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朧月夜から物語は始まる



しずくの記憶が石畳をすべり落ち

夜風が濡れた葉をそっと撫でる

雨音の余韻が静寂に溶け

世界は深い吐息をつく



雲のヴェールに包まれた月は

琥珀色の灯りをぼんやりとこぼし

水面に揺れる影を

そっと指でなぞる



湿った土の香りが

胸の奥に忍び込み

遠い日の約束を

そっと呼び覚ます



指先に残る雨粒の冷たさ

耳元でささやく風の声

まぶたの裏に浮かぶ

朧月の輪郭

物語は、

この夜のすき間から

しずかに芽吹き

あなたの心に

そっと根を張る

 




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