
こんにちは、ニーリーでQAエンジニアをしている鹿間です。
先日 JaSST ‘25 Tokyo にオンラインで参加し、品質に対する新たな視点を得ることができました。 その中でも、内容に親近感がありつつも品質とは何かを再考させてくれた2つのセッション
- B4)ゲームテストシラバスを読み込んでみた
- C5-2)チームで自信を持つためにアウトプットに触れて対話する機会を増やす
から学べたことを書いてみようと思います。

B4)ゲームテストシラバスを読み込んでみた
まず、「ゲームテストシラバスを読み込んでみた」の企画セッションについてです。 こちらは、ゲームテスト関係者によるパネルディスカッションでした。
以前、入社エントリでも書いたのですが、私がQAという業界に入るきっかけとなったのはゲームテスターのアルバイトだったため、 このシラバス*1には懐かしさと共に、これまで言語化されてこなかった知見が整理されていると感じました。
特に印象的だったのは、「現実物理 vs アニメ的演出」といった、一見“バグ”と捉えられがちな表現にどう向き合うかという観点です。 例えば、以下のような事例が挙げられていました。
- 背中に背負った剣が、腕の可動範囲的に物理的に抜けない
- キャラクターが常に正面からのライティングで「顔が明るく」なっている
- 2段ジャンプは現実でできない
これらは現実ではありえない挙動ですが、ゲームの世界観や演出意図を理解することで、必ずしも“バグ”とは言えない場合があります。 このような「品質の解釈」の多様性は、現在私が担当しているQA業務、特にUI/UXにおいても共通する課題です。 仕様やテストケースだけで判断せず、「実際に触って、体験して、話す」ことで、本質的な課題が見えてくることを再認識しました。
C5-2)チームで自信を持つためにアウトプットに触れて対話する機会を増やす
続いて、「アウトプットに触れて対話する機会を増やす」の事例セッションについて。 発表者はカオナビの赤﨑さん。
このセッションでは、「なんとなく不安だからテストする」という状態から、チーム全体で“自信を持ってリリースできる”状態へと変化していくプロセスが語られていました。 特に印象的だった取り組みが2つあります。
手裏剣テストという日々の観察
毎日1時間、過去の「完了」したチケットを確認して要件を満たせているかを改めて確認する時間を作ったことで、見落とした不具合やユーザーの使いづらさなどが定期的に見つかり、不安が自信に変わっていったとのことです。 この手裏剣テストは、キャノンメディカルシステムズ社の忍者式テスト*2を参考にアレンジして実践しているとのこと。
赤﨑さんの忍者式テスト実践ブログはこちら qiita.com
“触る会”という対話の場
開発したばかりの機能を、ロールやシチュエーションを交えながら実際に触り、「どう感じたか」「どこでつまずいたか」を対話する時間を設けたそうです。 これにより、定量化しづらい“違和感”を言語化し、チームで共有することができたとのことです。
私自身、プロダクトの仕様や開発スピードが日々変化する中で、「これで本当に大丈夫だろうか」という不安を感じることがあります。 そうした時、チーム全体が日常的にプロダクトに触れ、想いや視点を共有できる環境があるかどうかが、その不安を「信頼」や「自信」に変える鍵になるのだと強く感じました。
2つのセッションを通じて得た学び
ジャンルやプロダクト形態は異なっていても、「品質をどう捉え、どう育てていくか」という根本的な問いに向き合う姿勢には、強い共通点がありました。 改めて感じたのは、品質とは単に定義されたゴールではなく、チーム全体が対話しながら育てていくプロセスであるということです。
プロダクトに触れることで、見えてくる課題がある。 その課題を言語化して共有し、対話することで納得が生まれる。 そして納得が積み重なることで、“不安”は“自信”へと変わっていく。
現在、弊社のQAチームでは、週に1度の勉強会をトライアルで始めています。 自身が担当していない分野や機能について理解を深めるため、チームでお互いに意見を出し合いながら理解を深める取り組みです。 今後はテストの技術や指標だけでなく、”チームで品質を語る空気”をどう作るかという視点を大切にしていきたいと感じています。
以上、JaSSTでの2つのセッションから得た学びを書いてみました。 品質を高めるためには、技術的なアプローチだけでなく、チーム全体での対話や共有が不可欠であることを再認識しました。 今後も、プロダクトに触れ、語り合うことで、より良い品質を目指していきたいと思います。

*2:キャノンメディカルシステムズ社の忍者式テストhttps://www.sea.jp/ss2023/download/15-ss2023(slide).pdf