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Illusion Is Mine 2025.6~7

カナリヤです。日常報告シリーズ音楽編。前回はこちら。

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今回はライブレポに似た何かの2本立て+αでお送りします。7月は出不精な僕にしては珍しく2週続けてライブに行ってしまったものだから完全にサイクルが乱された感がありましたね。時間の確保が大変で珍しく「料理面倒くさいな…」って感じてしまいました。余裕って大事だ(格言)。

 

今ここにいるART-SCHOOL

1985 / ART-SCHOOL


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2013年発表の「The Alchemist」から12年、11枚目のミニアルバム。2003年発表のシングル「SWAN SONG」を今の自分たちが作ったとしたら、というコンセプトの元制作されたという今作はこれぞART-SCHOOLに相応しいキャッチーな鬱屈さという矛盾を遺憾無く発揮している。M-1「Trust Me」の初っ端から木下理樹復帰後5人体制となったART-SCHOOLの十八番とも言えるホワイトノイズからの疾走ギター、そこに"生きる才能が欠落している"という笑ってしまうくらい木下理樹している歌詞が乗る。真っ直ぐに歪みを訴える彼を言われずとも僕らはいつだって信じている。


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コンセプトとなったシングル「SWAN SONG」は少年性に彩られた若かりし頃の木下理樹のファルセットと鳴り止まないリバーブギターにどこか虚無めいたものを感じずにはいられない、初期アートの傑作だ。その透明な距離感に満たされている様があまりに美しく儚い。今作も同様にリバーブギターの淡い旋律がフォーカスされるものの初期アートにおける痛々しさだけに主眼が置かれるのではなく、それを前提とした上で優しく包み込むようなキャッチーさ。痛みや虚しさだけを言い放つだけではなくそこに明確な救いのニュアンスを加えるのが新生ART-SCHOOLであるが、それはART-SCHOOLというバンドが非常に良い状態にあることを指している。


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今月初めに行われた本作の名を冠し結成25周年を掲げたツアー初日はソールドアウト。トディ曰く2023年に発表されたフルアルバム「luminous」に続いての今作は周囲からの評判が非常によくそれが動員数増加に反映されているんだとか。6年前に同じ会場で行われた「In Colors」ツアー。僕にとって初めてのART-SCHOOLのワンマンライブは6割程度の客入りだった。そして活動再開後翌年のトディ加入20周年を祝う「Today Forever」は8割ほど。そして今回。徐々に、だが確実に彼らの音楽がオーディエンスに届いていることを実感する。

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上記の記事でも書いたが、再開後5人体制になったART-SCHOOLは本当に良い。ボーカルの安定感が増した木下理樹、サポートのギターが加わり凄まじい音圧を響かせるようになった彼らは以前とは比べものにならない、とんでもないバンドになった。

この日のダブルアンコール「SWAN SONG」を聴き終え満足して会場を後にしようとするその間際、隣にいた観客が思わず同行者に語ったのだろう「すごかったな」という一言が心地好く響く。興奮覚め止まぬといった雰囲気でつい口にしたであろうその一言はまさしく僕の思いそのものだった。そうだよ、彼らはすごいんだよ。

聴く度に、観る度に凄みを増していく彼らをきっと僕はこれからも追い続けていくことだろう。もしもこれを読んでいる奇特な人の中で、どこかの地点のART-SCHOOLのイメージで止まっている人は一度でいい、今の彼らのライブを観てほしい。2年前の僕のように彼らの見方が変わるはずだから。

 

 

夢にまで見た生downyは遊び足りない

HALLO INDIE 2025

彼らを生で味わうことは積年の夢だったと断言していい。本格的に知ったのは「第七作品集『無題』」発表からだったので5年前の2020年。彼らから滲み出る特異性、媚びず、へつらわず、実験性に満ち満ちたその音楽に一発で虜にされたのを覚えている。

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その年の11月に行われた生配信ライブ「雨曝しの月」。コロナ禍というイレギュラー、配信ライブという初の試み。このライブは確かに凄まじかった。音源に違わぬ、いやそれを軽々と超えてくる楽曲たちの完成度。各パートをそれぞれカメラで抜くことによって間近で観られる彼らの超絶技巧。「曦ヲ見ヨ!」の秋山さん単独のドラミングのえげつなさには思わず魅入ってしまった。


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だが画面を通してのライブはやはり味気ない。それが素晴らしいものだったのであれば尚更。生特有の空気感、徐々に熱気を帯びていく会場の雰囲気や張り詰めたような緊張感は一体どれほどのものだったのか。それだけが共有できないもどかしさ。その場で感じ取りたいと思ってしまうのは当然の帰結だった。

先にツイートで語ったように、期せずして最前列で観ることになった生downy。ワクワクが止まらず今か今かとライブが始まるのを待っていたものの、開始時間を過ぎても一向に始まらず延々と本人たちによるサウンドチェックが続いていた。そんなことだろうと思ってたけどあまりにもdownyらしすぎる。なんだこの安心感は。downyTシャツを着たスタッフがいつまでも壇上で機材のチェックや本人たちにあーでもないこーでもないと打ち合わせ。時折大好きな「凍る花」のイントロが流れたりするもののチェックで流れるということは今回のセトリ外なのかなと悟り残念に思ったり。

そして突然何の脈絡もなしに「左の種」が演奏され、青木ロビン氏もがっつり歌い切る。プロジェクタに映されたVJ映像にはMVがフルで用いられ生演奏で同期されている。youtubeでさんざん観たやつだ!始まった始まった!と興奮するもいまだスタッフさんがウロウロしててこれもどうやらチェックだった様子…モヤモヤするぜ!


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そこからもしばらくチェックが続いた後ようやく納得したのか青木ロビン氏の「じゃ始めまーす」というのんきな一言から殺伐としたえげつない演奏が始まる。この聴衆を置いていく感じ、嫌いじゃない。downyはこうでなくっちゃ!(洗脳)

ここであえて取り上げるのは第八作品集『無題』からM-1日蝕」。2曲目で披露されたこの曲は各パートのリズムの取り方が異なるという説明してもよく分からない、聴いててもなんで成立できてるのかよく分からないけどひたすらカッコイイ曲。


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初めて聴いたときからこの人たちはとんでもないところまで行くんだなと思ったものだがいざリアルで聴いても何が何やら。頭カラッポにしてのカッケー!という子供みたいな無邪気な興奮と秋山さんと仲俣さんのリズム隊がんばれ!という気持ちが同居している。新曲があがってくる度「いやだな」って気持ちになると吐露してた秋山さんがんばれ!

この日は新譜から「日蝕」をはじめ「枯渇」「foundyou」「Night Crawlin'」の4曲を含んだ計7曲が披露されたが…全然足りない。ようやく待ち望んだ生downyは長時間服用しないと効能が永続しないらしい。生downy最高だな!という気持ちよりも「これでもう終わりなの…?」という寂しさが心のなかで大きくなっていく。フェスの類に行き慣れてない人間特有の心の落ちつかなさ。少なくとも今日この日において僕は音楽を楽しみたいのではなく、downyを楽しみたかったのだと気づいた。中途半端に(というのも失礼だけれども)味わってしまったものだから、尚更ワンマンで彼らだけの音圧を長時間存分に浴びてみたいという思いばかりが募っていく。

…というか木下理樹の生誕祭に行く余裕があるんだったらdownyワンマンに行くなんてわけないよな。機会を見つけて行くしかないかー。

 

AJICO

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UAと元BLANKEY JET CITY浅井健一を中心とした男女4人で構成される日本のロックバンド。2000年に結成し翌年一端活動終了したようだが、2021年から再始動している模様。

この暗く深く沈み込むサウンド、妖艶なUAのボーカルは何だ。僕の好みドストライクすぎる。こんな音楽が存在することを今まで知らなかったのか。職場の同僚の人妻から教えてもらったんだけどマジでありがとう。僕は良かったけど人にいきなりこのバンドを勧めるのはどうかと思う。あれか、僕がついうっかりART-SCHOOL好きって言ったからか。木下理樹のせいか。

ゆったりと心地よく、後戻りできない場所まで引きずりこまれる感覚。この「ゆったりと」というのが何よりも求めていた感覚だ。聴けてしまう。彼らのペースにまかせて。聴けてしまうがゆえに戻ってこれない。世の中のどんどん早くなるスピードではなく、自らのペースに合わせてくれるかのように錯覚させてくるこの厄介極まりない音楽をこそ僕はきっと求めていた。虜にされたい。せめてそれを聴いている間は。

 

 

 

最近新しい音楽への忌避感がますます高まっているような気がします。日頃仲良くしていただいている某氏もつい先日同様の(というと厳密には異なるとは思いますが)感覚を覚えている内容の記事を出していましたが、年齢を重ねたが故の避けられない変化なのでしょうか。

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新しい音楽にまったく触れていないわけでもないにもかかわらず、刺さる音楽になかなか出会えない、けれど今回のようないまだガツンとした衝撃を浴びせられるというのは、それが機知故なのか、それともまだまだ音楽への興味関心が燻っているということの証左なのか。自問自答を繰り返しながら、それでも僕は自身にとって心地好い音楽を捜し求めていきたいんですよ。




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