「NHKから国民を守る党」(以下「NHK党」)の立花孝志党首を兵庫県警が11月9日、名誉棄損容疑で逮捕しました。亡くなった元兵庫県議に関して繰り返し虚偽の情報を発信し、名誉を傷つけたとの容疑だと報じられています。10日に送検されており、神戸地検が起訴するかどうか判断することになります。
このブログの以前の記事にも書きましたが、自民党は高市早苗総裁の就任後、参議院でNHK党所属の斉藤健一郎議員と統一会派を組みました。NHK党を巡っては「反社会的勢力」と呼んでも賠償責任を負わないとの司法判断が出ています。自民党は「反社」と呼ばれても仕方がない勢力の後ろ盾になるのかと、驚きました。
以前のブログ記事には以下のように書きました。
NHK党の立花孝志党首は昨年の兵庫県知事選では、自身の当選を目指さず、斎藤元彦知事を支援。二馬力選挙が批判を浴びました。東京都知事選ではポスター掲示板の“転売”もありました。「禁止されていないなら何をやってもいい」との姿勢は、控えめに言っても、民主主義の基盤である選挙制度を破壊しかねません。ネット上や動画サイトでの言説についてはわたしがあれこれ書くまでもありません。
統一会派結成は、自民党がそういう立花党首やNHK党の後ろ盾になると受け取られてしまうことを意味します。高市自民党には最低の政治倫理すら失われつつあると感じざるを得ません。
NHK党との統一会派を巡って、驚くような報道がありました。毎日新聞は10月18日付朝刊の5面に「NHK党斉藤氏 会派入りに感謝」の見出しの記事を掲載。その中で、「参院自民関係者」の「NHK党は政党要件を満たしていない。あくまでも無所属議員を引き入れただけだ」とのコメントを紹介しています。そんな説明が通用すると考えていること自体が、自民党の劣化ぶりの深刻さを表していると感じます。高市総裁は参政党にも首相指名で協力を求めたとも報じられていることも、書きとめておきます。
「あくまでも無所属議員を引き入れただけだ」。そんな説明が通用すると考えていること自体が、自民党の劣化ぶりの深刻さを表していると感じていました。そこに加えて立花党首の逮捕です。遺族の告訴が広く報じられており、容疑内容は以前から指摘されていたことでした。自民党として「知らなかった」では済まないはずです。
刑事手続きの上で「無罪推定の原則」は当然のことですが、政治的な倫理上、道義上の問題はまた別の次元のこと。立花党首の逮捕と、NHK党所属の斉藤議員との統一会派について、自民党の総裁である高市首相はどう説明するのか気になっていたのですが、国会での答弁に驚きました。
高市早苗首相(自民党総裁)は10日の衆院予算委員会で、政治団体「NHKから国民を守る党」の立花孝志党首が名誉毀損(きそん)の疑いで兵庫県警に逮捕されたことに関連し、参院で自民がNHK党所属の斉藤健一郎参院議員と統一会派を組んでいることについて、「自民党は無所属の斉藤氏と統一会派を組んでいる。政治団体NHK党と組んでいるということではなく、会派名は『自由民主党・無所属の会』だ」と述べた。
■毎日新聞「高市首相『自民はN党と統一会派組んでいない』 立花党首逮捕受け」
https://mainichi.jp/articles/20251110/k00/00m/010/089000c
「あくまでも無所属議員を引き入れただけだ」との説明で押し通すということのようです。しかし、一人の国会議員の“顔”を二つに切り分けて、都合のいい方だけを自陣営の一員として扱うようなもので、政治的詭弁というほかないように感じます。
現に斉藤議員は、立花党首の逮捕に対して、NHK党の副代表、国会議員としての立場で、緊急の記者会見を開いています。場所は国会内です。
■共同通信「N党斉藤氏、党首逮捕を陳謝 会派組む自民、影響を懸念」
https://www.47news.jp/13434564.html
■産経新聞「立花孝志容疑者の逮捕でNHK党が緊急会見『お騒がせし、おわび』伊東市長選対応は未定」
https://www.sankei.com/article/20251110-DHZTHB3KJBDMDK6RLLB7MEGIPM/
斉藤氏も高市首相の主張に合わせるように、国会では無所属の議員として活動していることを強調したようです。
高市首相にしても斉藤氏にしても、では仮にNHK党が政党要件を満たした場合にはどうするのでしょうか。「あくまでも無所属議員を引き入れただけだ」との強弁は外形上のことに過ぎません。本質は反社勢力同然と司法もみなすNHK党を自民党が迎え入れたことにあります。そのこと自体、自民党の劣化だと考えてきました。立花党首の逮捕という新たな事態を迎えても、その強弁の姿勢は変わりません。自民党の劣化ぶりは想像を絶しています。
逮捕によって、とりあえずは立花党首のネット発信は止まります。少しだけ捜査環境は静かになるかもしれません。神戸地検にボールがある兵庫知事選の選挙違反の問題も、進展があるかどうか推移を見守りたいと思います。
袴田巌さんの再審無罪が確定してもなお、検事総長が袴田さんを犯人視するコメントを公表するなど、劣化が露見した日本の検察が試されている局面だとも思います。
【追記】2025年11月11日22時30分
政治団体「NHKから国民を守る党」に所属する斉藤健一郎参院議員が11日午前、Xの自らのアカウントに、統一会派の解消を自民党側に申し入れ、了承されたと投稿しました。
「立花孝志党首の逮捕を受け、現政権にご迷惑をかけた責任と政治の停滞を避けるべく、自民党との会派解消を申し出ました」としています。
統一会派結成によって連携する主体が、実質的には自民党とNHK党だったことを反映しているように思います。
【会派解消のご報告】
— 齊藤健一郎【参議院議員/NHK党/ホリエモンが秘書/堀江政経塾塾長】 (@aqua_saito) 2025年11月11日
立花孝志党首の逮捕を受け、現政権にご迷惑をかけた責任と政治の停滞を避けるべく、自民党との会派解消を申し出ました。
先ほど、石井参議院幹事長より了承をいただきましたことをご報告申し上げます。
参議院議員 齊藤健一郎