いま「戦後」という時代区分が活きているのは、日本だけ。日本にとって「戦後」とはどのようなものなのか。そのうえで、現在の日本人の政治意識はどうなっているのか。
まず、二十歳で敗戦を迎えた吉本隆明について、彼がなぜ団塊の世代をあれほど引き付けたのか、団塊の世代に多大な影響を及ぼしたのかを考察。
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かつて高橋源一郎が指摘していたが、団塊の世代にとっての吉本隆明の在り方は、その次の世代の一部にとっての橋本治によく似ている面がある。
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次に、1985年に移り、吉本隆明がスターだった時代を過去として振り返る視点から省みての吉本評、そして1985年あたりの論壇の様子が伝えられる。
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このころの日本は、バブルという世界の中では特異が状況下にあった。
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そして、2020年代の政治意識を探る。ここでは橋本健二『新しい階級社会』に示された事実を基に分析されている。現代日本の政治意識の分布を、まず20%ほどいる無関心層を脇に置いて、関心を持つ層を、リベラル・伝統保守・新自由主義右翼・平和主義者の4つにクラスター分け。この中で一番多いのはリベラルで全体の4分の1を超える。伝統保守と平和主義者は無関心層とほぼおなじ約20%。残る新自由主義右翼はおよそ13%でもっとも人数が少ないクラスターになるのだが、新自由主義右翼は「政治的な活性」が目立って高い。投票率も高く、自民党に寄生するだけでは飽き足らず自ら日本保守党や参政党を立ち上げる。年収面でも他のクラスターにくらべるとリッチな層の割合が高い。
一方、アメリカの政治学者エリカ・チェノウェスの研究では、21世紀になって市民的抵抗(非暴力抵抗キャンペーン)が世界的に増加しているのだが、例外的に日本だけはそのような動向が見られない。これは何故なのか? 大澤は「リベラルの政治的な活性の低さと相関した現象」と見ている。
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BLMなどニュースで見ると、日本は世界的に見ると平和で安定しているのかなあと思ったりもするのですが。
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くわしくは『世界』8月号で読んでみてくださいね。
戦後80年、と言われると、戦後も三代目か……となったりします。すると、以前にも紹介した『日本の近代4 「国際化」の中の帝国日本 1905~1924』(中央公論新社)を思い出したり。あれは、明治維新から三代目、でしたね。若者の間での自殺流行りからはじまり、大正デモクラシーを通過して、関東大震災と朝鮮人虐殺で終わっていました。