
こんにちは、株式会社ニーリーでエンジニアリードをしている鈴木正太郎です。 和菓子では上用饅頭が好きです。
先日公開した入社エントリでは、10年働いた会社を離れてニーリーにジョインした理由を書きましたが、今回は、#ニーリー開発組織の野望シリーズとして、私がエンジニアリードを務めるワンデイパークというプロダクトについて、その魅力と可能性、そして開発の舞台裏を書いてみます。
ワンデイパークとは
ワンデイパークは、Park Directに登録されている月極駐車場を、1日単位で貸し出せるサービスです。1日貸しの設定がされた駐車場は、専用のWebサイトから、事前に予約・支払いをすることで、当日は予約した区画に車を停めることができます。

ワンデイパークは約3ヶ月という期間でリリースを行いました。今もなお非常に速いスピード感で開発が進んでいます。2026年2月現在は導入社数が100社を超え、すでに毎日どこかの駐車場がワンデイパークで予約されている状態です。
Park Directという月極駐車場のサービスを軸に展開してきたニーリーには、すでにPark Direct for Businessという2つ目のプロダクトもありました。しかし、ワンデイパークのリリースによって、いよいよ本格的にマルチプロダクトの会社としての歩みを始めます。
ワンデイパークの強みと特徴
ワンデイパークの強みは大きく3つあります。
- No.1のPark Directが抱える駐車場にアプローチができる
- 月極の空き状況とシームレスにつながる
- 単なるクロスセルにとどまらないシナジー
1. 業界No.1の駐車場すべてにアプローチができる
Park Directは、業界No.1*1の月極駐車場のオンライン契約サービスです。ワンデイパークはこの駐車場をベースに展開できます。1日貸しの駐車場予約サービスにおいて駐車場のシェアは競争力に直結するため、これは非常に大きなアドバンテージです。
また、すでにPark Directをご利用いただき信頼を築けている管理会社様へのアプローチとなるため、導入も非常にスムーズです。データ登録も、既存の駐車場情報に対して「1日貸し」の設定を有効にするだけで完了します。この導入障壁の低さが、圧倒的な立ち上がりの速さにつながっています。
2. 月極の空き状況とシームレスにつながる
ワンデイパークのもう一つの強みは、月極駐車場の空き状況や手続き状況とシームレスに連携できることです。例えば、以下のような運用が可能になります。
- 月極駐車場の空き区画を1日貸ししながら、月極の申し込みが入ったら1日貸しの貸し出しを自動で停止する
- 月極契約が解約されたら、自動で1日貸しの貸し出しを始める
- マンションの駐車場で、月極は入居者のみに限定しつつ、1日貸しだけは広く貸し出しする
ダブルブッキングを防ぎながら、駐車場の収益機会を最大化する運用が実現できるのです。
これは、Park Directという月極駐車場の管理システムを持っているからこそできることです。月極と1日貸しが別々のシステムだと、こうした連携を手動で行う必要があり、手間がかかる上にダブルブッキングのリスクもあります。実際、ワンデイパークの導入を決めていただいた不動産管理会社様の多くが、まさにそこを課題に感じていました。
3. 単なるクロスセルにとどまらないシナジー
ワンデイパークとPark Directの関係性は、単純なクロスセルにとどまりません。これこそ私がワンデイパークが今後「モビリティインフラ」を牽引すると確信している理由なので詳しく語りたいところなのですが、極めてシンプルにまとめると、
Park Directの市場拡大が、そのままワンデイパークの成長に繋がる。そしてワンデイパークが1日貸しのニーズに応えることにより、Park Directの営業力を強化する。
という理想的な好循環が生まれています。ワンデイパークは単なる1つの新規事業ではなく、事業間の強力なシナジーを生み出すための新たな柱なのです。
ワンデイパークのワクワクの裏にある難しさ
新規プロダクトの立ち上げは、ワクワクする一方で多くの困難も伴います。 事業は急激に成長していますが、急成長ゆえの課題も山積しています。 リリースからまだ日は浅いですが、すでに技術的な課題と日々闘っています。
月極駐車場とのシームレスな連携の難しさ
ワンデイパークの事業面での大きな強みである「月極駐車場とのシームレスな連携」は、技術的な面では大きな挑戦でもあります。
Park Directは多機能ゆえに仕様が複雑化しており、駐車場区画の状態一つとっても様々なレイヤーでステータスが管理されています。 そこに1日貸しによる区画の状態が追加されるので、ワンデイパーク・Park Directどちらからでも、整合性を保ちながら貸出可否を判断する必要があります。
特に頭を悩ませているのが、既存のデータモデルと現実の運用のギャップです。 例えば、「月極としては募集停止中(データ上は『満車』)だが、実際には空いているため1日貸ししたい」といった現場のニーズへの対応です。これに応えるため、現在は運用での回避や、本来は行わない設定で対応しているケースがあります。 このような「現実とデータの乖離」をシステムで正しく吸収するために、現在はアーキテクチャチームと連携し、根本的なデータモデルの再設計を含めて様々な対応に取り組んでいます。
事業の変化による負債との付き合い方
新規プロダクトを立ち上げる際、既存システムとどう向き合うかは重要な判断ポイントです。
ワンデイパークでは当初、「将来的にPark Directからシステムを切り離せるようにしたい」一方で、「最速でリリースしなければならない」という相反する要件がありました。 そこで、バックエンドのコードベースは共有しつつDjangoアプリケーションだけを分割し、駐車場データをレプリケーション(複製)して参照する設計を採用しました。「月極と1日貸しは独立していたほうがサービスとして扱いやすいだろう」という仮説があったからです。
しかし、ビジネス検証が進むにつれ、この仮説は覆りました。むしろ「月極と1日貸しのデータを密に連携させること」こそが競争優位性になると判明し、切り離しを前提とした設計は、逆にプロダクトの負債になってしまったのです。
そこで正式リリースの2ヶ月後には方針を転換し、レプリケーションを廃止してデータを共有する構成に変更する判断をしました。すでに変更は完了していますが、負債を早めに解消したことによって、機能追加するに当たっての考慮事項が減っていることを実感しています。
速く走るために作った仕組みでも、状況が変われば潔く捨てる。ビジネスの解像度が上がったタイミングを見逃さず、開発スピードを落とさないように負債を解消していく。このバランスを大切にしています。
短期リリースの舞台裏
冒頭で述べた通り、ワンデイパークは約3ヶ月というスピードでリリースを行いました。このAI時代におけるMVP開発としては十分な期間に感じるかもしれませんが、Park Directとの連携の作り込みの程度から考えると、かなり短納期でのリリースでした。スタートアップにおいて「市場に問いを投げるスピード」は命なので、早くリリースするために工夫を凝らしました。
決断したトレードオフ
リリースに向けて、多くの「今はやらないこと」を決めました。
例えば、直前で発覚したデータモデルの不備による仕様のねじれを、影響度合いとその範囲を慎重に見極めた上で「積み残し」として許容しました。また、お問い合わせフォームの実装も見送り、PoCと同様に電話対応のみでスタートするという判断も下しました。
もちろん、こうした判断は開発チーム内部で完結する話ではありません。 リスクとメリットを提示し、社内のワンデイパークチームの方々と密に連携して合意形成を行いました。 リリース前にはCEO、CTO、ビジネスチームの執行役員を含む多くのメンバーにプロダクトを触ってもらい、直前までフィードバックをもらいながら、プロジェクトメンバー全員で盛り上がりながらリリースを迎えることができました。
なお、上記で挙げた積み残し部分は、リリース後に順次解消しています。 このスピード感あるリリースがあったからこそ、早期に営業活動を開始でき、ビジネスチャンスを最大化できたと確信しています。
リリース後の最大の山場
ファーストリリース自体は完遂しましたが、実はその裏には非常に大きな「今はやらないこと」がありました。 それは、管理画面の機能をすべて落とすことです。開発工数を削減するため、リリース当初は管理画面を作らず、BaseMachinaというツールを用いた機能外運用でカバーすることにしていたのです。
リリース後、管理画面の機能を実装する段階になったときは、画面イメージこそありましたが、細部の仕様は詰め切れておらず、根本的な部分で既存の実装とコンフリクトする箇所もいくつかありました。そのため、改めて機能要求の整理から始める必要があったのです。
すでに強力な営業メンバーの活躍により受注は順調に増えていました。しかし、不動産管理会社様に安心して導入を決めていただき、更に事業を伸ばしていくためには、やはり管理画面の存在が不可欠です。一方で、「月極駐車場とのシームレスな連携の難しさ」に記載した通り、様々な状態を考慮した「ちゃんとした」管理画面をリリースするには、どうしても長い時間がかかってしまいます。
そこで最終的には、管理画面だけですべてを完結させることにこだわらず、BaseMachinaとの並行運用を一時的に行う判断をしました。その上で、データの不整合を即座に検知できるアラート機構を整備する。このように安全性を担保しながら段階的に移行することで、この最大の山場を乗り切りました。
[野望]これからのワンデイパーク - 次世代モビリティインフラへ
ワンデイパークの目指す世界は、単なる「月極駐車場の空車を有効活用するサービス」以上のものです。
ゆくゆくは駐車場という土地の管理をニーリーにすべてお任せいただき、その中で1日貸しや月極など柔軟な駐車場の貸し出し方・利用の仕方を可能にすることで、モビリティインフラとして社会に様々な価値を提供できるようになります。
例えば、駐車場を起点としたカーシェアリング、駐車場での充電サービス、駐車場を活用したラストワンマイル問題の解消、関連サービス提供による月極駐車場の賃料負担の軽減など。駐車場という物理的な拠点を抑えているからこそ、リアルとデジタルをつなぐ様々なサービスが展開できます。
このような、必要とされている価値を届けられるサービスをどんどん世に送り出していきます!
エンジニアとして、ワンデイパークを作る面白さ
記事が長くなってしまったので、今まで書いた内容をエンジニアとして「今」ワンデイパークを作っていく面白さという観点で整理します。
事業の伸びをダイレクトに感じられる
新規プロダクトの立ち上げフェーズだからこそ、事業の立ち上がりをダイレクトに感じられます。事業のトップラインを伸ばすために「何を作らないか」を決める裁量をエンジニアが持ち、ワンデイパークに関わるメンバーと議論しながら仮説検証を回せる機会はかけがえのないものだと思います。
単なる「技術的な正解」よりも「今、事業が勝つための最適解」を自ら主導して定義し、実行できるのが今のフェーズの醍醐味です。これによって、受注や利用数がダイナミックに変化する。これを体感できるのは今のフェーズだからこそだと感じています。
toBとtoCの両面を経験できる
ワンデイパークもPark Direct同様に、管理会社様向け(toB)と駐車場利用ユーザー向け(toC)の両面があります。 例えばB側の管理画面に加えた一行のロジックが、C側のユーザーの利便性をダイレクトに向上させることにつながります。
「管理会社が空きを登録しやすくなる(B)」→「街中の予約可能枠が増える(C)」→「ユーザーがより便利に移動できる」→「管理会社の収益が増える(B)」
この一連の流れを俯瞰し、「システム全体の整合性」を保ちながらプロダクトを成長させていく経験は、toBもしくはtoC単一の領域だけでは決して得られない、プロダクトエンジニアとしての大きな武器になります。
このようにtoBの複雑な業務要件と向き合いながら、toCのユーザー体験も設計する。 それ故に、事業を伸ばすポイントもたくさんあるし、やるべきことも多岐にわたります。この幅広さが開発としての醍醐味です。
複雑な問題を解決できる
月極駐車場とのシームレスな連携、急激な成長に耐えうる設計、コストと体験の両立。ワンデイパークには、複雑な問題が山積しています。 Park Directという巨大な既存システムの制約と向き合いながら、いかにシンプルで拡張性の高い新システムを構築するか。 リアルな駐車場というアセットを、いかにソフトウェアで柔軟に、かつ堅牢に制御するか。この複雑な問題を解くことこそが、エンジニアとしての腕の見せ所です。事業に直結する複雑な問題を解決して、ビジネスの成長を自分たちが牽引するのはとてもワクワクします。
事業の拡大フェーズを「最初から」経験できる
ワンデイパークはまだ始まったばかりです。1日貸しから始まり、将来的にはカーシェアや充電サービス、月極では賄えない一時貸しなど、駐車場を起点とした様々なサービスへと広がっていく可能性があります。 この拡大フェーズを「プロダクトが安定してからの途中参加」ではなく「最初から」経験できるのは、今このタイミングだからこそ。短期的な課題解決だけでなく、中長期を見据えた設計や意思決定に関われることは、エンジニアとしての大きな成長の機会だと感じています。
一緒に働く仲間を募集しています!
ワンデイパークは、まだまだ始まったばかりです。 これからもっともっと機能を充実させ、事業を成長させ、これからリリースしていくプロダクトと共に次世代モビリティインフラへと進化させていく必要があります。
そのためには、一緒に挑戦する仲間が必要です。
- 複雑な問題を解決することにワクワクする方
- 事業の立ち上がりをダイレクトに感じながら働きたい方
- toBとtoCの両面を経験したい方
- 長期的な視点で、プロダクトと事業を成長させたい方
- チームで一体となって、困難を乗り越えることを楽しめる方
そんな方と一緒に働けることを、心から楽しみにしています。
駐車場という一見地味に見える領域ですが、その先には大きな可能性が広がっています。次世代モビリティインフラを、一緒に作っていきませんか?
ご興味のある方はぜひカジュアル面談からお気軽にお話ししましょう。一緒にワクワクする未来を作れることを楽しみにしています。
*1:「月極駐車場のオンライン契約サービス」の「導入社数」(サービス導入をしている不動産管理会社数)と「オンライン契約可能台数」、「オンライン契約者数」について、2025年11~12月の株式会社未来トレンド研究機構によるサービス提供事業者に対するヒアリング調査およびデスクリサーチ。