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ポン・ジュノ『ミッキー17』と、移民政策【満洲】

食いつめ者が、極寒の植民地へ『ミッキー17』

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アマプラでポン・ジュノ監督の『ミッキー17』はもうご覧になりましたか?

  • 食いつめた青年、ミッキー
  • 極寒の植民地(星)
  • 「使い捨て労働者」で人体実験

……という『ミッキー17』の設定で、私がなんとなく連想したのが、日本から【満洲】に渡った試験移民たちでした。

 以前、『東京満蒙開拓団』(ゆまに学芸選書)いう本を読んだことがあります。(早川タダノリさんのツイートで知りました)

昭和初期、東京・深川の無料宿泊施設「天照園」から、「ルンペン」たちを満洲に送りこんでいたのだとか。

この流れがちょっと『ミッキー17』っぽい。

建国まもない満洲に、「ルンペン」を「試験移民」として送り出す。それは彼らに「自力更生の道」を開くための救済事業……。

とはいえ、当時「ルンペン移民」を視察した人物の記録*1

気の毒ながら、みんな満洲移民のモルモットの覚悟です

という文が出てきたりすると、つい『ミッキー17』を感じてしまいます。いわば深川のミッキーたち。

▽【参考画像】当時の雑誌から、「満洲」の大まかなイメージ図をどうぞ。これは「満洲の農耕地」を皮算用・シュミレーションしているところです。(講談社『キング』1933/昭和8年5月)

日本人総出で開墾に従事しても差し支えない訳である

「ルンペン君」は満洲移民の人柱?

 当時の新聞は、深川の「ルンペン移民」が満洲に渡ることを、美談として報じました*2。(先述の『東京満蒙開拓団』より引用)

朝日新聞 1932/昭和7年6月11日

「焼酎酌んで盛宴 ルンペン君の送別会 秦憲兵司令官も激励」

◎読売新聞 1932/昭和7年6月11日

満洲行きルンペン団送別会 『我らは満洲の人柱 成功しても生きて帰らぬ』 秦憲兵司令官が送別の辞」

ああ…「ルンペン君」満洲の人柱」…

「ルンペン移民」が入植した満洲の奥地は、想像以上に過酷な場所で、気候も滅茶苦茶(大洪水&雹)だし、「匪賊」の襲撃もすさまじい。

ところが「死線を越えた」ルンペン移民団は「一種の諦め」から、ひどい環境でも妙に朗らかでした。*3。このあたりを読むと、『ミッキー17』の主役ロバート・パティンソンが、残酷な仕打ちをうけても、なぜかヘラヘラしていたのを思い出します。

『東京満蒙開拓団』は、ルンペン移民団以外にも、様々な移民団(東京発→満洲)が紹介されているので、機会があったら読んでみてください。

▽『ミッキー17』より。植民地(星)の環境を下調べするため、何度も実験台になるミッキー。研究者たちは、気楽にミッキーを殺します。ミッキーはいくらでも再生(コピー)できるから。

▽【参考画像】これは「ルンペン氏」満洲で人生をリセットしてる想像図。1932(昭和7)年8月号の雑誌に出ていた漫画なので、もしかすると「ルンペン移民」の新聞報道(1932年6月)にヒントを得たのかもしれません。それにしても「廃物利用の秘訣」という項目がひどい!

日増しに増えるルンペン氏も新興国満洲へ渡れば、赤い凍土と狼と馬賊を征服する勇士となる

『絵入よろづ秘訣宝典』(新潮社「日の出」創刊号附録・1932/昭和7年8月)

 以上、映画『ミッキー17』と、満洲に渡った「ルンペン移民」を紹介しました。『ミッキー17』を見るときには、かつての日本が《移民を送る側》だったことを思い出してくださいね。

(その後、満洲に向けて大量移民政策が始まります。↓↓引用文は『キメラ 満洲国の肖像』山室信一 中公新書

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*1:東京満蒙開拓団46ページ。全文は『文藝春秋にみる昭和史 1』の「執政に謁するの記」平野嶺夫(平野零児)で読むことができます。

*2:文藝春秋にみる昭和史 1』平野嶺夫(平野 零児)「執政に謁するの記」〈その当時の新聞記事を読んで、人々は「何だい、ルンペンを移民とは馬鹿にしている」と憤慨したものだった。〉

*3:『東京満蒙開拓団』65ページ「満鉄の調査員の目は冷静である。『満鉄報告』の中に次のような著述がある〈団員は所謂死線を越えたるものなれば困窮の生活に堪え、如何なる不況に於いても朗かなりと謂うことである。(略)彼等が朗らかなる所以は、自然的、社会的の迫害を運命的に受け容れたる一種の諦めの上に築かれ居るものにして…〉」




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