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広瀬めぐみ元参院議員の在宅起訴への疑問~やはり検察がおかしい

 関与した自民党の政治家の大半を不問に付した派閥パーティー券裏金事件の捜査など、最近の検察の政治に対する姿勢や距離の置き方に疑問を感じていることは、このブログでこれまでも書いてきました。深刻だと思うのは、民意の中に検察に対する不信が高まっているのに、当の検察では、トップの検事総長を始め、組織に危機感が共有されているようには感じられないことです。
 ※参考過去記事 

news-worker.hatenablog.com

 政治との関係でまた一つ、「おかしいのではないか」と感じざるをえない事例が加わりました。自民党を離党し議員辞職した広瀬めぐみ元参院議員の詐欺事件の捜査です。
※共同通信「広瀬めぐみ元参院議員を在宅起訴 秘書給与350万円詐取罪」=2024年8月30日

www.47news.jp

 東京地検特捜部は30日、公設第2秘書の給与など計約350万円を国からだまし取ったとして、詐欺の罪で広瀬めぐみ元参院議員(58)=自民離党、岩手選挙区=を在宅起訴した。15日に議員辞職していた。
 (中略)
 第2秘書を巡っては、今年3月の「週刊新潮」で勤務実態がないとする疑惑が報じられた。広瀬被告は事務所のホームページで、リモートワークでの支援者リスト作成など勤務実態はあったと主張していた。

 詐欺は微罪ではありません。被害額が350万円にも上っていれば、容疑者は関係先の家宅捜索と同時に逮捕されるのが通例です。まして広瀬元議員は弁護士です。だまし取った金は国庫から支出されています。悪質さや情状の悪さは類を見ない、とみることもできます。週刊誌の報道で疑惑が浮上した当初は、正当性を主張してもいました。捜査の実務から言えば、当の秘書ら関係者との口裏合わせを疑っていい状況でした。それなのに逮捕せずに在宅のまま捜査を終えたことは、与党政治家であるがための特別扱いに映るのも無理はなく、社会一般の理解が得られるかは疑問だと感じます。
 経緯を振り返ると、東京地検特捜部が広瀬元議員の事務所や自宅などを一斉に家宅捜索したのは7月30日でした。同日中に自民党を離党しますが、その後も本人が記者会見などで直接説明する機会はないまま、8月中旬になって「議員を辞職」「容疑を認める方針」との報道が一斉に流れました。8月15日に辞職願を参院議長に提出。その後のコメントで、秘書からの資金提供を認め「軽率だった」としていました。
 検察にしてみれば、本人が容疑を認め、議員を辞職したことで腐敗は正した、ということなのかもしれません。しかし、だから逮捕しなくてもいいということであれば、容疑を認めるだけでは不十分で、議員を辞職しないのであれば逮捕する、といった逮捕権の行使も可能になってしまいかねません。
 広瀬元議員の関係先の一斉捜索に踏み切った時点で、特捜部は一定の証拠を得て立件方針を固めていたはずです。家宅捜索と同時に逮捕していれば、疑念は招かったはずです。家宅捜索から広瀬元議員の辞職までの約2週間、特捜部と広瀬元議員側との間でどんなやりとりがあったのか。仮に、家宅捜索で揺さぶりをかけ、その後の相手の態度次第で逮捕するかどうかを決めるようであれば、検察の恣意的な逮捕権の運用と言わざるを得ないのではないか。検察が国会議員の生殺与奪を握ることにもなりかねません。
 以上は憶測が過ぎるかもしれません。しかし検察からは、在宅のまま捜査を終えたことに対して、何ら説明がありません。一方でSNS上では、検察はこの事件でも自民党の政治家を特別扱いするのか、との不信の声を目にします。
 新聞、放送のマスメディアでも、「なぜ逮捕しないのか?」と検察にストレートに切り込んだ報道は見当たりません(見落としの可能性はあるかもしれません)。仮に、逮捕しなかった理由が与党国会議員への特別扱いではなく、「罪証隠滅や逃亡の恐れがない」ということなら、社会の日常的な個々の事件捜査でも、その原則があまねく徹底されるべきではないのか、との次の論点が浮上します。
 デジタル社会の進展とSNSの普及で、民意は容易に可視化されるようになっています。そこに表れている疑問や不信に応える報道がなければ、いくらマスメディアがデジタル展開に取り組んでも、信頼にはつながらないのではないか。そんなことも危惧しています。

 全国紙各紙がデジタル版で、広瀬元議員への捜査が在宅のまま推移したことについてどのように報じているか、わたしが目にした範囲ですが、以下に書きとめておきます。
■朝日新聞
「広瀬前参院議員、在宅起訴へ 秘書給与詐取の罪 東京地検」=8月30日16:30

 広瀬氏の公設第1秘書は、特捜部の任意聴取に「議員の指示で、公設第2秘書として妻の名義を貸した」と供述。広瀬氏も任意聴取で、勤務実態のない秘書の給与を受け取ったと認めたという。
 特捜部はこうした経緯や、広瀬氏の議員会館の事務所(東京・永田町)などを7月に家宅捜索した結果をふまえ、広瀬氏を在宅のまま起訴する方針を固めたとみられる。

■毎日新聞
「広瀬めぐみ元議員を在宅起訴へ 秘書給与詐取疑いで東京地検特捜部」=8月30日11:33

 広瀬元議員は起訴前の特捜部からの任意聴取に対し、「勤務実態のない秘書の給与をだまし取った」と認めていたとされ、特捜部は逮捕をせず、任意で捜査を進めていた。

「広瀬めぐみ元議員、支給の全額を国庫に返納 『改めておわび』」=8月30日19:57

 広瀬元議員は任意の事情聴取で起訴内容を認めており、特捜部は逮捕せずに在宅のまま起訴したとみられる。

■読売新聞
「広瀬めぐみ・前参院議員を詐欺罪で在宅起訴、秘書給与など350万円を詐取…『支給額は利息を付けて全額返納した』」=8月30日22:14

 特捜部は、弁護士でもある広瀬容疑者が一連の秘書給与詐取を主導したとみており、 隠蔽いんぺい 工作を図っていたことも踏まえ、公判で刑事責任を追及すべきだと判断したとみられる。
※「在宅」についての言及は見当たらず

■産経新聞
「<速報>広瀬めぐみ元参院議員、詐欺罪で在宅起訴 東京地検特捜部」=8月30日15:50

特捜部は、広瀬氏が秘書給与の受領を認めていることなどから、罪証隠滅の恐れなどがなく、逮捕の必要性が高くないと判断したもようだ。




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