
△サムネイルは、『海軍』創刊号の目次から作りました
少年兵の募集に重点を置いた雑誌
先日、ツラい本を入手しました。少年兵の募集に重点を置いた雑誌『海軍』(講談社)の創刊号です。戦局の悪化で雑誌の統廃合がすすむ中、あえて昭和19年に「創刊」しているのがすごい。
▽表紙には「戦場は君たちを待つ」の文字。

▽巻頭ページはかっこいいアニキと、「いのち捧げる時はきた」と宣言している(風の)少年たち。
僕たちもいくぞ。いのち捧げる時はきた。あとに続かん皇国の少年兵たち

【表紙】→「戦場は君たちを待つ」
【巻頭】→「いのち捧げる時はきた」
……少年の「いのち」が、とても軽い。
▽ちなみにこれは同じ号の「海軍志願兵になるには」(海軍省人事局指導)。つまり「戦場は君たちを待つ」は、ガチ。

▽拡大したところ。少年兵のイラストは頬がふっくらしてまだ子どもです

『社史に見る太平洋戦争』(新潮社/1995)の講談社の章には、創刊時の状況が出ていました。
雑誌の統廃合がすすむ一方、新雑誌の創刊もあった。いずれも軍関係の雑誌である。五月には、海軍省後援の『海軍』、陸軍省後援の『若桜』の両誌を創刊した。(略)いずれも少年兵募集に重点を置いた内容だった。
休刊ラッシュの中で新たに創刊されたのは、軍のリクルート系というわけですね。
▽雑誌『海軍』の目次には「海軍省人事局」をはじめとして、海軍関係者がずらり。もはや講談社の雑誌というよりも、《募集パンフレット》にちょっと小説や漫画がのっているイメージです。

子どもが喜びそうな誌面
▽カラーページは「想像絵 ワシントン大爆撃」。日本がアメリカの首都に「ものすごい大空襲を敢行」しているところ!びっしりとフリガナがついているから、ちいさい子も読めそうです。

▽漫画も非常に可愛いくて、最近のイラストっぽい。

▽執筆陣には、海野十三、角田喜久雄などの人気作家が。ユーモア小説家として知られる獅子文六も、本名の「岩田豊雄」で『海軍魂物語 九号水雷艇』を書いています。

▽読者の投稿ページでは、「僕の考えた新戦術」「僕らの大気焔」を募集しています。優秀な投稿は、海軍省報道部の高戸顕隆大尉殿が「お相手」してくれる設定。
にくいにくい敵米英をやっつけるために、いま日本中の人々は一人のこらず火の玉となって戦っています

▽ 裏表紙。この三和銀行の広告は大人の雑誌でも時々見かけますが、子供の雑誌に出ていると余計にヒヤッとする。

以上、戦争末期に創刊された雑誌『海軍』を紹介しました。この雑誌は少年たちを「その気」にさせるために、様々な工夫をこらしていたのでしょうね。
「新しい戦前」といわれる現在…少年を「その気」にさせるために、どんな人が、どんな工夫をするのでしょうか。
▽【参考】その気にさせる文章の例。「内閣情報局」が出していた雑誌『写真週報』昭和17年11月4日号から。
