
正直に言うと、第1章から心が折れました。
「神・世界・人間」という三大テーマが星座のように並ぶはずなのに、私の脳内は早くもブラックアウト。読み始めたはずなのに、なぜか読書体験の出口に放り出されていたのです。本を開いたのに、ページがこちらを閉じる。理解する前に、理解されない読者になってしまった。これぞ「読書の敗北感」という珍しい星の輝き。それでも、ほんの断片だけは残っています。
「救済」と「時間」とが奇妙に絡み合う一文に、遠く光る星を垣間見た気がする。もっとも、その光がまぶしすぎて、私は目を閉じてしまったのですが。『救済の星』を投げたのではなく、『救済の星』のほうが私を投げたのです。本を最後まで読めなかった記録を、こうして日記に書く――それこそが、敗北の中に残る小さな救済なのかもしれません。
それにしても、『救済の星』はただの「難しい哲学書」ではない気がします。
読者を試すために仕組まれた入場試験のような第1章。
そこを突破できなければ、以降の救済に立ち会う資格はない――とでも言わんばかりです。私は早々に試験に落ちました。しかし、落ちたことを記録に残すのもまた誠実な読書日記の一形態だと思うのです。むしろ「試験に落ちた読書日記」のほうが、成功体験より面白いのではないでしょうか。読書の成功譚は多くの人が書ける。
けれど、失敗譚にはその人なりのリアリティと笑いが宿ります。
未完の読書こそ、完璧なネタになる。
そう自分に言い聞かせながら、この日記を閉じることにします。
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