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世のなかに絶えて…

 

      

春の穏やかな陽射しが大地を包む中、桜の花が

咲き誇る。

淡い薄紅色の花びらは、風に乗って舞い上が

り、空をさざめくように漂う。

その美しさは息を呑むほどでありながら、同時

に心を揺さぶる不安をもたらす。

咲き誇る一瞬の輝きが、散りゆく運命を予感さ

せるからだ。

        

もしこの世に桜がなかったならば――春はただ

穏やかで、心乱されることなく過ごせたであろ

う。

しかし、桜の存在が人々の心に宿る静けさを奪

い去る。

咲く日を待ち焦がれ、散る日を惜しむその姿

は、まるで儚い恋のようだ。

      

桜の花びらが地面に降り積もる様は、美しくも

切ない別れの情景を思わせる。

春風に舞う花びらは、愛しい人との一瞬の出会

いと別れを映し出しているかのようだ。

桜がなければ、人々はこんなにも心を揺さぶら

れることなく、ただ穏やかな春の日々を過ごせ

たはずなのに――それでもなお、この美しさに

心奪われずにはいられない。

 

在原業平「世の中にたえて桜のなかりせば…」

を現代風に発展させてみました。

在原業平「ありわらのなりひら」。

Arihara no Narihira: "If there were no cherry blossoms in the world..."

 

 




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