2025-08-12 錦の楓… 錦の楓 — ひらりと舞う詩 山の風が ひとひらの冷たさを乗せて ほほをなでる 目の前の楓は 秋のまんなかで そっと燃えていた 赤と金の糸で織られたような葉は 光を抱き 透けるほどに輝く 陽にあたる葉は ルビーのように 影の葉は にじんだ絵の具のようにやわらかい ひらりと一枚 くるりとまわって 地面におちる それは 終わりのしるしであり 新しい物語のはじまりでもあった 遠くは 紅い波を打つ海 近くは 葉脈にきざまれた年月の模様 カサカサと足もとで鳴る落ち葉の音 澄んだ空気が肺の奥までひろがる