
メリークリスマス!
ハイパーボウルは、わたくしnamahogeが聞いて興奮した国内外の新譜を紹介するスポーツ大会です(勝敗はありません)。
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Bassvictim『Forever』〜PAS TASTA「SCYTHE」
2025年は日本でもこういう重心低くてガビガビした音楽が流行った年だと思うが(cf.アングララップ)、そこに妙にイノセントな感じの詩心をのせてくるのがロンドン発のデュオ・Bassvictim。自分はMGMTとか好きなんで、無垢にめちゃくちゃ混乱してる、みたいなノリがいいなと思ってたら、ピッチのインタビューでも二人はリアルに無垢にめちゃくちゃ混乱していた。
アルバムの基調となっているブリッとしたベースは、インディスリーズ/エレクトロクラッシュ/ブログハウス・リバイバルの一環としても理解される。00年代当時を記述したリーナ・アバスカル(2021)を読むと、Justiceに始まりSkrillexに終わるブログハウスの時代があったといい(クソ雑要約)、DiploやSteve Aokiなどのプロデューサー・DJが〈Ed Banger〉的エレクトロからEDM的ハイファイ・サウンドに見事にシフトしていった軌跡が示されるが、なるほど、Perfumeが『GAME』(2008)の頃にあんなにブリブリしていたものが、だんだんフェス仕様に変化していったのはそういうことだったのか……などと思った。あと面白かったのは、Daft Punkの伝説的なピラミッドのパフォーマンスがブログハウス時代の始まりを告げ、同時に「ロックスターとしてのDJ」というEDMの台頭(=ブログハウスの死)に繋がる予兆でもあった、みたいな記述。フェス全盛期に突入する直前で、オンラインの居場所がSNSにより統合される直前で、いろんな局面で過渡期にあったのがブログハウスみたいなもんなんだろう。インターネットの最後のきらめき……
そういえば、今年の5月くらいに会ったライターのアボかどさん・imdkmさん両名から「ブログが音楽コミュニティにとって重要だった時代があったのよ」と聞いたことも思い出される(新潟駅近くの居酒屋で)。ヒップホップ文脈だと「ブログエラ(ブログ時代)」と呼ばれ、ダンスミュージック文脈だと「ブロゴスフィア(ブログ圏)」と呼ばれるという。
つい一週間前くらいに進行役をやった対談記事で、このあたりのことがガッツリ触れられたのは全く予期してなかったが、そこには上述の本にも記述されないような国内クラブシーンでの受容が語られている。近日公開予定なので、是非読んでくれよな。
今年はlilbesh ramkoもガチなやつ(ガチなやつ)をリリース。PAS TASTAの新曲もブリブリ。自分もPerfumeオタクだったので中坊くらいで中田ヤスタカを経由してDaft Punk→Justiceとフレンチツアーを経験したクチなので、このノリが流行るのはけっこう嬉しいですね。
ear『The Most Dear and The Future』〜sysmo『BYE-BYE KARAOKI!』
このバンド名、驚くべきエゴサビリティの低さである。Bassvictimについて「イノセント」と書いたが、「ear」という名前もやたらに素朴だ。しかしこのイノセント具合がむしろ2025年的ヒップさを醸し出している……というのは直観でしかないけれど、これってアンチ・インターネットというか、セマンティックでないウェブ世界に遡行したいバイブスではないのかな(イエス、HTMLエネルギー!)。
さて、全体の構造が妙にシンプルで朴訥としすぎる気もつつ、唐突に入るベースが巨大で笑ってしまうようなエレクトロクラッシュ・アルバムは、音楽プラットフォーム・nina protocolでのセールスが高いらしい。まさにDIYアーティストのための配信サービスということで、インディ純度の高い作品が集まる雰囲気もあるが、この周辺で盛り上がっているのが「laptop_twee」なるマイクロジャンルらしく、earもその括りに放り込まれたりしている。いや実際盛り上がってるのかしらんけど、個人的に興味を持ったので以下まとめておきたい。
「laptop_twee」とはアーティストのfriends&が提唱するマイクロジャンル/美学。その字のごとく「ラップトップで作ったトゥイー・ポップ」ということだが、そもそも「twee」とは「sweet」の幼児語なので訳せば「かあいい」であり、「ラップトップのかあいい音楽」というニュアンスになる。friends&へのnina protocolのインタビューがあるのでそのまま引くと、
laptop_tweeとは「トゥイー・インディートロニカ(twee-indietronica)」のことです。laptop_tweeの参照点の多くは、批評家から絶賛された2000年代のトゥイー・インディー・ポップの波に由来しています。私が作品をlaptop_tweeとみなす基準は、現代的なデジタル制作技術を用いて、「かわいらしさ」や「親密さ」といった伝統的なトゥイーの美学を革新的な方法で表現しているかどうかです。
ほかにも「Wilcoを聴く母親に育てられたZ世代がpoetmistryからAbletonのグリッチを学んだ」音楽なのだとか、「高校時代にBladeeにハマったBelle & Sebastian」なんだとか、「The Radio Dept.がミックス前のCDをJane Removerに渡した結果」なんだとか、いろいろ言う人がいるが、ともかくfriends&にとって「laptop_twee」の天啓となったのは(そして40時間ぶっ通しでRYMにレビューを書くハメになったのは)、Worldpeace DMTというアーティストを聞いたことだったそう。MVがマジで最高。
Worldpeace DMTはBassvictimのライブの前座を務めたりでロンドン・アンダーグラウンドで注目されつつあるアーティスト。宅録ロックにDTM的小技を詰め込んで、賑やかにかわいらしく時々狂気じみた叫びを披露する。
こうした「laptop_twee」の一群を聞いてまっさきに思い出したのはKabanagu『ほぼゆめ』だった。ドラッグストアでかかってる有線放送J-POPのオケかってくらい素朴なMIDIトラックに仕込まれたギミックの数々は、嗜好を凝らしたラップトップ秘密基地といった具合で、その人懐っこさとか意地悪さとか、トゥイーだな、と思ったのだった。(ところでマルチネ20周年イベントの時の映像って公開しないんですか? 40分の短編映画らしいんですけど……)(あとほぼゆめリファレンスプレイリストには、「laptop_twee」と重なるアーティストもちらほら。Tek Lintoweとかポタロビとか。)
それから今年のニューフェイス・Sysmo。地元の音楽好き三人組が集まればバンド組むかラップトリオになるかというのが世の定めであるが、Sysmoはカラオケボックスに集まってラップトップ囲んで曲作りをする。その絵面がなかなかトゥイーではないでしょうか。曲を聞いても3人がそれぞれを驚かせようと遊びながら作ってる感じでトゥイー。春くらいに取材したが、グッドバイブスな三人組なので要チェック。
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今日はここらへんで、続きを書くかもわかりません。
最後に今年のベストソングを(取材もした)。
あともうひとつ。
MAKE UP LALA~♪