とある休日の午前9時。
ショーペンハウアーは本を手に持ち、いつも通りドドールコーヒーショップへと足を運んだ。
「さて、今日はちょっとひんやりするからブレンドコーヒーにするか、、」
ショーペンハウアーは店の入り口に近づいた。
「おお、今日は繁盛しているな」
ドドールコーヒーショップは休日のほうが混むことが多い。今日はちょっとした行列ができていた。
仕方がなくショーペンハウアーは待つことにした。
・・・
30分が過ぎた。まだ注文すらできていない。
「まいったな、早く読みたいんだが」
もう少し辛抱強く待ってみることにした。
1時間が過ぎた。近隣にはコーヒーショップがない。
ショーペンハウアーは考えた。
「となりの駅まで移動するしかないのか?」
しかし頑固なショーペンハウアーは一度決めたことは変えないたちだった。
仕方がなくもう少し待つことにした。
・・・
2時間が経った。
我慢の限界に達しようとする直前、ようやく注文できるところまでたどりついた。
「いらっしゃいませ~、ご注文をお願いします」
「ブレンドコーヒーたのむ」
ショーペンハウアーは疲れ切った表情で、ぼそっとつぶやいた。
「かしこまりました、店内ですか?テイクアウトですか?」
「店内だ」
「かしこまりました、ちなみに席はもうお取りですか?」
「えっ」
ショーペンハウアーは痛恨のミスをおかした。席を取れていなかったのだ。
「え、今から取りにいかないといけないの?」
「さようでございます。お手数ですがお願いいたします」
ショーオペンハウアーは空いている席を必死に探した。
ここのドドールコーヒーショップは席が550席ある。
「あそこが空いている、、、、!!!」
ショーペンハウアーが取ろうとした瞬間、若い男性に取られてしまった。
「まいったな」
・・・
1時間が過ぎた。
ショーペンハウアーはまだ席を探していた。
「くそう、みつけた途端にすぐに埋まりやがる!!!!」
ショーペンハウアーは頑固なので、意地でもここでコーヒーを飲むことに決めていた。その意志は揺らがなかった。
さらに1時間が過ぎた。ようやく席を取ることが出来た。
「くそう、、、さて、並ぶか」
行列に並びはじめ、さらに2時間が経ち、ようやく注文できる段となった。
「いらっしゃいませ~注文はいかがなさいますか」
「ブレンドコーヒーでたのむ」
「かしこまりました、店内ですか?テイクアウトですか?」
「店内だ」
「かしこまりました、ちなみに席はもうお取りですか?」
「とれている」
ショーペンハウアーはおもわずニヤッとした。
「かしこまりました。ではブレンドコーヒーのサイズはいかがなさいますか?」
「普通のでたのむ」
「かしこまりました。ではレギュラーサイズにいたします。ホットですか?アイスですか?」
「ホットで頼む」
「かしこまりました。ちなみにカップは紙になさいますか?マグカップになさいますか?」
「マグカップで頼む」
「かしこまりました。ちなみにお支払方法はいかがなさいますか?」
「現金でたのむ」
「申し訳ありませんお客様。当店ではキャッシュレス限定店となっておりまして、、、」
「えっ」
ショーペンハウアーは一瞬同様したが、スマートフォンがあった」
「なになら払えるの?」
「こちらのアプリをご覧くださいませ」
そこには観たことも聞いたこともないアプリがずらーーーーっと並んでいた。
「むむ、これはまいった」
「インストールはすぐにできるかと思いますので、、」
仕方がなくショーペンハウアーは適当なアプリをインストールすることにした。
彼はクレジットカードをもっていなかったのである。
「ここでインストールしてもよいかね?」
「ええ、すぐに終わるかと思いますので」
アプリを利用するにはパスワード設定が必要です。
「なんだと?」
仕方がなくショーペンハウアーはパスワードを全て「1」に揃えることにした。
「入力いただいたパスワードは使用不可となっております。再度設定し直してください」
「なんだと?」
・・・
ようやくアプリのインストールが終わった。
「ふう、やっと使えるぞ」
「お客様、まだ会員登録が済んでいないみたいでして、、、」
「なんだと?」
会員登録をするには100個ほど入力する項目があった。
性別、氏名、勤務先、マイナンバー、生年月日、、、、、、、、、、、、、、、、数えきれないほど項目が存在していた。
・・・
さらに2時間がたった。
注文している最中、よくみると、気づいたらショーペンハウアーの席が誰かに取られていた。
「あそこは俺の席だからな、席とっておけよ」
「なんだと?」
なんと、ショーペンハウアーはテーブルに置いたハンカチが床に落ちてしまい、他の人間に取られていたのだ。
「くそう!!!また席取りからか!!!!」
・・・・
さらに1時間たってようやく席が取れた。
しかし行列は倍になっていた。
「くそう!!!」
・・・
注文ができる手前にたどりついた。
すると閉店のBGMが流れた。
ショーペンハウアーは静かに本をカバンにしまい込んだ。