2025-04-15 亡き母の温もりと思い出 指先に伝わる 絹糸のしっとりとした手触りは、 まるで春霞の朝に頬をなでる微風。 朝の光に浮かぶ「亡き母の白檀の香り」が ふと、心の奥にそっと舞い降りる。 思い出の箪笥から取り出した 藍染めの母のショールは、 北山の早春の風をやわらかく包み込む 陽だまりのような温もり。 その布を頬にあてれば、 母の手のひらが今も私を撫でてくれる気がする。 遠く「春の海」の潮騒が、 静かに部屋の空気を揺らし、 受け継がれてきた織機の前に座ると、 織り重ねた絹糸の一筋一筋が 母と私の記憶をやさしくほどいていく。