サブスクの登場で一気にリーチしやすくなったアーティストの一人ではなかろうか。
日本の昔の作品を中心にリリースしているLAのTemporal Driftが3月に吉村弘のレア作『Flora』をリイシューしてて、そのニュースをきっかけに吉村弘を聴き始めた。
アンビエントとかサウンドデザインって概念の時点でちょっとした難しさ、堅苦しさのようなものがあると思うんだけど、吉村弘の音楽はなんというかすごく親しみやすい印象がある。シンプルで簡単で、なんならかわいい印象すらある。それでいて公共的な感じもある。まあまだそんなに聴けてないんだけれども。
なんというんだろう……オタク向けじゃない。音楽好きのためじゃない、本当に一般層に向けて開かれているアンビエント作品。そんな感じがする。全体に明瞭で、難しさや分からなさがなく、だから「すごい!」という畏怖も生じないという。特別さを感じないのは作品が真に環境に馴染んでいるからで……もし音楽にユニバーサルデザインがあったらこんな感じになるのかも、とか。
マジで、各所での高評価だけを見聞きして彼の作品に触れると、作品の「すごくなさ」に、オーラのなさにまず驚くんですよ。作家性のなさが作家性みたいな。アンビエント的なコンセプトを基にすると、こういう「すごくないことがすごい」みたいなアンビバレンツなことが起きるんですね。(ここまでは吉村弘作品全体に対する感想)
『Surround』は彼の作品の中でも音楽ファンが思うようなアンビエントに近い作品だと思う。具体的に言えば他の作品よりもドローンの印象が強く、それゆえにより音に包まれる感覚がする(そういう意味合いもあっての作品名なのだと思う)。
個人的に吉村弘の音楽の方向性に近しいものを感じている作品群があって、それが任天堂の各プラットフォームで流れる音楽だ。各プラットフォームというか、それぞれのハードで公共的なソフト?サービスも出していて、それらのBGM全般。
自分はゲームプレイヤーとして任天堂はあまり通っておらず、64とWiiはノータッチだし、スイッチもティアキンに合わせて初めて購入したような人間だ。だから任天堂の音楽もそんなに通ってないのだが、ここ数年見ているミーム動画のアウトロでけっこうここら辺の音楽が使われていて、どれもいいなと思っている。
任天堂が吉村弘から影響を受けているのか、ただ公共的なものを目指したのかわからないけど、音楽的に通じるものがあると思う。任天堂は作品を丁寧に管理していて、任天堂のプラットフォームから離れて音楽だけを自由に聴くことは難しいのだが(Nintendo MusicもPCから直接は再生できないっぽいし。これができるならスイッチオンライン入るけど)、もしここらの音楽がまとめて一般流通したら音楽界隈はかなり盛り上がるだろうと思う。一生なさそうだけど。こういうジャンル特化のリストとか作ったら任天堂の音楽って入ってくると思うんだよね。
そういえばどうぶつの森(Animal Crossing)も任天堂か。自分はマジで一切通ってない(A Short Hikeをプレイしたときもぶつ森の名前が浮かばなかった)んだけど、子供の時にがっつりプレイしてたら音楽の好みにかなり影響しそうだよね。