいとくれば、「カツオ節」に勝るものはなし。大きいものを届けた、もらったという充足感に浸れるのである。
名古屋人の好きな言葉に“お値打ち”がある。そもそもこの言葉、今では全国の日本人が使っているが、元は名古屋人の発想から生まれた“名古屋語”だったよう。「お買い得」と同意語だが、実は「お買い得」は、「安い」が前面に押し出されている言葉。名古屋人の「お値打ち」は、「価値がある」「長く使える」といった意味が込められた、名古屋での最頻出ワードなのである。「価値があって、さらにリーズナブル」を名古屋人はこよなく愛し、買い物は吟味に吟味を重ねる。名古屋人は、決して「安物買いの銭失い」とはならないのである。
名古屋人の味噌好きは周知のとおり。そして名古屋人のソウルフードといえば「味噌煮込みうどん」だ。ただし、はじめて食べる人がみな一様に驚くのが、うどんの固さ。まるで生煮え、よく言えばアルデンテ。一人用の土鍋にグツグツの状態で登場する「味噌煮込みうどん」だが、うどんはなぜか固い。これは、煮込みすぎるとうどんの風味が落ちるから。ぐずぐずに軟らかいうどんでは「味噌煮込み」ではないのである。そして正しい食べ方は、蓋を小皿代わりに使うこと。熱々のうどんと汁を蓋に取り、冷まして食べるが正解。だから蓋に穴はないのだ。
地元をこよなく愛する名古屋人にとって、出身地へのこだわりが強いのは当たり前。名古屋人であれば「出身は?」と聞かれて「愛知」と答える人間はまずいない。堂々と「名古屋(または名古屋市内)」と答えるのである。これは、「愛知県」の認知度の低さによるものとの説もあるが、名古屋人の地元愛の強さ故のことだろう。また「名古屋のほう」「名古屋のあたり」と答えるのは、名古屋市以外の出身の人間。名古屋人は、市内市外をきっちりと線引きし、都会と田舎を区別する。出身地の言い方を聞けば、名古屋人かそうでないかはすぐわかる仕組みになっている。
名古屋で驚くのが、車のマナーの悪さ。通称「名古屋走り」と言われる、「赤信号でも突っ込む」「車線変更でウインカーは出さない」「歩行者信号が点滅したら見切り発車」など、一歩間違うと事故を起こしかねない運転が多い。幅広で走りやすい道路が、運転マナーの悪さに拍車をかけている要因でもあるよう。しかし、当の名古屋人たちは「悪い」と思っていない。むしろ、マナーを守ると逆に事故を起こす(!?)とうそぶくほど。これを見越して、信号が点滅したら横断歩道を渡らないなど自己防衛するのが、名古屋人の交通ルールなのだ。
名古屋の「味噌」といえば、赤黒い「八丁味噌」のこと。八丁味噌は大豆のみで造られており、別名「豆味噌」とも呼ばれている。大豆100%に加え、製造に手間ひまがかかるため戦時中は贅沢品として規制されていたほどだ。名古屋の味噌汁はこの八丁味噌を使った「赤い味噌汁」。信州味噌や、西京味噌などを使ったものは、「合わせ」や「白味噌汁」と呼んで完全に区別。あくまでもフツーは「八丁味噌」なのだ。トンカツにもドロドロ味噌ソース。おでんも味噌をつけるのがフツー。うどんも味噌煮込み、なんでもかんでも味噌味にするのが「フツー」なのだ。
名古屋名物といえば「手羽先の唐揚げ」がある。どの居酒屋にも必ずある、コショウが効いた甘辛の手羽先は、名古屋人の大好物! しかも他県人には食べにくい、あの骨についた身をキレイに平らげるのが名古屋の流儀。残った骨を見れば、他県人か名古屋人かすぐわかるほどだ。骨を抜いて食べるか、骨にしゃぶりつくかは自由。東京にも進出した居酒屋チェーン「世界の山ちゃん」の箸袋には、手羽先の食べ方がしっかりと書いてある。出張前にまずは練習を重ねて手羽先マスターとなっておこう。骨までしゃぶりつくす姿を見れば、名古屋人もびっくり!親近感も湧く!?
豪華な嫁入り道具に代表されるように、「娘が3人いると家がつぶれる」と言われるほど、名古屋では嫁入りにカネをかける。ケチな名古屋人がなぜ?と思うだろうが、実は豪華な嫁入り道具は、娘への財産分与の一種。現金で渡すと税金がかかることから、堅実な名古屋人が編み出した素晴らしいカラクリだったのだ。さらに、豪華な家具類は「大きくてかさ張る」。名古屋人の見栄っ張り性分にはピッタリだ。まず隣近所に披露し、新居に運ぶ際には、鶴亀の紅白幕を掲げたトラックでド派手に運ぶ。稀にガラス張りの透け透けトラックで運ぶ家もあるほど。これらはすべて名古屋人の「見栄」。
「ウチの娘は価値がある」「これだけカネをかけた」と他人にアピールするのが狙いだ。ただし、最近はほかの節税対策を発見したのか、嫁入り道具のレンタル業も出現。お披露目家具をレンタルしてでも「見栄」だけは張りたいのが名古屋人なのだ。ちなみにこの嫁入りトラック、荷物を降ろすまでは決してバックしてはならず、前進あるのみ。やむないときは、紅白幕をはずしてからバックしなければならないという厳しい(?)掟がある。
(文=戌亥真美)