一部の抗うつ薬「SSRI」は認知症患者の知能低下を加速させる可能性がある - ナゾロジー
スウェーデンの医科大学・カロリンスカ研究所(Karolinska Institutet)による研究によって「安全なはずの薬が、かえって認知症患者の“知能低下”を進めているかもしれない」——そんな衝撃的な結果が報告されました。
研究では認知症と診断された約1万8,740人を対象に、抗うつ薬が患者の認知機能(MMSEスコア)の低下や死亡リスクなどに与える影響が分析されています。
その結果、特にSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)と呼ばれる種類の3種類の抗うつ薬、すなわちセルトラリン(ジェイゾロフト)、シタロプラム(セレクサ、日本では未発売)、エスシタロプラム(レクサプロ)では、認知機能の低下スピードが加速し、骨折や死亡リスクも上がる可能性が示唆されました。
(引用はここまで)
結果
18740人の患者(女性10,205人[54.5%];平均[標準偏差]年齢、78.2[7.4]歳)を対象とし、そのうち4,271人(22.8%)が抗うつ薬の処方を少なくとも1回受けていた。追跡期間中、抗うつ薬の処方箋は合計11912件発行され、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)が最も一般的でした(64.8%)。抗うつ薬の使用は、認知機能低下の進行が速く(β(95%CI)=-0.30(-0.39、-0.21)ポイント/年)、特にセルトラリン(-0.25(-0.43、-0.06)ポイント/年)、シタロプラム(-0.41(-0.55、-0.27)ポイント/年)、エシタロプラム(-0.76(-1.09、-0.44)ポイント/年)、ミルタザピン(-0.19(-0.34、-0.04)ポイント/年)と関連していました。この関連性は、重度の認知症患者でより強かった(初期MMSEスコア0〜9)。エスシタロプラムはセルトラリンよりも大きな減少率を示しました。非使用と比較して、SSRIの用量反応は、認知機能の低下が大きく、重度の認知症、全死因死亡、骨折のリスクが高い場合に観察されました。
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30点満点。23点以下で認知症の疑いがある。27点以下で軽度認知障害(MCI)の疑いがある。
>抗うつ薬の使用は、認知機能低下の進行が速く(β(95%CI)=-0.30(-0.39、-0.21)ポイント/年)
種類を問わず抗うつ薬を飲んでいた人では、MMSEの点数が、1年間で0.30点下がりました(認知機能が落ちました)。
→そもそも、抗うつ薬を高齢者に処方すること自体、アウトである。
そう考えることもできる。
エスシタロプラム(レクサプロ)を飲んでいた人では、MMSEの点数が、1年間で0.76点下がりました(認知機能が落ちました)。
セルトラリン(ジェイゾロフト)を飲んでいた人では、NNSEの点数が、1年間で0.25点下がりました(認知機能が落ちました)。
同じ研究をまとめたものです。
Some antidepressant classes linked to accelerated mental decline in dementia patients - Scimex
SNRIは認知機能低下の増加と関連していなかったが、著者たちは、この研究の検出力が低かった可能性があると警告している。
→SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)にも、認知機能を低下させる作用があるかも知れない。そう著者達は言っている。
まとめ
①うつ病の高齢者が抗うつ薬を飲む場合。利益(うつが良くなる)より、不利益(認知機能が下がる)が勝る可能性がある。
②若い人の場合、どうなのか。