黒の奇跡 曜変天目の秘密
好きな器がある。タイトルに書いておいて違う器について書くわけがないので率直にいうと、曜変天目である。
曜変天目は、世界に3つ完全な姿(欠損がない)のまま現存しており、その3つがすべて日本国内にある。一つは京都の大徳寺、一つは大阪の藤田美術館、そしてもう一つが東京の静嘉堂文庫美術館である。
静嘉堂文庫美術館では時折曜変天目の展示を行っているが、今回は特集ということで胸を踊らせてワクワクしながら向かった。開館五分後に到着。大混雑……。そして安定の最年少み。ご年配の方々がめちゃくちゃ多く、この年代の方達の特徴としてめちゃくちゃ熱心にしっかり展示物を見るということがあげられる。つまり、まったく列が進まねえ。
ってことで、順路を無視していきなり曜変天目を拝見していくスタイルを取った。
空いてる。
ということで曜変天目の周りをぐるりと回りながら、それこそじっくり観覧する。身長が小さいので背伸びをしないと器の底まで見えないのが悲しいが、背伸びをしてぐるぐる回る。
そして今回は、初公開の器の裏。展示してある台が鏡になっていて、そこに曜変天目の裏がうつっており、それを観ることができた。うひょー。
いや曜変天目は本当に素晴らしい。
この模様が「たまたま」ついたのぁ「狙って」作ったのかという話なのだけれど、おそらく狙ったんだろうということ。そして、科学的考証の結果、なんと、曜変天目を作り出す技術がわかってきたらしい。でもそうしたら曜変天目が粗製濫造されないか心配にもなったり……まあ時代の洗礼を受け、将軍家にもあったことのあるオリジナルを超えようがないと言えば超えようがない。こういう美術品は、そうした歴史的背景や重ねた年代の分、気迫を帯びるようになるもので。
展示全体としては、曜変天目の時代らへんの「黒」を用いた美術品がずらーっと並んでいる感じで、曜変天目全開というわけではない。が、曜変天目の謎についてパネル数枚で説明されており、それがとてもよかったので、来てみる価値はあると思われる。
タピオ・ヴィルカラ 世界の果て
少し足を伸ばして……ってほどでもない。地下街をずーっと抜けて行って(雨だった)、東京駅のステーションギャラリーへ「タピオ・ヴィルカラ 世界の果て」を観に行った。

タピオ・ヴィルカラはガラス工芸のデザイナーで、イッタラ社のコンクールで一役脚光を浴び、その後トリエンナーレなどでも受賞し、活躍して行った。
そのヴィルカラのガラス作品をあほほど浴びれる今回のこの展示。物量もすさまじかったし、何しろ全部の器がかっこよく、洗練されていて、デザインをしたヴィルカラもだけれど、それを形にしたガラス職人も素晴らしいと思った。

ヴィルカラは晩年疲れ果てて携帯の電波も届かない、というか電気も無い土地へ逃げる(リアル北の国から)。でもなんかいい生涯を送れたみたい。こうしたアーティストって、存命中に全然売れなかったとか、逆風が厳しい時期があったとかあるものなんだけど、まあ心が疲れたとは言え、全体としていい一生だったようで、それは見てる側としてもちょっとほっとした笑。
一つの作品を作るためにプロトタイプを作ったり、デザインも何枚も何枚も書いたりして、やはり半端な仕事じゃ無いよなその道のトップオブトップは、といつも思わされる。わたしは下民(すげー言葉だな)なので、ちくちくとブログを書くことくらいしかできません。