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問われるのは高市首相への「白紙委任」の是非~「自分ファースト解散」(朝日新聞)「大義を欠く権力乱用」(中日新聞・東京新聞) ※追記:「国論二分」発言

 主権者に対して、これほどあけすけに自らへの「白紙委任」を求めた首相がいたでしょうか。異なる意見や主張であっても、熟議を重ねて合意形成に努めるのが民主主義の本義であり、国会こそ、その本来の場です。そのことを否定したも同然の高市早苗首相は「独裁」を志向しているのか―。そんな疑問すら感じました。
 高市首相が1月19日に記者会見し、1月23日に開会する通常国会の冒頭、衆議院を解散することを表明しました。会見をテレビの中継で見ていました。最初から強烈な違和感がありました。解散の理由を、高市早苗が首相でよいのかどうか主権者に問いたい、と切り出したからです。自民党でもなく、連立与党でもなく、まず「高市早苗」。
 驚いたのは、冒頭の首相の発言が終わり、質疑に入ってからです。「予算の審議を遅らせてまでこのタイミングで解散する大義は何か」と問われた、その答えです。読売新聞が20日付朝刊に会見の要旨を詳しく掲載しています。該当部分を引用します。

 昨年、公明党との連立の枠組みのもとで衆院選を行ったが、その後、日本維新の会との連立に枠組みが変化した。政策面でも新たな連立合意に基づき、新たな政策を推進している。物価高対策を含む生活の安全保障については、当面の対策を打つことができた。
 このタイミングで政策実現のためのギアをもう一段上げていく。責任ある積極財政への経済財政政策の大転換、インテリジェンス機能の強化などは国論を二分するような大胆な改革だ。改革をやり切るためには政治の安定が必要で、有権者の信任を得たいと考える。
 物価高対策については、野党の提案を取り入れながら、何とか手を打つことができた。これから半年近くに及ぶ国会で、国論を二分するような大胆な政策、改革に批判を恐れることなく果敢に挑戦していくためには、どうしても政治の安定が必要だ。そういった意味から今回の決断に至った。

 「国論を二分」するような政治テーマであれば、議論を尽くし、合意形成を図るのが民主主義のはずです。しかし、高市首相の言葉からうかがえるのは、国会で安定した多数の議席を得れば、その数の力で異論や反対意見は押し切ることができる、との「数の論理」です。議論を尽くした上で主権者の信を問う、という姿勢ではなく、国論を二分する中で異論、反論を押し切っていきたいから、あらかじめ自分に信任を与えてくれ、という風にしか、わたしには受け止めようがありません。
 思い起こすのは安倍晋三元首相の政治手法、「アベ政治」です。「自民党1強、安倍1強」の議席数を背景に、安保法制を始めとして、採決を強行する強引な手法でした。ただ、その安倍元首相でも、選挙を前にこうまであけすけに「白紙委任」を求めることはなかったのではないでしょうか。
 仮に、この衆院選で自民、維新の両党が安定多数の議席を得ればどうなるか。「主権者の信任は得ている」として、国論を二分するようなテーマが拙速に、数の力で次々に押し切られていくことになるのだと思います。そのこと自体が、日本社会の民主主義の危機です。
 そしてその国論を二分する政策の内容です。このブログでも触れてきているように、ことあるごとに「強さ」を強調する高市首相は、大規模の軍拡を志向しています。本質は戦争の準備であり、いつでも日本が戦争できる国になることです。「戦争」のハードルを下げるために、必然的に憲法は改変しなければなりません。
 19日の会見では、高市政権の右傾化の指摘をめぐる質問もありました。高市首相は右傾化を否定し、「普通の国になるだけだ」と答えました。軍事力を信奉し、力には力で対抗することが「普通」だとすれば、日本はその「普通」を憲法9条で否定しています。

第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
② 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

 「非戦」「不戦」は81年前の敗戦の教訓を踏まえた日本の国是です。「普通」の国ではない、そうであってはいけないという先人たちの思いは、戦争の惨禍を、身をもって体験したからこそのことでした。高市首相には、その歴史に対する真摯な考察が感じられません。
 衆院選で主権者に問われるのは、高市首相に白紙委任を与えるのかどうかであることが、はっきりしたと感じます。高市首相が白紙委任を得ることになれば、日本は戦争できる国になっていきます。同時に民主主義も形骸化していきます。
 衆院解散を前に、立憲民主党と公明党が、衆院選をたたかうための新党「中道改革連合」を結成しました。異論や批判も相次いでおり、この枠組みが高市政治への対抗軸に結実していくのかどうかは分かりません。衆院選で重要なのは、まずは高市首相に白紙委任を与えない、熟議の民主主義を守る、ということだろうと考えています。仮に自民党中心の政権であっても、別の誰かが首相になるだけでも、状況は変わる可能性があるはずです。

 19日の記者会見を東京発行の新聞各紙がどう報じたか、各紙の20日付朝刊1面の主な見出しを書きとめておきます。19日には中道改革連合も基本政策と綱領を発表しており、1面のトップ記事に高市首相の会見、2番手に中道改革連合という組み方が共通しています。

 高市首相の会見の見出しでは、この衆院選で問われることとして、自民、維新の連立の枠組みや積極財政、消費税減税が挙がっています。こうした見出しからは、高市首相が自らへの「白紙委任」を求めたことは読み取りづらいと感じました。

■朝日新聞
「23日解散 首相表明/進退かけ連立問う■食品消費税ゼロ検討加速/27日公示 2月8日投開票」
「民意軽んじた解散権の乱用」松田京平・政治部長
「安保法制『合憲』原発は容認/中道、基本政策・綱領発表」

■毎日新聞
「首相『自維連立 信問う』/23日解散 来月8日投開票/与党過半数『進退かけ』/食品消費税『2年間ゼロ』」
「中道は『恒久的ゼロ』/基本政策『生活者ファースト』」
「構図一変 自民危機感」※3面・クローズアップへ

■読売新聞
「衆院23日解散/首相表明 自維連立・積極財政問う/与野党 食料品消費税ゼロ/来月8日投票」
「中道、安保法制『合憲』/基本政策 原発再稼働を容認」

■日経新聞
「衆院選 来月8日投開票/首相『23日解散、積極財政問う』/食品消費税 2年ゼロ/財源詳細示さず」
「中道、食品税率ゼロ『恒久に』/消費税 基本政策で5本柱/安保法制は『合憲』明記」

■産経新聞
「『与党過半数』上乗せ自信/23日解散 首相『進退懸ける』/衆院選 27日公示、2月8日投開票/食料品、2年間消費税ゼロ」「自民単独達成も見据え」
「中道綱領 安保法制は『合憲』/基本政策 原発再稼働を容認」

■東京新聞
「衆院選 来月8日投開票/高市首相表明/自・維連立 是非問う/『食品消費税2年ゼロ』/23日解散 27日公示」「自民裏金現職公認へ」
「中道が綱領・政策発表/『生活者ファースト』重視」

 各紙とも20日付の社説でも、高市首相の会見を取り上げました。ネット上の各紙のサイトで全文を読むことができます。
 朝日新聞、毎日新聞、日経新聞、東京新聞(中日新聞と共通)は解散に大義がないとして批判しています。朝日新聞は「自分ファースト解散」と呼んでいます。
 これに対して産経新聞は「解散の大義名分は十分ある」と擁護。読売新聞は批判や支持からは距離を置いて「高い内閣支持率がある自民党が当初有利との見方もあったが、楽観的にすぎるかもしれない」「政権の安定した体制作りに繋がるか、それとも政界大変動をもたらすのか、重大な選択となる」と淡白な印象を受けました。
 各紙の見出しとリンク先、本文の一部を書きとめておきます。

▼朝日新聞
「大義なき冒頭解散 国民より首相の『自己都合』優先」/支持率頼みの「奇襲」/解散権の乱用ただせ/熟慮の政治はどこへ
 https://www.asahi.com/articles/DA3S16385200.html

 首相は「高市早苗が首相でよいのかどうか、主権者たる国民に決めてもらう」と述べ、「責任ある積極財政」や安保政策の抜本改革など、重要な政策転換の是非を問うとした。公約に食料品の消費税率を2年間ゼロにすることを盛り込むことも明言した。
 しかし、確実視されていた新年度当初予算案の年度内成立を難しくしてまで、なぜ今なのか。納得できる説明とは言えない。国民生活より自らの権力基盤の強化を優先した「自分ファースト解散」というほかない。

▼毎日新聞
「高市首相の解散表明 独りよがりにしか見えぬ」
 https://mainichi.jp/articles/20260120/ddm/005/070/099000c

 説得力は乏しく、かえって疑問が増した。独りよがりな姿勢と言うほかない。
 高市早苗首相が記者会見で、23日召集の通常国会冒頭で衆院を解散すると表明した。石破茂前政権からの政策転換や、日本維新の会との連立などについて「国民にご判断いただく」と強調した。
 だが、政策実現に集中するとしてきた前言を翻し、政治空白を作ることになる。弊害を押して衆院選を行う大義は見えない。それどころか、こじつけのような無理のある説明に終始した。

▼読売新聞
「首相が解散表明 政策推進の体制整えられるか」
 https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20260119-GYT1T00422/

 衆院選に「進退をかける」。政権基盤を安定させて物価高対策や防衛力の強化策を進めたい、という高市首相の思いが伝わる解散宣言である。
 だが、誰もが驚いた通常国会冒頭での解散に対し、野党は結集軸を作って対抗する構えだ。高い内閣支持率がある自民党が当初有利との見方もあったが、楽観的にすぎるかもしれない。
 政権の安定した体制作りに繋がるか、それとも政界大変動をもたらすのか、重大な選択となる。

▼日経新聞
「大義みえない高市首相の衆院解散」/消費減税合戦に懸念/野党は責任ある対案を
 https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK1944E0Z10C26A1000000/

 首相が交代したり連立政権の枠組みが変わったりした場合に国民の信任を得ようとするのは理解できる。問題はタイミングだ。国民生活に直結する2026年度予算案の国会審議は選挙後にずれ込み3月末までの成立は難しくなる。
 予算を後回しにしてまでなぜ解散しなければいけないのか。首相の説明を聞いても胸にすとんと落ちない。解散の大義がみえない。

▼産経新聞
「首相が解散表明 審判を仰ぐ意義は大きい」
https://www.sankei.com/article/20260120-QNNENPGWIZOJXFTU3FFGQMZLUI/

 高市首相は「高市早苗が首相でよいのかどうか。主権者たる国民に決めてもらうしかないと考えた」と説明した。高市新首相の登板と自民、日本維新の会の新しい連立が生まれた以上、首相が解散総選挙で国民の信を問い、政策推進力を得ようとするのは当然だ。
 解散理由として首相は連立政権合意書に盛り込んだ政策など前回衆院選で自民党が公約していなかった「国の根幹に関わる重要政策の大転換」をあげた。解散の大義名分は十分ある。
 首相は、自身か立憲民主党の野田佳彦代表らか、首相を選ぶ政権選択選挙だと指摘した。その通りである。

▼東京新聞 ※中日新聞と共通
「高市首相が解散表明 大義なき権力の乱用だ」
 https://www.tokyo-np.co.jp/article/463170

 物価高対策を最優先課題に掲げながら、2026年度予算案の本年度内の成立を断念してまで、なぜ国民に信を問う必要があるのか、納得できる説明はなかった。大義を欠く権力乱用と断じざるを得ない。
 首相は、自民党が連立相手を公明党から日本維新の会に組み替えたこと、自身が掲げる「責任ある積極財政」の是非を問うことを、衆院解散の理由に挙げた。自維連立はいずれ国民の審判を受ける必要があるとしても、冒頭解散は経済最優先の姿勢と矛盾する。

 

【追記】2026年1月26日7時30分

 ブログ記事本文では、1月19日の高市首相の発言のうち、「国論を二分するような大胆な改革」の発言について、読売新聞の会見要旨から引用しました。
 首相官邸のホームページには会見での高市首相発言が掲載されています。

www.kantei.go.jp

「国論を二分」の発言は、冒頭発言と質疑応答の2回あります。以下に引用します。
 
 ▽冒頭発言

 当面の対策を打つことができたこのタイミングで、政策実現のためのギアを、もう一段上げていきたい。拉致問題の解決に向けて、首脳同士で正面から向き合い、具体的な成果に結びつけたい。また、国論を二分するような大胆な政策、改革にも、果敢に挑戦していきたい。昨年末までに、衆議院と参議院で、本会議で質疑を受け、二巡の予算委員会審議に対応する中で、その思いは、ますます、募りました。不安定な日本政治の現状、永田町の厳しい現実を、痛いほど実感した、この3か月間でもありました。
 「信なくば、立たず」であります。重要な政策転換について、国民の皆様に正面からお示しし、その是非について、堂々と審判を仰ぐことが、民主主義国家のリーダーの責務だと考えました。
 その本丸は「責任ある積極財政」です。これまでの経済・財政政策を、大きく転換するものです。行き過ぎた緊縮志向。未来への投資不足。この流れを、高市内閣で終わらせます。様々なリスクを最小化し、先端技術を花開かせるための「戦略的な財政出動」は、私たちの暮らしの安全・安心を確保するとともに、雇用と所得を増やし、消費マインドを改善し、事業収益が上がり、税率を上げずとも、税収が自然増に向かう、「強い経済」を実現する取組です。

 ▽質疑応答

 先ほど申し上げましたように、高市早苗が内閣総理大臣でよいのかどうか。これは国民の皆様に決めていただくしかない。しかも、今年の長い国会が始まる前に。そう考えました。そして、今回、衆議院解散という重い決断をしました。そういう意味で、私を内閣総理大臣として支えていただいている与党で過半数を目指します。その結果については、先ほども申し上げましたとおり、私自身も内閣総理大臣としての進退をかけるということでございます。
 一昨年、公明党との連立の枠組みの下で衆議院選挙を行いましたが、その後、日本維新の会との連立に枠組みが変化しました。政策面でも、新たな連立合意に基づいて、新たな政策を推進しています。物価高対策を含む生活の安全保障については、当面の対策を打つことができました。今、順次執行中でございます。このタイミングで政策実現のためのギアをもう一段上げていくと。やはり新しい政策、しかも重大な政策、それはまさに「責任ある積極財政」への経済・財政政策の大転換、そして、安全保障政策の抜本強化、インテリジェンス機能の強化など、これは国論を二分するような大胆な政策です。そういった政策の改革、変更についても、批判を恐れることなく果敢に挑戦していきたいと考えました。
 改革をやり切るためには、やはり政治の安定が必要でございます。有権者の皆様の信任を得たいと考えています。解散のタイミングについてどうかということもございましたが、これは待ったなしの課題である物価高対策については、野党の皆様の提案を取り入れながら、何とか手を打つことができました。しかしながら、これから半年近くに及ぶ国会で、国論を二分するような大胆な政策、改革にも、批判を恐れることなく果敢に挑戦していくということのためには、どうしても政治の安定も必要ですが、国民の皆様の信任も必要であります。そういった意味から、今回、解散の決断に至りました。

 




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