Xで「#名刺代わりの小説10選」というハッシュタグがあり、自分も久々にポストしてみた。その作品が次の10作。
再掲す
— mah_ (@mah__ghost) 2024年10月10日
好き好き大好き超愛してる。/舞城
風の歌を聴け/春樹
恋に至る病/斜線堂
恋文の技術/森見
横浜駅SF/柞刈湯葉
カラスの親指/道尾
パラークシの記憶/コーニィ
オーデュボンの祈り/伊坂
窓ぎわのトットちゃん/徹子
正義と微笑/太宰#名刺代わりの小説10選 https://t.co/DchZZPWf1D
これは今月というか今日バージョンであり、明日の気分によっては入れ替わるリストである。なんだけど。なんだけど、一回全部お薦めさせてほしい。
この記事のように<雑なあらすじ>と<感想>を書こうかとも思ったのだが、
2024年上半期読んで超面白かったオススメ小説7選 - 世界は今日も簡単そうに回る
なんとなくだらだら居酒屋で管を巻いてみたい気分だったので、そういうテンションで書いていきたいと思う。
↓「表示」を押すと目次が表示されます↓
- 好き好き大好き超愛してる。 / 舞城王太郎
- 風の歌を聴け / 村上春樹
- 恋に至る病 / 斜線堂有紀
- 恋文の技術 / 森見登美彦
- 横浜駅SF / 柞刈湯葉
- カラスの親指 by rule of CROW's thumb / 道尾秀介
- パラークシの記憶 / マイクル・コーニィ
- オーデュボンの祈り / 伊坂幸太郎
- 窓際のトットちゃん / 黒柳徹子
- 正義と微笑 / 太宰治
- おしまいに
好き好き大好き超愛してる。 / 舞城王太郎
舞城王太郎が初めて芥川賞にノミネートされた作品。舞城王太郎は元々メフィスト賞という講談社ノベルスの新人賞みたいな賞を受賞してデビューし、初期はミステリーを書いていた。「熊の場所」が群像に掲載され純文学にシフトし、芥川賞は受賞できなかったものの4回ノミネートされまくり、他には「阿修羅ガール」で三島由紀夫賞を受賞など。と、舞城王太郎愛が溢れて作家紹介をしてしまった。
そういうわけで本作は、舞城王太郎が初めて芥川賞にノミネートされた作品。
特殊な構成になっていて、「冒頭」「智依子」「柿緒I」「佐々木妙子」「柿緒II」「ニオモ」「柿緒III」と物語が交錯して章が進む。明言はされていないが、「冒頭」と「柿緒」が現実、「智依子」「佐々木妙子」「ニオモ」は小説家である現実パートの主人公治が書いた小説と読まれるのが一般的だ。
全体としては、恋人「柿緒」を失くした主人公治の再生の物語。再生といってもまだ再生半ばだが、それでも少し進んだ感じで物語は終わる。
当時はやっていた「世界の中心で愛を叫ぶ」へのアンチテーゼであると言われた(一部で)。
物語の軸である「冒頭」「柿緒」パート(以下「柿緒パート」と言う)は、このような印象的な文章で始まる。
愛は祈りだ。僕は祈る。
この出だしで石原慎太郎はこの小説をぶん投げたらしいが、アホだ。
この小説のトピックセンテンスはこの「愛は祈りだ。僕は祈る。」である。このことの意味を、さまざまな形で読者に問い、一つの答えを与えてくれる小説なのだ。
内容としては、柿緒を失った治が、柿緒の弟たちとのやりとりや、柿緒から残されたメッセージや、過去の記憶、自分の現在を通じて、そして明言はされていないが「智依子」「佐々木妙子」「ニオモ」という小説を書くことを通じて、少しずつ失った時間を取り戻して行くと言う物語であり、喪失と再生を描く小説としては王道の王道と言えるだろう。
何がいいか。まず文章が抜群に上手い。それから、人の死が美化されていない。死は死、それだけ。でその文字通りの「死」の意味であるとか、残されたものとして生きるためのよすがであるとか、そういうものが淡々と描かれていると言える。淡々とといっても激昂したり落ち込んだりもするのだが、そうした一人称性の強さも舞城王太郎の強みと言っていいものだろう。とにかく言葉の持つ力の強さを、一文一文から感じ取ってほしい。これが喪失と再生の恋愛小説のトップオブトップです。ぜひご一読ください。
風の歌を聴け / 村上春樹
村上春樹については説明いらないですね。
この作品は村上春樹のデビュー作であり、1980年代1990年代2000年代くらいまでに中高大学生だった読書好きなら必読だった本ではなかろうか(大袈裟)。とにかく、都会的でさっぱりとしていてあとくされのない文章で綴られて行く。
この作品は当たり前のように芥川賞にノミネート、受賞、とはいかず、当時の文壇では相当嫌われたらしい。とにかくそれまでの純文学とはかけはなれた、言うなれば「ちゃらい」小説であると。
しかしこの前石田衣良のyoutubeで知ったのだが、当時のアメリカ文学好きなら「ああヴォネガットの系譜ね」と元ネタがわかっており、そうではあってもそれを日本に初めて持ち込んだのが村上春樹ということで「日本語でこれやるんだ、かっこいいじゃん」みたいに思っていたということだった。文体や構成自体は村上春樹の発明ではないということだが、どれだけ型を真似しても駄作は駄作になるので、ここまで傑作に仕上げたのは村上春樹の大きな力量と言えるだろう。
物語は、東京で一人暮らしをして大学に通っている主人公「僕」が、夏休みの帰省で実家に帰っているという設定で始まる。「僕」は、とある事故をきっかけに仲良くなった「鼠」とその夏を「ジェイズバー」という行きつけのバーで、ビールを飲んで飲んで飲みまくって過ごす。
ジェイズバーで知り合った女の子と親しくなり、いろいろあったり、鼠ともいろいろあったり、読者としては腑に落ちない展開もあったりするのだが、それもすべてトピックセンテンスによって回収される。これがいいたくて、こういうふうに物語を綴って来たのか、と気づく文章がきっと読んでいると見つかると思うのだが、そうなのだ。
ミステリみたいに「伏線回収」というわけではないんだけど、物語の全てを回収する一文がある(分かりやすくある)ので、そこまで読んでみてほしい。
ちなみにわたしはこんな記事を書いている。
もしこの作品を一読して意味がわからなかったらこの記事も読んでみてほしい。
恋に至る病 / 斜線堂有紀
多作で有名な斜線堂有紀が放った小説。元々は電撃小説大賞の「メディアワークス文庫賞」を受賞してデビューした斜線堂有紀は、ミステリを中心に展開して来た。
本作はミステリではなくこれは何、なんなの、恋愛小説だろう、それは。大恋愛である。ということで、本作は斜線堂有紀の恋愛小説の金字塔であるとわたしは言い張りたい。冒頭にもこう書かれている。
これは僕がいかにして化物を愛するようになったかの物語だ。
そしてこんなセリフも書かれている。
そうです。景は百五十人以上の人間を殺しました。それも、自分では手を下さずに。彼女は疫病のように人を殺し、罪悪感なんて欠片も覚えなかった、化物です。僕はそんな彼女を殺しました。
そうこの物語は、直接手を下さずして人を殺した”化物”、寄河景の恋人、宮峰望を主人公にして描かれる。物語は出会いから始まり、宮峰望が景を見てきて、様々なことを通じて好きになり付き合うようになり、その力と純粋な邪悪さに慄きながら手助けをし、そして殺す。
殺し方は実際にロシアで起こった事件を下敷きにしており、実際に手を下すことのない殺人だ。それを景は一人で実行して行く。
のだが、その前に景と望の小学校編がある。景がどのようにして人々の心を掴み、操り、自分の望む世界を作ってきたのか、それの限界を感じた時にどう考えたのか。とにかく思考がサイコパスなので、読んでいて空恐ろしくなる。
すべてを知った望が最後に希望としたものはなんだったのか、それゆえに、なぜ景を殺したのか。景は実際に望を好きだったのか。
みなさんの目で判断してください!
と言いつつ、このツイートを貼り付けておきます。
斜線堂有紀はファムファタルだったりオムファタルなキャラクターが好きだと思われているけれど、どちらかというとそれで人生がめちゃくちゃになってしまってる方が好きで結果的にファタルキャラを生み出してしまいがちなだけで、子規冴昼じゃなくて呉塚要が趣味です
— 斜線堂有紀 (@syasendou) 2024年9月23日
(*子規冴昼と呉塚要は別作品の登場人物です)
恋文の技術 / 森見登美彦
森見登美彦は、大学院在学中に執筆した「太陽の塔」で日本ファンタジーノベル大賞を受賞してデビュー。図書館で勤務しながら執筆を続けていたが、途中から専業に。おもに京都を舞台とし、大学生や大学院生を主人公とした作品が多く、その文章のうまさと魅力的なキャラクター造形などから人気を博している。
本作はそんな京都で活動する京都を描きまくる森見登美彦の一大恋愛エンタテインメント。いやそれは言い過ぎで、かわいい恋愛小説。
この作品は書簡形式を取っており、相手からの返事は小説に書かれずに主人公から送った手紙だけが延々と連なり、それを読者が脳内で保管して物語を作り上げて行という作品。
主人公は京都の大学院生守田一郎だが、研究室の先生の指示で石川県七尾市の研究所で研究を行っている。この主人公守田が、妹、先輩、同輩、家庭教師の教え子に宛てた手紙が十一話に及んで描かれて……ということなのだが、これめちゃくちゃ面白い。
辺鄙なところに一人置かれて友に手紙を送り、送った手紙だけが描かれるというのは太宰治の「パンドラの筺」を思い出す構成だ。実際に、主人公の照れが生み出すズレなどは踏襲しているように思う。
この作品、森見作品の中では最も好きなのだが、手紙(しかも片方から送ってるだけの)だけでこれだけ多くのことを語り、意中の人本人との手紙の交換は最後の最後まで無いのに、なのにこんなかわいい恋愛小説が仕上げられるのか、と感心する。
片側からの手紙なので、読者は出来事を相手からの手紙を脳内保管する必要がある。何が書いてあったのか、どんな出来事について書いてあったのか、何を守田に伝えようとしていたのか、などなどを読者が推量しながら読むのだ。これが楽しい。
「ああ、あそこの場面ここの!」「ここにもっていくためにこんなこと書いていたんだ」「まじか」みたいなことがラストに向けてドドっと起こり、ミステリでいうところの伏線回収、いや文芸でも伏線回収というのかわからんけど、一つの出来事、事実に帰結して行くさまが見事なのだ。
これを読んだら手紙を書きたくなること請け合いです!ぜひ読んでみて。
横浜駅SF / 柞刈湯葉
柞刈湯葉は、本作「横浜駅SF」がカクヨムの第1回カクヨムweb小説コンテストSF部門で大賞を受賞し、デビューした作家。元々は大学の任期付き職員だったが、任期が切れたことをきっかけに専業作家となり、結構せっせと小説を書いている印象。
本作は、ある時点を境に自己増殖し始めた横浜駅が本州全土を覆い尽くした、という世界観の中始まる。このように本州を覆い尽くした横浜駅だが、駅の中(エキナカ)に住んでいる人間の他に、駅の改札の外で小規模なコロニーを作って生きている人間もいる。ヒロトもそのような人間の一人だ。駅の中には「Suika」が無いと入場できない。なので駅の外で生まれたものは、一生横浜駅の中、エキナカを知ることは通常できない。
しかしあるときヒロトは、横浜駅から追い出された「キセル同盟」の人間から、「おれたちのリーダーを助けてほしい」と言われ、エキナカに入ることのできる「18きっぷ」を受け取る。有効期限は、利用開始から五日間。
ヒロトがこの18きっぷを利用して横浜駅に乗り込んでいくところから物語は展開して行く。
とにかく面白い。こんな着想でこんな壮大な物語が書けるのかという驚きがまずある。実際にJRを利用していると身近な単語「Suika(現実ではSuica)」、「エキナカ」「自動改札」などがうまく活用され、SFになっている。あと横浜駅の改修につぐ改修を見ていた身として、いやほんとに自己増殖があり得る(あり得んやろ)未来で面白い。
明らかになっていく「キセル同盟」、教授が言っていた「42番出口」の意味、わくわくする舞台設定。文章も読みやすく、最高だった。
はたしてヒロトの決断は正しかったのか。ただの成り行きで選ばされた未来は……それは数年、数十年が過ぎてみないと分からない。この世界はどうなっていってしまうのか。人間の手に取り戻せたのか。ぜひご一読ください。
カラスの親指 by rule of CROW's thumb / 道尾秀介
初めて読んだ道尾秀介作品。道尾秀介はサラリーマンをやりながら「背の眼」でホラーサスペンス大賞特別賞を受賞し小説家としてデビューした。その後このミステリーがすごいにノミネートされたのをきっかけに、文学賞にノミネートされるようになる。
本作は、直木賞、吉川英治文学新人賞にノミネートされ日本推理作家協会賞を受賞した作品。
物語は、タケさんとテツさんの詐欺師コンビが、ひょんなことから少女一人と同居生活を送るようになるところから始まる。さらにひょんなことからさらに2人と合計5人で共同生活を送るようになる。そしてあることがきっかけで、5人が恨みを持つ相手が同一人物であることがわかり……
というストーリー。ミステリだが、ミステリ初心者でもまったく問題なく読めた。ミステリ要素に加え、人間の弱さ、強さ、感情のぶれ、ひたむきさ、いろんなことが詰め込まれており、ラストは本当に秀逸だった。一人一人の感情が深く掘り下げられているわけではないのにその痛みが苦しくなるほどわかる。そしてラストですべての伏線が回収され、すべてが、ああ、そうだったんだ、とかなしくもあるし救いでもあるし、という感じ。
過去は消せないけど、これからを生きていこうと思える。前向きになれる作品です、ぜひご一読ください。
パラークシの記憶 / マイクル・コーニィ
マイクル・コーニィはイングランドのSF作家らしい。元々専門職として勤めていたが、人の勧めでSF短編を書きデビュー。
日本では四作しか発刊されていないが、「ハローサマー、グッドバイ」が2008年に再訳されたのをきっかけに、2013年にはその続編である本作「パラークシの記憶」が日本で発刊された。
SF的な設定の奇抜さというよりは、人間の感情に重きを置いた抒情的な作品が多いらしく、また完成度の高さにも定評があるらしい。らしいなのはwikipediaで見ているから……。
さて本作は、前作「ハローサマー、グッドバイ」より何世代ものちの世界が舞台となっている。文明というものはあまりなく、狩猟農耕生活を送っている。集落はいくつかあり、舞台となっているのはヤムの村。村の男長の兄ブルーノを父に持つハーディが主人公となり、身近に起こった殺人と迫り来る大寒波のなぞと解決に奔走する。
ミステリとしても十分に読める作品だし、ハーディの心の成長や、村人たちや他の集落の者たちの描かれ方で人の社会ってそうだよなとかこういうところがうまくいかないんだよなとかそういうことが丁寧に描かれている。ハッピーエンディングではあるが今後への課題も、アイデンティティの問題も残されているラストである。が、読後感は非常に爽やかで、「ああ、よかった」と胸がちゃんと撫で下ろせるものとなっている。
話が本筋からズレるけど、地球人がこの星の人たちに文明を与えなかった(不干渉を前提としている。モーター車などの一部技術は提供している)のって、結局正解なんだよなと思う。技術の進歩は順を追って自分たちで獲得していかないと、持続可能じゃないんだよな。それに、多分この民族に必要なのは技術じゃないんだろうな、と最後まで読んでみて思ったりもするけど。
とにかく、話が面白い。最初世界観に入るまでが少し大変だけれど、設定が頭に入れば、本当に面白い小説なので、冒頭だけちょっと耐えて、ぜひご一読ください!
オーデュボンの祈り / 伊坂幸太郎
大学卒業後SEとして働きながら小説を書き、本作「オーデュボンの祈り」で新潮ミステリー倶楽部賞を受賞してデビュー。受賞歴としては、吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞短編部門、本屋大賞、山本周五郎賞、柴田錬三郎賞ほか。おそるべき作家である。
これだけの人なのでもちろん超有名で読書をしない人でも名前くらいは知っているだろう作家。そもそも、この記事を読んでいる人は何かしら伊坂幸太郎作品を読んでいる人が多いのではないだろうか。
本作は、コンビニ強盗に失敗した伊藤が、ある見知らぬ島で目を覚ますところから始まる。仙台から行った先にあるその島は、150年間外部との交流を持っていないという。そこで人間たちが心の拠り所にしているのが「優午」というカカシだった……というところから物語は展開していく。
島には、嘘しか言わない画家、島の法律として殺人を許された男、そして人語を解し未来を予兆するカカシ「優午」さまざまな登場人物がでてきて、その世界観に読者は少しずつ没入していく。
この島にはこんな言い伝えがあった。
ここには大事なものが、はじめから、消えている。だから誰もがからっぽだ。島の外から来た奴が、欠けているものを置いていく
村で起こる殺人、そして欠けているものとは?物語が進むにつれ、村の人たちの特性を掴んで伊藤が真実を明らかにしていく。ラストへ向けての怒涛の伏線回収はこの頃から伊坂幸太郎の得意技。
最高のラスト!ぜひご一読ください!
窓際のトットちゃん / 黒柳徹子
黒柳徹子は、バイオリニストの父と専業主婦の母に育てられ、幼少期を北千束で過ごした。テレビの放送開始初日からテレビに出演し続けており、現在でも冠番組を持っているすさまじい人。
本作はそんな黒柳徹子の自伝的小説。物語は、トットちゃんが入ったばかりの小学校を退学になり、新しい学校の面接へ行くところから始まる。トットちゃんは少し個性が強く、「気になったことをすぐにやらずには気が済まない」「気になったことはすぐに訊かずには気が済まない」「落ち着きがない」「人の指示を聞かない」などの特徴があって、元の学校を退学になったのはそうした個性のせいだった。
新しく通うことになったトモエ学園は、一学年に数人の生徒、校舎は払い下げになった鉄道の車両、授業は自習形式でその日のスケジュールが終わるのなら好きな教科から始めて良い、など特徴的な学風の小学校だった。
ここではトットちゃんの個性は問題にならず、というか個性として受け止められ、トットちゃんはのびのびと生活を送ることができるようになる。
短い章、61章からなり、トットちゃんの学校生活が主たる題材。
思い出話をする(唐突)。わたしはこの小説に出てくる「トモエ学園」がものすごい好きで、自分が学校で友達にうまく馴染めてると思えなかったのもあり、とにかくトモエ学園に入りたい入りたいと思って小学校高学年を過ごしていた(トモエ学園は戦争で校舎を消失して廃校になっている)。トモエと似たように個性を大切にしてくれる中学に入り、その願いは半分はかなったが、やはり違う。学校に馴染めないわけではないのだが、友達もたくさんいるのだが、どうにも無理がつらいっていう感じで、トモエに対する憧れは尽きなかった。
今でもトモエ学園で過ごしたかったと心から思う。こんなふうに全員があるがままで受け入れ合える場って他にない。これは先生たちの、本当に尽力の賜物だと思う。それとめちゃくちゃ少人数教育だからできることで。多分無理なんだろうね。いやっていうか、人に合わせる訓練もしないと実社会では生きていけないしね、徹子は芸能界で生きていけたが。
という思い出語りになってしまったが、それほどまでに入れ込んでしまう学校が舞台の小説、ぜひご一読ください!大人になってから読んだらまた違う感想を抱くかと思ったら、「入りたい」という感想で同じでした。
正義と微笑 / 太宰治
太宰治に説明要らないと思うので省く。
本作は、16歳の進が、将来の選択を前に悩みながら大人になっていく過程を描いた、日記形式のバキバキの青春小説。太宰治の幼少期の友人の日記をもとに書かれた作品と言われている。
日記を書き始めたきっかけとして、十六歳になったことで自分が変わってしまったと感じたことで、自分の一日一日がとても重大なもののような気がしてきたという理由を奨は挙げる。
そんな中帝大生の兄が聞かせてくれたマタイ六章の一節みこんなモットーを立てる。
微笑もて正義を為せ!
中学生活、受験、大学生活、将来の選択。大学へ進学した進は、周りに溶け込むこともできず、自分の理想的な将来を夢見る。ときには兄やその先生たちに助言を求め、その都度図に乗ったり落ち込んだりしながら、少しずつ成長していく。太宰らしからぬ、明るく希望に満ちた作品であるので「太宰」と思って読むと驚く人もいるだろう。
日記形式なので、誰に憚ることもなく不遜で傲慢で、しかし気弱になったり内省的になったりと、感情の描写の変化が面白い。説明文えでゃないため、周りの人たちが活き活きと描かれているのも良い。日記形式で進の成長過程がありありとみて取れるため、大人が読むと、微笑ましいほっこりとした気持ちにもなれる。
とにかく爽やかな読後感で、なんとなく過去の自分が少し癒される気さえするのだ。ぜひご一読ください!
おしまいに
だらだらと居酒屋で管を巻く形式で管を巻いてた。どうだろうか、わたしと居酒屋で小説談義したくなったのではないだろうか?ではないよな……↓
さて、ここに挙げたのは、各作家の「最も優れてる」小説では、必ずしもないだろう。あくまでわたしが好きな作品を挙げた。また、各作家一作を原則とした。なので読んでいる人からしたら「森見登美彦なら熱帯一択だろ」とか「横浜駅SF入れるなら人間の話入れろよ」とかあると思うが、それは個人の好みの問題であると、ご勘弁いただきたい。
また小説をどんどん読んで、このリストは更新されるだろう。気分にもよるし。あくまで2024年10月10日の気分で選んだ十作なのだ。
そういうわけで、またいろんな記事を読んでみてねー。
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などなど。
↓Xやってます↓
コーヒーのつもりでお湯飲んで「何これ薄すぎへん」とか思ってた…
— mah_ (@mah__ghost) 2024年10月9日
↓Blueskyが好きです↓
コロナ後遺症らしい
— mah_ (@nagainagaiinu.bsky.social) 2024-10-08T04:01:57.848Z