神戸で首を吊ったと知り、そこから思い出したのが『世界』に掲載された次の記事。
古川美穂『東北ショック・ドクトリン 第2回――19年前の「創造的復興」』(岩波『世界』2014-01, no.851)
東北ショック・ドクトリンなのに、なんで神戸?
それは、東日本大震災復興の基本方針「創造的復興」の原点が神戸にあるから。
東日本大震災の復興問題を調べていく過程で浮上してきた「東北メディカル・メガバンク構想」。このプロジェクトに神戸や兵庫の医師団体が強く反対しているという情報を得た著者は、それは何故なのかを取材するために神戸のポートアイランドへ赴く。
案内を買って出てくれた兵庫県保険医協会の副理事長、川西敏雄はこう説明した。
「神戸市では復興計画の一環として、神戸医療産業都市としてポートアイランドに大学や医療の研究機関などを集積してきました。しかし関係者以外は、私たち医療従事者でもここに足を踏み入れる機会はまずありません。まして一般の人には、本当に疎遠な場所です。特に南側にある二期エリアはアクセスも悪い。それなのに行政は一期エリアにあった市民病院を強引に二期エリアへ移し、さらに須磨のこども病院まで移転する予定なのです」
(引用元:古川美穂「東北ショック・ドクトリン 第2回」『世界』2014年1月号 p203)
そして川西は、東北は絶対に神戸のマネはしてはならないと言うのだった。
神戸空港のあるポートアイランドで展開されている医療分野の「創造的復興」が、神戸医療産業都市構想(神戸医療産業クラスター)で、そこには研究施設や高度専門病院群が集積されており、その中のひとつとして「理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター」があるわけです。
川西と同じく兵庫保険医協会の副理事を務める武村義人は、こう説明する。
「神戸市では震災から三年後に神戸医療産業都市構想を発表しました。医療機関や研究機関、医療産業を集め、外資産業や国内の大企業を呼び込んで医療を産業にしようというのが構想の発端です。この計画では企業が進出する際の土地購入価格や賃貸料の割引、税金の優遇や、補助金まで用意されていました。ところが実際にはインセンティブのある期間だけ進出し、それ以降は撤退するという企業が相次いで、経済復興の役には立っていないのが実情です」
(引用元:古川美穂「東北ショック・ドクトリン 第2回」『世界』2014年1月号 p205)
先端医療の特区となることで規制緩和に弾みをつけ、空港があるため医療ツーリズムも目玉にしようと計画するなど、市民が求める医療の充実とはちがった方向に進んでいると地元の医師たちは批判している。
くわしくはルポが連載された『世界』を読んでください。http://www.iwanami.co.jp/sekai/index.html
個人的には、生命倫理に関わる医学研究について、もっと倫理面での考察がなされるようになって欲しいと思います。