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毎日新聞が600円値上げへ~全国紙3紙が三様の対応

 毎日新聞社が5月11日付の朝刊に社告を掲載し、6月1日から月決め購読料を値上げすることを明らかにしました。朝刊・夕刊のセットは現行の4300円から4900円になります。1部売りは、朝刊は150円から160円に改定し、夕刊は50円に据え置くとのことです。
 社告では、値上げの理由を以下のように説明しています。

 資材の価格が値上がりし、新聞製作に不可欠の用紙代、インキ代などが高騰しています。経費削減を進めてきましたが、良質なニュースを安定的に提供するという報道機関としての使命や戸別配達網の維持が揺らぎかねない水準です。心苦しい限りですが、ご理解をお願いします。

 ※詳しい説明は同社のホームページにあります。
  https://www.mainichi.co.jp/info/20230511.html

 社告によると、値上げを機に、「宅配購読者無料プラン」を充実させるとのことです。「毎日新聞デジタル」でスポーツニッポン(スポニチ)のエンタメや芸能の記事が読めるほか、来年3月末まで、週刊誌「サンデー毎日」と「週刊エコノミスト」の紙面ビュアーが読めるようになります。言ってみれば、毎日新聞ブランドのサブスクリプション・サービスの強化でしょうか。

 既に朝日新聞は5月1日から月決め購読料を4900円(朝夕刊セット)に値上げしています。一方で読売新聞は3月25日に、少なくとも向こう1年間は値上げしないとの社告を掲載しました。昨年来の物価高騰に対して、俗に「三紙」「三大紙」とも呼ばれてきた全国紙3紙の対応が、これで出そろいました。

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 読売新聞は朝夕刊セットで月決め4400円と、朝日、毎日両紙とは月額で500円の差があります。この価格差自体が、読売新聞にとっては最大の読者へのサービスでしょう。朝日新聞と毎日新聞は月決め4900円と同額になりましたが、朝日新聞は紙面の文字拡大を強調しています。朝日、毎日両紙はサービス拡充の面では、それぞれの方向性を打ち出している、と言えます。
 毎日新聞が「サンデー毎日」と「週刊エコノミスト」の紙面ビュアー開放を来年3月末までとしているのは、読売新聞が「向こう1年間」、つまり来年3月までは値上げしないとしていることを意識してのことでしょうか。
 
 近年、新聞の発行部数が減り続けている中では想像しにくいことかもしれませんが、かつて新聞販売は、公正取引委員会の主要な監視分野の一つでした。1990年代まで、新聞は右肩上がりの部数増が続いていました。購読料も90年代半ばまでは、今よりもずっと頻繁に値上げしていました。全国紙のうち1紙が先行すると、少し遅れて他紙も追随することが多く、公正取引委員会は独占禁止法上、問題なしとはしないとして、厳しい視線を新聞業界に向けていました。
 新聞社各社が話し合いで値上げを決めれば、独禁法に違反するカルテルです。では、各社の判断でそれぞれ値上げを決めれば問題ないかと言えばそうでもありません。「あうん」の呼吸で他社がそろって追随となると、「価格の同調的引上げ」と公取委が認定し、新聞社に報告を求める、といったことが行われていました。
 1990年代にわたしは取材記者として公取委を担当しました。公取委の中で新聞は評判が悪い業界の筆頭でした。ある幹部から言われたことをよく覚えています。「以前はビールと新聞がひどかった。今は、ビールは各社がたたき合いの競争をやっている。新聞だけですよ、いまだに横並びなのは」。ちょうど、アサヒビールの新商品スーパードライが大ヒットし、ビール各社が新商品の投入にしのぎを削るようになっていたころでした。

 今回、全国紙3紙の対応は、値上げするかしないか、値上げした後のサービス拡充について、それぞれ分かれました。事業者が価格やサービスで本気の競争をすることを至上の価値とする競争政策の観点から見るなら、新聞業界もようやく公取委が満足するレベルになったのかもしれません。
 ただ、民主主義社会における新聞の最上の価値は、複数の新聞が安定的に存在していることです。それが多様な価値観やものの考え方が社会にあることを担保することにつながるからです。特に近年は、デジタル空間を中心にフェイクニュースがあふれ、きちんとした裏付けを経た情報を発信するマスメディアの組織ジャーナリズムの重要性は高まっています。
 もし、現在の苦境から新聞の廃刊や統合が起きるのだとすれば、それは社会の損失になります。新聞の本質を組織ジャーナリズムに読み替えて考えるなら、組織ジャーナリズムが社会に存在し続けるために、商業主義に代わってどのような方策があるのか。持続可能な組織ジャーナリズムの新たな形態を模索する、そんな課題もこの先に見えてきているのではないかと、あらためて感じます。




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