- 2005年、アメリカ
- 原題:The Producers
- 監督:スーザン・ストローマン
- 脚本:メル・ブルックス、トーマス・ミーハン
- 出演:ネイサン・レイン、マシュー・ブロデリック、ユマ・サーマン、ウィル・フェレル、ゲイリー・ビーチ、ロジャー・バート
DVDで鑑賞。
落ち目のブロードウェイのプロデューサーが、舞台を失敗させることで出資金を持ち逃げしようと企む。
1968年の映画、メル・ブルックス監督・脚本『プロデューサーズ』が後にブロードウェイでミュージカル化された。そのミュージカルを映画化したのが、このスーザン・ストローマン監督『プロデューサーズ』。
ブロードウェイの大物プロデューサーだったマックスは、失敗作が続き、落ちぶれてしまっていた。彼の元に訪れた会計士レオは、かつてマックスの作った舞台を観に行ったことがあり、ブロードウェイにあこがれを持っていた。しかし落ち目のマックスの帳簿を調べて、大失敗で打ち切りになったせいで出資金が手元に残りましたよと教える。金に困っているマックスは、それなら出資金を集められるだけ集めて計画的に失敗作を上演し、金を持ってリオへ逃げようと思いつき、レオを仲間に引き入れる。
冒頭、マックスの舞台を観た人たちが劇場から出てきて次々に「最低だった!」と歌う。画面の色調、人々の服装や髪型、顔立ち、どれも大昔のハリウッドのミュージカル映画を思い出させる。もっとも私にとっては子供のころテレビで観た映画の断片的記憶しかない往年のミュージカル映画の印象でしかないけれど。
マックス(ネイサン・レイン)とレオ(マシュー・ブロデリック)がはじめて出会う場面がすごくくどい感じがした。舞台で見ると、掛け合いをしながら間合いよく盛り上がるのがおかしく楽しめそうだな、でも、映画だと、顔がアップになったりしながら演技が舞台的に濃いので疲れるな、だいじょうぶかな、ついていけるかな、と観るのが不安になった。
でも、歌がはじまると、だんだん自然に映画を楽しめるようになった。音楽に気持ちよく乗せられたし、歌がうまいんですね。お芝居としての歌とでもいうのか。
失敗させるための最低台本として、ドイツ人フランツ・リーブキンドが書いた『ヒトラーの春』(Springtime for Hitler)が選ばれる。リーブキンドはナチを愛してる男で、鉄兜かぶってドイツ人名をつけた伝書鳩を飼っている。ウィル・フェレルが演じたリーブキンドが、私的には登場人物の中でいちばんお気に入りのキャラでした。背が高くて、グーフィーみたいなかんじ、ズレた感覚にどっぷりはまりこんでいるのが不謹慎なんだけど滑稽な純心で、いいんですね。
そして最低の舞台にするため、ゲイの演出家を起用。ミュージカルは明るくて楽しくないとだめよそうよゲイでないとだめ、あ、だったらヒトラーが戦争で勝つハッピーエンドにしちゃわない? そうよそうよそれがいいわよ、ゲイリー・ビーチとロジャー・バートが強靭なゲイ・スピリットを見せてくれます。
さらに、英語の不自由なスウェーデン美女も雇います。ユマ・サーマンがやってました。
マックスとレオの企み、果たして成功するのか?
全体に下品な笑い、不謹慎な笑いがちりばめられた映画。でも、不快にはなりませんでした。登場人物がすべてそれぞれに魅力的に見えるように作られてるおはなしだったからかな。法廷の場面でマックスがレオに「歌がうまいね」というところが、おかしくもうれしい。そしてマックスがいい間合いで入れる "Don't help me" というひとこともさりげなく効くね。
歌といい、踊りといい、ブロードウェイの底力を感じました。ディープなミュージカル映画なんじゃないでしょうか。
劇中ミュージカル、『ヒトラーの春』が最高。DVDは最後まで見るとすてきな囁きが聞こえます。