死ぬほど高く跳べる脚力を活かしてカレンダーの日付を集めていくパズル・プラットフォーマー。
無印
評価:9 /10
プレイ時間:2.5時間
March(DLC)
評価:10 /10
プレイ時間:4時間
唐突に始まるゲーム。ビジュアルで示された通りにXボタンを押すとキャラがジャンプし、そのまま落下死した。は…? どうやら自機は高いジャンプ力を持つが、それで届く高さから落下すると死んでしまうらしい(なんて非対称な)。このよく分からない体質?とつき合いながらなんとなくマップを探索していく。
『Leap Year』はオランダの独立系スタジオ・Sokpop Collectiveがお気に入りの開発者にゲームを制作してもらうという企画「Sokpop Takeover」の第3弾として作られた。
Sokpop Collectiveは対等な4人の開発者によるグループで、「毎月1本新作ゲームが発表されるサブスクリプション」という斬新かつ超人的な取り組みで知られる。4名はそれぞれが独立したデベロッパーという認識で、一人ひとりが4ヶ月かけてゲームを制作し、それを順番に発表していくことで「毎月1本」という驚異的なペースを成立させていたらしい。
本作を開発した(=Sokpopお気に入りの開発者である)Daniel Linssenは個人のインディーゲーム開発者で、itch.ioで多くの作品を発表している。……まるで既知のように書いているが、筆者にとってはどちらも今回初めて知ったデベロッパーである。調べるとおもしろそうなゲームが大量に出てくるので戦々恐々としている。
ここからLeap Yearの内容について触れていくが、ゲーム全体がコンパクトで、かつ上質なアハが大量に詰まっているので、未プレイの方はぜひここで読むのを止めて、自分でゲームをプレイしてきてください。そしてできたらDLCも続けてプレイしてください。
言ってしまえば2Dマリオなプラットフォーマーなのだけど、ひとつ制約を設けるだけでこんなにもおもしろくなるのかと驚いた。ゲーム最初の2画面だけで驚かされた。
「落下した距離で着地時の挙動が変化する」。このシンプルなルールでこれだけの奥深さを生み出していることがすごい。プレイヤーをごく自然にルールに気づかせて、徐々に世界を広げていくレベルデザインも完璧。
ルールが明らかになるにつれて違った意味が浮かび上がってくるマップ・地形。そして終盤の、文字通り「どんでん返し」な重力反転はマップの楽しみを、ゲームのおもしろさを倍加する。見慣れたマップを新鮮な気持ちで再訪し、明確にクライマックスと想定されたハードなアスレチックを乗り越えて目指すのはスタート地点。濃密で綺麗な循環構造。
パズル要素のあるプラットフォーマーとしてはお手本のような内容。味わいの濃さのわりに印象はミニマルで、全体のまとまりには美しさすら感じる。
ほとんど完璧と言っていい作品だけど、唯一ストーリーだけは個人的に惜しいと思った。プレイしながら主にビジュアルから世界観や物語を想像していたのだけど、結局本作に明確なストーリーはないようだった(ドラゴンと人を描いた壁画があったが、それは作中で描かれる時代には直接は関係してこない)。そのわりにマップには自然や人工物を思わせる意匠があって、意味ありげなフレーバーだけが醸されている。ビジュアルとそれが想起させるイメージだけが、他の要素と結びつくことなく浮いてしまっている。ビジュアルにさりげなくゲームプレイのヒントが忍ばせてあるのは上手いと思うが、もう少し物語も絡ませられていたらよかったと思う。
もう一つ、勝手に肩透かしを感じたところがあって、それが時間を使ったギミックがないことだった。これは自分が勝手に期待したのが悪いのだが……しかし「Leap Year」なんてタイトルで、「カレンダー」「日付」なんて要素を出しておきながら時間跳躍しないなんて……逆に珍しくないか。中盤までは(これいつ時間を使ったギミックが出てくるんだろうな…)と思いながらプレイしていました。
(一応、Leap Yearで「うるう年」という意味だそうです。自分はこのゲームではじめて知りました。24年がうるう年だから2月が29日まであったという。なるほどね、それならたしかに時間跳躍関係ないですね…。)
ゲーム部分だけ見たら100点満点……なのに微妙な噛み合わなさがあって95点……みたいな内心評価となっていたLeap Yearですが、なんとDLCとしてここらへんを全部昇華させた完全版を出してきました。
重力反転がデフォルトのテクニックとして組み込まれた結果パズル面は歯ごたえマシマシに。なにより時間跳躍のギミックが追加され、さらにSF的なストーリーをも巻き込んで、一本のゲームとしてはっきりと飛躍した。
この飛躍っぷりはあれですね、個人的にブレワイ⇒ティアキンの流れを思い出します。やっぱストーリーとゲームプレイが噛み合うと強度が違いますね。ストーリー自体はかなり薄味ではあるんですけど、「ジャンプ」という操作、「落下距離」というルールに完璧に噛み合っているのでインパクトがあります。いや、すばらしい。(自分は「落下距離を稼ぐほど大きな影響を与える能力」みたいに解釈しました。)
個人的にはDLCでゲームとして完成した印象があります。そしてやっぱり、とてもシンプルなルールでここまでの奥深さを生み出していることがすごいと思います。超単純なんだよ。このルール一本ですべてが制御されている。美しいと思う。
Leap Yearはお手本、Leap Year: Marchは理想という感じですね。パズルファンはもちろん、いやもう全人類におすすめです。
おまけ:印象に残った場面

死にざまがシュールでいい。ギャグ漫画のツッコミ役の挙動。ズコーッ。

初見時は少しだけへこんでる床にギミックがあるのかと思っていた。

ここは少し沼りました。いい問題だと思います。縦2マスのスペースは安全地帯という認識。

一歩進んで二歩下がる、みたいな。これも頻出テクニックですね。

ここは個人的にかなり沼りました。逆さまになると途端にいつもの発想が出てこなくなる…。

ここからあんなに飛躍するとは思ってなかったよ。

ここ難しかった~。15番。なにも分からなかったので、まだやっていないことをやり続けた。たしかに、よく観察すると1マス分の範囲だけ潜れるポイントが…。

10番。逆さまになって左から歩いてくるのでは?という発想に囚われて終盤まで残ってしまっていた。今考えるとアホだなと思う。

ここは実はやり方だけは早々に見当がついていた。難しそうだから最後まで残った。というかこの段階でもまだ10番取ってなくて草。思い込みの力よ…。
下に抜けたところにちゃんとセーブポイントあって、そうだよねと思った。そして流れるメインテーマのアレンジver.。ちゃんと演出が効いている。