日テレが「大進化!レジェンド番組祭り」と称して往年のバラエティ番組を復活させて放送している。5/24(土)には「マジカル頭脳パワー!!」「THE 夜もヒッパレ」が放送された。
「THE 夜もヒッパレ」は非常に手堅い布陣だった。King&Princeの永瀬廉をMCという名の客寄せに据え、三宅裕司中山秀征赤坂泰彦という鉄壁のオリジナル布陣。その他出演者も「今放送していたら確実に出てんだろ」の顔ぶれを揃え、「いつ復活してもやってやんよ」という気迫を感じた。ただ、「THE 夜もヒッパレ」という番組は「今流行りの曲を昔の人気者が歌っているものの、全員が全員なんかよく分からん気づかいであふれており、ふと我に気づくと一体何を見せられていたんだろうと茫然自失とする」ことに意味があるので、現代社会において全く必要とされていない。氷河期世代は「これが社会の縮図なのか…」と諦めにも似た気持ちで眺めていたとかいないとか、であるが、今の若者は見向きもしないだろう。今回も永瀬廉が「高嶺の花子さん」を謎に中山秀征にハモられるという超絶接待プレイをしていて、オッサンは「これこれえ!これがヒッパレの真骨頂!」と思ったが、永瀬廉のファンには全く意味が分からなかっただろう。こういう社会の謎を学ぶ番組だったのだ。
森香澄ハシヤスメアツコの「アイドル」(YOASOBI)あたりはヒッパレ感強めでかなり痺れたし、知念里奈のバックでギターだけ弾いてる霜降り明星せいやもかなり良い。全体通して「あの頃のヒッパレ」を再現しているどころか、もう完全に現在進行形のヒッパレで本当に良かった。披露された10曲に加えDA PUMPとMAXの対決ライブなど全部について書いてもいいのだけど、さすがに誰もマトモに読まないと思うのであきらめる。
一番良かった点には触れておきたい。ヒッパレのメドレー紹介で赤坂泰彦が曲にまつわるクイズを出題し、それをボケて答えるというこれまたお馴染みのくだりがあったのだけど、今回の放送でも見事に再現。こっちのけんと「はいよろこんで」の歌詞にも出てくる「・・・ーーー・・」は何信号(答えはもちろん「モールス信号」)、という問題に対し、三宅裕司が答えたのが「山城新伍う」だったのだ。これは唸った。さすが三宅裕司。ここのくだりは基本的にしょうもないダジャレやボケで構成されており、年配者がかますベタを面白がる構成である。若者からすれば一ミリも面白い箇所ではない。それは当時から変わらない。
だからこそ、これを踏まえての「山城新伍う」は超絶に自分に刺さった。「若者はどうせここで笑わないから、これを楽しんでくれる当時の視聴者層である40代以上のジジイババアが笑えばいい」という若者完全に置いてきぼりのボケ回答。若者は山城新伍知らない。けど40代オッサンの自分は悲しいかな笑ってしまった。オッサンの証左である。しかもこれは「当時ここで笑えてなかったかつての若者、つまり現オッサンのあなた、今この山城新伍うで笑っているだろ?こっちは当時から何も変わってないのに、あなたは笑えるようになった。これが大人になるってことだよ」という三宅のメッセージすら感じる(たぶんそんな意図は一ミリもない)。ありがとう三宅裕司。ありがとう山城新伍(一切関係ない)。
一方で「マジカル頭脳パワー!!」もよくできていた。いじわるクイズを連発する「マジカルシャウト」の出来も健在。現代バラエティ番組のゲームの基礎を築いたと言っても過言ではないクイズ・ゲームの数々は本当によくできている。最初はゲラゲラ笑いながら見ていたが、さすがに1時間を超えるあたりから少し疲れてきた。これはもうひとえに年齢によるものだと思う。「マジカルバナナ」はいつやるんだと思ったら最後まで出てこなかったし。
所ジョージを筆頭に、当時の出演者を極力揃えようとしていたのもさすがであり、また今放送していたら確実に出ていたよね」のメンツを揃えるのも「ヒッパレ」同様抜群に上手い。浜口京子VS丸山桂里奈の対決なんて150%やってるもんね。それを何の臆面もなくちゃんとやるんだから素晴らしいのよ。
「ヒッパレ」ほどの「あの頃感」ではなかったにせよ、ちゃんと当時のバラエティ感を出しながら今放送しても違和感のない演出の仕方はさすがの一言。しかし、「マジカル」に関してはひとつだけ「あの頃感」を出して悪い顔をしていた箇所がいくつかあった。それは「クイズの答えだったら下ネタは仕方ないよね」である。
紺野ぶるまに反転した文字で「さんぽ」を「ちんぽ」と答えさせるのは序の口(むしろ紺野ぶるまはこの答えを答えるためだけにキャスティングされたといってもいいくらい)。お題にそって連想したものを答えるマジカルインスピレーションが酷い。「あたまに”う”のつく細長いもの」では、回答者の半分が「うんこ」と答え(それでも一応一文字は伏せられていた)、「あたまに”ち”のつくぶらさがっているもの」ではほぼ全員が「ちんこ」と答える。けどこれインスピレーションの答えだから仕方ないよね、という下ネタ誘導クイズをこの令和のご時世に「当時の番組を復活させたお祭りですから」の確信犯でもって放送するのは、制作側のまあまあ悪い顔が見え隠れしました。
でも一番笑ったのは「うんこ」や「ちんこ」を答えさせることではなく、「うんこ」と「うんち」、「ちんこ」と「ちんちん」は別回答として一致に含んでいなかったこと。そこはゲームとして厳密なのかよ。そういうチグハグ感が当時のバラエティっぽくて楽しみました。細部に神は宿りますね(そういう意味ではない)。
しかしまあ、次世代に復活できるような番組が今あるのかなと考えると、暗澹たる気分にはなる。でもその時自分は生きていないので知りません。