朝日新聞で映画記者をしていた著者による、インターネット時代に即した映画批評の場作りへの提言。一般紙各紙の映画記者が一致協力して、ひとつの作品についての各紙の批評が読み比べるサイトをつくることはできないか。新聞の映画面は映画会社への忖度はない、それが値打ちである。
おもしろい、読みたい、ぜひ作ってもらいたい。くわしくは『世界』9月号で読んでください。
この記事の著者くらいの年齢の方で、東京の大学に進学して映画を熱心に観て回ったタイプの人たちは、一様に蓮見重彦から影響を受けたと言いますね。以前、はてなで映画ファンだったという男性と少しやりとりをして、何か話が嚙み合わないままだったうっすらとした記憶が蘇ります。そして彼も、蓮見重彦にはなにがしかこだわりがあったようです。学生時代に下手なこと言うと仲間にバカにされたりする経験が重なっているのかなあ、と、大学に疎遠なものとして想像をめぐらせたりしましたね。
『スクリーン』や『ロードショー』みたいな雑誌はミーハー向けとして、ちゃんと読んでないで切り捨ててる印象があって、その二誌から得た知識のかけらから自分の映画観客ライフを豊かにできた記憶のある私としては、うーむ...になりました。
中学生くらいのころ読んでいた『スクリーン』には双葉十三郎が「ぼくの採点表」を書いていたし、テレビで映画解説をしていた淀川長治や水野晴郎の洋画についての記事も、作品からスター、その周辺まで、おもしろい記事ばかりでした。ほかにも、エジソンから始まるほんとうに初期からの映画の発展を教えてくれる読み物とか。それよりまず封切り作品の紹介ページですね、どのように映画を紹介するか、基本をあれで学んだ人は多かったのではないでしょうか。
ただし、いまは雑誌より、映画の情報はネットで得るのが主流になっていますし、自分が観た後は批評も読みたくなる。ネット上では何人もの見巧者がブログで映画評を書いているというのはありますが、検索して探すのは大変です。
そこで、この著者が提案しているようなサイト、実現されればいいな、と。
週刊文春のシネマチャートというのがありますが、あれをもっとゴージャスにしたかんじになるんでしょうか。
いまは映画レビューを誰でもが書き込めるようになっていて、観た人が自分の感想をそのまま書いていてね、それはそれで「こういうふうな感想もあるのか」というかたちで参考にすればいいんだろうけれども、長年映画を楽しんできたファンとしては、うっかり目にすると外野から飛んできた石に当たったような気分になったりすることもあります。だから、ちゃんとした批評が読める場があったほうがぜったい、いい!
さて、一般人向けの映画ガイドとしては、前にも紹介しましたが、まず、双葉十三郎『外国映画ぼくの500本』(文春新書)
500本の映画の寸評つきガイド、そして、幼い頃見たサイレント映画からはじまって、自身の半生とあわせて映画の歴史を語ってくれている。ご自身が体験した関東大震災や戦時中の話も。これをざっと読めば映画史の基本の大筋がつかめる。蓮見重彦を読む前にぜひ一読しておくべき。
「映画はね、感覚で観なさい」という淀川長治、そう、観たもの感じたものをどうことばで伝えるか。淀川先生の語りのうまさ、これも私にとっては映画の楽しさの一部。
撮らないまでも、映画を観る者にはとても参考になる本。映画評を読むとロー・アングルとかフォーカス・インなどという用語は出てきますね、そういうのが何を指しているか、わからない用語が出てきたら辞典として使える。あと、映画も数多く見ると、撮り方に関心を持つようになります。なぜあの場面がよかったのか、撮り方の技術について知識があれば、観る楽しみが増します。