王国、機械の国、魔法の国、動物の国、小篇、外伝、特別篇のイベストの感想をまとめています。
諸注意:
・大まかに自分が読んだ順に書かれています。
・イベスト名の横の数字は個人的な点数評価です(10点満点)。ですが人によってぜんぜん評価は変わると思うのでそこまで気にしないでください。
・ネタバレあります。基本的には既読者向けにラフに書かれています。
・イベストによってかなり感想の量が異なります。自分が感動したりなにかに引っかかったりしたものは感想が長めです。
王国
王国1st 6
キツい話をコミカルなタッチで描くメルスト特有の読み味はあるし、話の捻りもあるし、キャラの年齢を踏まえれば話の展開にもぜんぜん納得できるし質的にはそんな問題ないのだけど。思ったよりずっとボリュームが短かった。20分で読み終わった。
他のイベストとボリュームの差がありすぎて、相対的にこの点数に。
王国2nd 7
ずっとアンジャッシュしてた。でも王国らしいというかメイン1部らしいというか、理想と現実をすり合わせる真面目な話もしていた(ユニスト含めたシェスディまわりやユーリアンまわりなど)。
テーマがあるとしたらすれ違いと瑕? シリアスとコミカルのバランスが取れた良回。
王国3rd 9
モンスターがいっぱい登場するのが王国っぽくていい。複数の血が混じった、半端者というかどちらの陣営にも属せないみたいなキャラが多く登場するのも王国っぽいかも。
6話がいろんなエモが詰め込まれていてよかった。地を知る者たちの始まりの話、()を使って言外の意味、内心をも表した部分がエモすぎる。進行形で事態と心が引き裂かれていくアンビバレントな語り。ここだけで泣けてしまう。そこだけ引用するか!


ねえ、助けてあげる(助けてあげる)。
帰れなくなったのでしょ(人間の世界へ)。
かんなぎの娘が扉を閉じたから(祖を怒らせ、荒れ果ててしまったと)。
知っているわ(知っているわ)。
この世界にも人間の過ちは訪れた(モンスターの心は冒された)。
やめなさい……。
どうして(どうして)?
森の力を使った代償に、ここは花咲かぬ地となる。
そして君も、飛ぶ力を失ってしまうだろう……。
それでもいいわ(それでもいいわ)。
だって(このままではあなたは)。
死んでしまうのだもの(あなたが好き)。
ああ、愛しているわ(愛しているわ)!
この命のすべてをかけて(この世のすべてを犠牲にしても)。
ああ、でもおかしいの(おかしいの)。
あなたが救われて嬉しいはずなのに(愛しいはずなのに)。
わからなくなっていく(消えていく)。
あなたへの気持ちが(心の春が)。
紫の花がしぼみゆくように(黒の森へと)。
水のせせらぎ(あなたのささやき)、
木漏れ日のぬくもり(あなたのまなざし)、
すべてが色褪せ、土へと還る(地を知る者へ)。
ああ、わたし(わたし)。
罰を受けたの(すべてを代償にした)。
わからない(わからない)。
この子の瞳の色の意味さえ(あなたの瞳によく似てる)。
もうわたしには(わたしには)。
愛の代償(あなたには関係のない)。
だめだ、泣いてしまう。()が付いている文は妖精の台詞で、()がない文は人間の台詞ですね。禁術『愛』を使って人間の恋人を助けたけれど、代償に心の春を失ってしまった。飛べなくもなったし森の力も失われた(自分自身を超えた範囲まで代償になるのは見たことがない)。
この部分はメインストーリーを追ってないとよくわからないところがあるかも。逆にメイン読んでるとこの過去の2人の危機感はよく分かる。2部妖精で似たようなことになったからね(ネタバレ)。
そして9話、クライマックスの絵作りが良すぎる。そこから最後まで、ずっと気持ちいい結びの時間。
自分は先に外伝1とメインストーリーを読んでたのである程度話を掴みやすかったけど。わりと必要な前提知識が多い回なので注意。
王国4th 9
10話構成ながらプロットが濃密で、かつ描写もシビアなのでかなりヘビーな味わい。
作中でもっともモンスターとの融和が進んでいる王国だが、だからこそなのかモンスターが人間社会に馴染むことの大変さをとても繊細に描いている。癒されているからといってモンスターと人間で共通の言語を持っているわけでもないのでコミュニケーションには苦労が伴う。単純な話、言語も種族も違うのだから、例えば言葉の通じない外国人とのコミュニケーションよりもずっと大変なはず。街は人間基準でデザインされているのでモンスターの体格・生態とは合わないし(バリアフリーの問題)。過去、ここまで細かな部分まで踏み込んだことはなかった。
なにより異なったのは学習あるいは人生のペースとでもいうようなもので。試行錯誤のサイクルの速さが人間とあまりにも違った。おそらくこれは人間の得意分野で、これを先鋭化させることで生き延びてきた、ある意味では武器とも呼べるものであり、それを他の生き物のそれと比べるのは酷な話だと思う……というのは蛇足で。
問題はその違いの大きさだ。程度の問題で。あまりにも差が大きすぎて逆に存在を認識できなくなるほどだった。あまりに大きな感覚の違いに改めて種族の違いを、相互理解の難しさを感じた。
実際、パドベルはモンスターと自分との大きすぎるペースの違いの存在を信じられず、モンスターたちが動かないのはやる気がないからだと断じてしまった。実際はモンスターたちはやる気がなかったわけではなく、ただただ活動のペースがゆっくりなだけだった。パドベルの展開する論理には大きな瑕疵がなく、読み手である自分もパドベルに共感しながら読んでいたので、この展開には唸らされた。ここまで違うのか、と。ここまで違うなら気づけないよ、とも。
最終的にはこれらの困難を乗り越えてハッピーエンドに収束する。ハードルが高いからこそ乗り越えたときの喜びもひとしお。サプライズとして、イベストの枠を越えたシャペルルルの魔法絵本の伏線回収もあり。シビアながらも驚きと喜びに満ちたお話でした。
機械の国
機械1st 9
空2みたいな身分違いの話……ではなくて。身分というか貧富の差をテーマにした話。
親の心子知らず(あるいはその逆)的なすれ違いの冒頭は定番なだけに強い掴み。そのすれ違いを紐解いていくとそこには如何ともしがたい貧富の差があって、さらにそれが半ば階級として固定されつつあることが分かる(裕福側の家長クラスの人しか階級の存在を認知できない)。貧乏だから成長できない、成長できないから貧乏みたいな負のループができるまでになっている。
端的に言えば貧富の差が生んだ階級を越えていく話。言葉にすると非常にシリアスな話だが、メルストの手にかかるとここまでポップな読み味になるのですごい。近代社会の宿痾みたいなテーマで強度のある内容。
エッタが天才っぽいのでトーリスくん・デイヴィッド家と協力すればいろいろ改善していく気がする。最終話で示される「灯」というモチーフが良すぎた。
機械2nd 7
いまいち焦点が絞りきれてない印象。メインの筋はカルメンとジルの関係性だと思うけど。その筋にそこまで絡まない登場人物や設定が多い。
カルメンジルじゃなくてニコラとアンリに集中して読んだらまた違う味があるのかも。
ユニストがなんかティーン向けの少女マンガみたいなテイストになってる。イベストでもカルメンとジルは妙に漢字が開かれたテキストになっていたのだけど。あれは昔の子どもの頃の関係性を維持したいという気持ちのあらわれなのか。
というか2人以外にも全体にひらがなの多いテキストで。1stに引き続いて経済格差的なものを表現してたりするのだろうか。
機械3rd 10
いろんなテーマが重ねられているが、個人的にまとめるなら物語と人生と浪漫の話。
エレキ2ndとはわりと近しい話だが、あちらが(退屈に対する)娯楽全般を扱っていたのに比べて、こちらは娯楽の中でも物語にフォーカスを当てている。
魔法2ndくらいに筋が入り乱れていてはちゃめちゃなのだが、この混沌がいつの間にか自然にまとまっていくのだから不思議だ。
基本お祭り騒ぎのようなノリながらも核心的なこと……人間が生きる理由についてはしっかりと描写できている。クライマックスのひとつである14〜15話のシリアスさにまったく違和感がないのがその証拠だ。たかがゲームの勝敗に自分のすべてを賭けるなんて、劇的さを求めて落ちていた銃を手に取るなんて馬鹿げてる。でも彼らがそうしてしまうことに納得できてしまう。今まで彼らの人生の悩みをずっと見てきたから。
物語のいろんな効用や付き合い方について触れられる。ささやかなものからシリアスなものまで。読み手側だけでなく書き手側にとってのものも描かれるのがユニークかも。
数あるイベストの中でも一番メッセージ性が強いイベストだと思う。フリーデはおそらくあらゆる(物語の)読み手の象徴で。作中での呼び名「フー」(=who)は、彼女に誰を重ね合わせてもいいようにするための仕掛けだ。物語に触れ浪漫に目覚めたフーは自らの殻を破って広い世界に飛び立っていく。
他のイベストはある程度、その物語自体のおもしろさや完成度を意識しているが。機械3rdももちろんそれらへの意識はありつつ、しかし一番はこの物語の読み手を、つまりメルストというゲームのプレイヤーのことを意識している。ここに明確に優先順位を付けていることが。プレイヤーのことを一番に意識していることがこの物語の特異な点だ。
物語を通して人を救おうとしている。なにかポジティブなものをもたらそうとしている。それはたぶんメルストがゲーム全体をかけてやろうとしていたことで。機械3rdはそれを1イベストでやろうとしたのだと自分は思っている。
だから自分の機械3rdに対する感想も、メルスト全体に対するそれと同じになる。おれはこの物語を、物語の在り方を尊いと思う。
3rd最後の回で非常に気合いが入っている。(メルストの)未来が不確かだからこそ出来るうちにこういう話をしておきたかったのかもしれない。
この強力で象徴的な話数にジャモさんががっつり登場することが個人的に嬉しい。昔動物1stに感動して以降、イベストといえばジャモさん、みたいな印象が自分には少なからずあるので。
機械4th 8
政治の話……とすると広すぎるか、議会と手続きの話? 人によって共感するキャラが変わるかも。
政治の話だから基本的にはおもしろいのだけど、同時になぜかギャルゲみたいな味があって困惑。1枚目のスチルの出方がギャルゲすぎるだろ。初見時ビビったもん。

スチルだけ見たらギャルゲ。いつもはこんなじゃないですよ!
なぜ両者を混ぜたのか。政治の話だけだと固すぎると思ったのかな。ここまで手続きの話をするのも珍しいけど、ここまで(一時的にであれ)ギャルゲっぽくなるのも珍しく。なんにせよイベストの中ではキャラが立っている。
魔法の国
魔法1st 7
0から1を生みだすのが得意な人と1を100にするのが得意な人の話。たしかにユルエ(前者側)はそのうち後者側の技能にも習熟するだろうが。それでも終盤に見せたルスティの1を100にする技能の高さを見ると、いやなかなかこの差は埋まらんよ!?と思う。2人いいコンビだよ、安心して付き合ってってほしい。
魔法2nd 8
たしか自分がメルスト始めたときに開催してたイベント。アカデミーの学園祭という特定の時間&場所で、大量のキャラが、物語の筋が絡み合う。どっちも読んだことないけど、街(ゲーム)とかドミノ(小説)とかこんな感じなのでは。
展開が早く説明もそんなにない(現場感重視)のでかなり混乱するが、このハチャメチャ感はここでしか味わえない。常に何かしら事件が起こってる。ユニークさで言ったらイベストでも屈指。
そのわりに全体できれいにまとまっているのがすごい。小規模な話(ちゃんとサブタイトルが付いている)が複数集まった短編集みたいな構成で、そうでなくても話の筋が大量にあるが、友達というテーマで全体が見事にまとまっている。
魔法3rd 8
魔法1.2を踏まえたストーリーでキャラも大量に出てくるし、それらを抜きにしてもかなり筋書きが複雑。事前準備の大変さ(先に1.2を読んでおく)はあるけど濃密な味がする。
ガチでギリギリまで精神的に追い詰められる人が出てくる。あまりに雁字搦めすぎる。一時的とはいえメイン2部並みのシリアスさ。
メインの筋はヴェヒター家の兄弟で、はちゃめちゃに重い関係性なのだけど、かなり境遇が複雑で周辺情報をしっかり整理していかないと彼らの心の動きについていけない。
個人的にはヨルスウィズがかっこいいお話だった。教師すぎる。
砂漠の鳥の目でも複数人体制だからな。ヴェヒター家の使命は一つの家が背負うには重すぎるよ。不干渉の条件もキツすぎるのでもう少し緩めてもいいんじゃないか。最後、シリアスをハッピーに反転させる手腕は見事でした。
魔法4th 8
当時事前知識ゼロで読んでメインキャラ周りの人間関係の独特な味に困惑した記憶がある。ユガラボに事前に押さえておくべきユニストがまとめられているので初見時は要チェック。
いやでもやっぱこのイベストの人間関係変な味するよ。ホルディアとヴィルクリヒの主従関係がメインの筋だけど、イベストの個性としては周辺の人間関係の方が強いかも?
魔法2,3と比べると小ぢんまりして感じられるが、あれは魔法2,3のスケールが特別に大きかっただけ。全体にバランスよくまとまっていると思う。ホルディアとヴィルクリヒの2人が明らかに一際苦労&努力しているので、2人が報われてよかった。
動物の国
動物1st 10
短い分量にメルストのおもな旨味がみんな詰まってる。ミクロとマクロのバランス感覚が良すぎる。1stらしく全体にあっさり目の質感でスルスル話が進んでいくが、それでもおもしろいのはプロット・構成が完璧だから。
おそらく制作陣も出来に自信があって、だから動物1stがメルストアニメの国別話数のトップバッターに選ばれたのだろう(アニメの2話が動物1stだった)。自分も最初に読むイベストを勧めるとしたらこれになるかな。メルストの基本の味というか方向性が掴めるはず。もちろん気合いがあるなら実装順で全部のストーリーを読んでほしいですが…。ガルシャンが渋かっこいい。
動物2nd 9
ミュージカル風でbgmもセリフもそんな感じ。ミュージカル自体に慣れがないと読んでてちょっと恥ずかしい気持ちになるが。それでもミュージカルの形を取ることで内心をはっきりと言葉にできるみたいな側面もあり。そして言葉を音楽に乗せるとやっぱ熱くていいなと思ってしまう(ここは自分で脳内補完するのだが、テキストがちゃんとリズムに乗ったものになっているので補完しやすい)。
非常に凝った構成をしていて、初見だと筋を掴みきれずに感動するシーンで感動できない可能性がある(ユガラボに解説あり)。この構成をどう見るかで評価が変わるかも。他にも一番大切な前提情報が最後に配置されていて、これをありがたい誘導と取るか意地悪な隠し事と取るか。
あとはセレナにどれくらい共感できるか、というのもかなり個人差が大きそうな 周囲の目を気にするかどうかって人によってかなり変わる気がする。
幸せになるのはこれからや〜!というところで話が終わってしまうので、もうちょっと続きを書いてくれよ〜とも思った。ここからが一番美味しいのに! 読み終えたらぜひ続けて登場キャラのユニストを読みましょう。
動物3rd 8
物語を収集・保存して、それを社会に役立てていくというオルダンセンたちの活動がそもそも尊いよね。
物語は時代に合わせて形を変えていく、というところまで描いていて流石だと思った。
砂漠2、死者2と同様に、常に誰かが誰かを思いやっている優しい話だった。好き。作中では一夜の出来事で、ずっと夜を舞台に話が展開するので夜中に読むといいです。ティミッドくんがかわいすぎ死。ちゅわわ〜!
動物4th 7
鹿族と狼族は対立しているが仲が死ぬほど険悪というわけでもなく 近づきすぎて喧嘩にならないよう距離を置くという、ある意味では大人な付き合いをしている。
そんな感じの距離感なので、メインキャラたちは種族の垣根を越えて交流しているが、そのことが他の村人からめちゃくちゃに糾弾されるということもない(たしなめられはする)。なのでそこまでミクロとマクロが紐付かず、全体にこぢんまりというかあっさり目に話が展開する。
一番ユニークなところはシャトランとヴィリオのカップリングかも。シャトランは誰に対してもああいう態度なのかもしれないが、それにしても…… シャトランの立ち絵がセクシーなのもあってなんか……ね?
小篇
小篇 6
ギャグ回。ミルリトンという狂人を見物できる。
小篇2 7
原点回帰的なシンプルな味。おれはアシュレイ姉も言葉足らずだったのではと思っちゃうタイプ。
小篇3 8
ホテル・エルシアムの味をマイルドに軽やかにした感じ。音楽とかパフォーマンスには精神状態がそのまま出ると思うから演者の気持ちを信じられるよね。メレーニアの演奏から屈託がなくなると素直によかったなと思える。基本楽しいし、完全なハッピーで終わるので読後感良。
小篇4 9
ジェラルドもだけどジェットが主人公すぎる。彼の苦悩がメインでのユウくんのそれとかなり被ってるんだよね(そんな精神性のキャラがそうそういるか?と思うのだけど、ユニストで彼の性格についてフォローされるので隙がない)。
ということでけっこうメインに近い味。5話構成で出せるシリアスさかよ。心を持ったから離れたくないのに、同じ理由で離れないといけないという捻りの効いたプロットもいい。アンティークの心の由来もユニストで触れられてるし。完成度高。
小篇5 9
これはね……少数民族2と同じですね。別に道中がすごくよかったわけでもないのに、終わり方が鮮やかすぎて感動しちゃうという。ほんの少ししかない過去描写がめちゃくちゃ効いてて。思いの重なりを感じさせる。こんなことのために研究してきたわけじゃないのに! そうだよな。ジンニーヤもだよ。
マジで魔法のような読後感の良さ。職人技なのかな。
小篇6 7
シン プル 。
小篇7 7
急に禁術まわりが掘り下げられる。おれの厨二心がどうしても疼いてしまう。しかし魔法の国セキュリティガバガバすぎだろ。ワンチャン政治問題に発展するのでは。
設定が強く、いくらでも盛れたと思うけどミニマルにまとまっている。アンと鈴でもう少し積み上げるものがあったらなとか思ってしまった。鈴がアンの一家に来たいきさつとか知りたかったな。
小篇8 9
レナータが大人すぎる。プレイヤーにとっては顔馴染みであるゴルドスカウト勢が活躍すると嬉しいね。
メインキャラの一人であるクロウラが星読みで、だから少数民族1あたりの味わいがあるのだけど、そこまでシリアスな出来事は起こらない。誰も今日が特別な一日だったなんて思ってない。イベストの中でも飛び抜けて平和な、日常の話なのに、なぜこんなに心が震えるのか。きっと日常を豊かに過ごすヒントが詰まってる。この味を狙って出せるライター陣には頭が上がらない。
個人的には構成の良さはあると思ってる。どんなささいな出来事たちでもきれいに組み合わせるとすごくなる。……んじゃなかろうか。あとはそもそも、ささいな出来事をも捉えて大切にする感受性(この段落自体は蛇足)。
あとは雪の国はbgm良いので全体的にバフがかかります。
ルドイドくんユニストもぜひ読んでね。
小篇9 7
思ったよりも繊細な味だが。エルさんちょっとめんどいなとは思ってしまった。子どもに負担かけるのよくないよなという規範意識が自分はちょっと強いのかな。
小篇10 7
オルコ回。よくよく考えたら年の差がすごい。オルコもいい加減めんどいが、20数年も特に大きな問題がなかったならまあうまくいってたのかなとも思う。エレーナが健全すぎる。癒術士やれ。
外伝
外伝1st 10
5話構成だけど感動。メイン1部の味が、メルストのコアの一部がこの分量にギュッと濃縮されている めちゃくちゃに高い理想の話。
ライアンが主人公すぎる。最後、それなりに上手くまとまったのにそれでも足りないと、もっと上手くできたと思ってしまうライアンがグサッと刺さる。
外伝2nd 8
なかなか感想が出ない。でも最終的にはお互いに歩み寄れて、ほっこりした。掴みきれない道中の展開はそれこそユーレイめいていておもしろかった。
ユニストで、もし運命を物質化できたら物理的に破壊もできるやん!とぶっ飛んだことを言っていておもしろかった。科学1stからだけどエアハルトさん好きなんだよなー。
外伝3rd 10
好きな話の多い空の国関連ということで期待&警戒していたけど結局ぜんぶ貫通して刺さるという。
中盤あたりを読んでいるときは、今回の設定の(悲劇的な方向への)ご都合感に困惑し、怒りさえした。だってこんなのなにかの手違いのような、世界のバグのようなもので。死者の国がこういうルールで回っている以上、テルジュアが幸せになるには死者の国から出るくらいしかない。テルジュアの心が自罰的な向きに振れたのはただの偶然というか彼女の徳の高さによるもので、これが例えば自分だったなら容易に神を、世界を憎む方向に振れていただろう(…だからテルジュアが自分の感情の正体に、怒りに気づいたときにすごく共感してしまった)。
そんなこんなで悪い方向の出来過ぎ感を感じていたのだけど、終盤でそこらへんを全部回収してくれて…。あの地獄のような境遇から、なんの違和も残さず見事にハッピーエンドへと昇華してみせた。いやー完敗。完敗です。
モンスターは死者の国特有の自浄作用のようなものだったし。信仰の強い国なので、そこからこぼれ落ちた人はどうするんだろうなとは思っていた。今までは夜の生きものやドリミオン関連でどうにかなってるのかなと思っていたけど。それ以外にもベテルジュスの神話とエクラムポルテムの働きがあったんだな。
そしてまたユニストが必須レベルの内容で。あの特別に強い思いを持っていた大工さんも回収してくれるんだ…! そして世界に光と熱を振りまくその後のテルジュアの在りようはもう神さまのそれで。言葉にならないすね。
外伝4th 9
こちらも空の国関連。ミシェリア周辺、特に守護団周りをフィーチャーした回。祭りの日の到来を楽しむためのアドベントカレンダー的なものを中心に話が回っていく。楽しもう楽しませよう、お互いにありがとう、というポジティブな気持ちしか存在しないほかほかなお話。
3がシリアスだったのもあって二つ合わせてバランスが取れている。というかどうやら当時は、3と4とその間の「メフテルハーネの16日間」を合わせて、テルジュアが世界を巡っていくという構成だったらしく(だからこちらのクライマックスにもテルジュアが登場する)。その全体の構成も含めてガチで神回という印象。今後も思うことになると思うけど、リアルタイムで体験しておけばよかった〜。
奇跡なんて本来はまったく存在を信じられないものなのに、この2篇ではなんの違和感もなく自然に奇跡が描かれて、読んでる自分もその存在を自然に受け入れてて なかなか気づきにくいけど奇跡の存在を信じられるって、信じさせるってすごいことだよ。
空の国の踊りってみんな空飛んで踊るんだな、という見た目の華やかさもあり。あたたかく充実した読後感。これでイベスト時空終わってもええなとか思っちゃいました。
蛇足ですがベテルジュスとベテルギウスって国によって名前が違うだけで同一の存在だったのかな、とも思った。というか(名前的に存在が重ね合わせられているだろう)テルジュアが実際にあんな感じの存在に昇華したのだから、ベテルジュスもベテルギウスも実際に存在した人物なんだろうな。
外伝5th 9(10)
ここまでイベストを読み進めてきたプレイヤーへのボーナスステージみたいなイベスト。全24話というおそらく過去最大のボリュームで、過去イベのキャラが多く登場する。
にしてもエレキ3rdと死者1stはズルいだろ。こんなん泣くやん。特にエレキ3rd組は事情が特殊なので、個人的にもなかなか彼らの未来を想像できなかったというか、なんなら他のキャラほどには実在を信じられなかったところがあったのだけど、今回他のイベストに登場したことで改めて存在を実感できて、よかったねえ…ってなってた。
自分は先に妖精4thを読んでいたので、渡り蝶の設定が初めて大きく扱われたのはこっちが先だったのか、と思った。魂を半分置いていく、なんて離れ業のおかげもあるけど妖精4thほどには渡り蝶関係で理不尽さを感じなかった。
大ボリュームもありレネのことがかなり掴めていたので、彼女が感情を漏らす場面の威力がヤバかった。
長編でよくあるのはそれまでの積み重ねが最後に爆発する構成だと思う(たぶん)が、外伝5に関しては個人的にはそれまでの積み重ね自体が本編というか大切なところで。18話まででもすごく充実していて豊かだった。実際にゲーム内世界に住んでる感じがして、それだけでも最高だった。
メルストはイベント報酬だけはきっちり貰ってたので、このイベントも(シナリオ飛ばして)プレイだけはしていたのだけど、そのときからUIデザイン凝ってるなとは思ってて。で今回シナリオ読んだ結果、案の定デザインと強く結びついたお話だったなと。最後の24話がとても短くて、これはマップ画面でのテキストも含めての24話というか最終話だったんだなと確信しました。ということで評価点の括弧表記の説明なんですが、シナリオだけなら9点、マップ画面含めた総合的なゲーム体験としては10点満点という感じです。
読了後に各種ユニストを読んで、イウロシュアとレネみたいな関係って思ったよりこれまでも描いてきてたんだなと思った。それなのに妖精4thだけ拒否感出たのは(渡り蝶の性質に由来した問題の)被害の程度がエグかったからだろうか。家族単位とかじゃなくてあれはもう国の問題にまでなってたから。
外伝6th 7
ギャグ回。昔馴染みというか同窓会みたいなメンツ。最後爆発するよな? な? と思っていたのでちゃんと最後に爆発してよかった。フェスカがすごくいいやつでずっとまともなこと言っててよかった。
外伝7th 7
ファッション回。スチルがハマっててよかった。ファッションを意識することの効能のようなものがもっと描かれればよかったなとか思わなくもないけど。ラハティアとユフィーゼはもうその段階にないから。そういう話するなら陰キャみたいな違うキャラが必要だったろうなとか。
外伝8th 7
めちゃキャラが多いのとテーマが芸術関係ということでいろいろ大変そうではあった。 芸術をテキストだけで表現するのは無理があるんだよな。どうでもいいけどロザリナが好き。
外伝9th 7
性能的にもかなり愛されていたであろうロスコーくんが大きく扱われていてよかった。
外伝10th 9
ようやくトラストの過去が描かれる。雪3rdがトラストのせいで個人的にあんまり……だったので不安だったが。問題なく楽しめた。
トラストは父の選ばなかった道……家族を選んで。だからトラスト父と同じように、家族ではなく医学の道を選んだラヴィエチルとは対照的な存在。そんな両極というか両輪な2人がいるなら、まあ辺境調査隊は安泰かなとか。
もうひとつの軸としてグレアくんの話があり。そちらでは尊厳をテーマとしている。彼がトラストとの親子関係を拒むのはそれが対等な関係じゃないからで。彼が他人との対等な関係を望むのは、他人から施しを受けなければ生き延びられなかった過去の悲惨な境遇があるから。頭を下げて施しを受ければ身体は生き長らえるが心はすり減っていく。まあそれらの問題は基本的には雪の国の過酷な環境に起因してるんだけど…(だから比較的豊かな環境の王国にたどり着いた場面を描いたグレアユニストは、この問題の解決篇・グッドエンドとして筋が通っている)。
トラストの親や知人、スノンスノンにスノークス疼など、いろんな筋が絡まった複雑な構成と難しいテーマを持ったヘビーな話。個人的にはここで描かれた尊厳というテーマは、メインストーリーで取り上げるのもアリなくらい強いテーマだったんじゃないかなと思う。
特別篇
特別編1 10
メルストではあまり見ないテイスト。演出が凝っている。
構成が優れていて、ほぼほぼ劇場版といった感じ。
キャラの多いメルストにおいて、1キャラ(2キャラか)をここまで深掘りするのは珍しい。ノーフィール、ゼア、2人の心の動きをきちんと描いてくれるので、クライマックスの対決にも自然に没入できた。
特にゼアの、ノーフィールに執着するようになった理由がわりと共感できたというか納得できたので。よかった。
その2人だけじゃなくて妹たちも、そしてモンスターたちも充分に描写していただけて。感謝。クライマックスのあとにちゃんと妹ちゃんズとサイクロペジに出番が焦点が回ってきてくれて嬉しかった。
ゼアがね……ぽっと出とは思えないほどいいキャラだった。この一編だけで好きになってしまった。本編後にユニストも見て……いやあまりに隙のないいい人すぎる。万能ながら人間味もあり。彼がメインストーリーに絡まないのは主人公性が強すぎるからなのでは?と勘ぐってしまうほど。
ボドゲの設定がキャラの内心を露わにするギミックとして超ハマっていた。とにかく、ノーフィールの魅力を引き出す短編として完璧な出来だった。脱帽。
特別篇3(メフ展) 8
10周年を記念するイベント。元はメイン2部死者で登場したアイデアで(こちらはイベスト時空なので直接繋がってはいないのだけど)。メフテルハーネで起こった出来事……過去のいろんなイベストを象徴する展示を集めた展覧会が開催される。メルスト版万博みたいな感じ。各展示を巡ってそれぞれのテーマを考えていくうちにメインキャラであるキャットレディの抱える問題も明らかになってきて…?という話。
それぞれの展示≒イベストのテーマってそんな端的にまとめられるものじゃなかったりするし、キャットレディの抱える問題も心の問題で抽象的。どれもこれも抽象的で、形のないものの輪郭を捉えるような難しさが今回のイベスト全体にある。難しくふわふわした話をずっとしている。
ひとつひとつの展示のテーマを掴むのも大変だが。ルシェリーク、デルニエ、ビジュ&ライズルというメインキャラたちの人間関係も複雑で。一見したときの楽しさとは裏腹にかな〜り難しく分かりにくいイベスト。
構成上もやもやする点があり。わりと序盤に問題の根本のひとつがルシェリークの体質にあることが示されるのだが、それ以降はまったく触れられない点。触れられないということは解決しないということで、まあずっともやもやすることになる。
それ以外では恋と生きがいの違いについて主に語られるのだけど…。キャットレディが恋と生きがいを混同する理由には前述した彼女の体質の問題も絡んでいて。だから結局、体質の問題が解決しないと気持ちよくないよね!なんて自分は思ってしまう。一応、ユニストでそのうち解決しそう、ということは描かれるけども。
キャットレディ=ルシェリーク一人だけが命の、死の重みに向き合っている。常に命を天秤にかけて考えるので、あらゆる選択が極端なものになってしまう。未来がないから現在しか見ないんだし。そんな状態の彼女に一般論の説教かましたって意味ないよ。まず命の危機を取り去らないと。倫理よりも命の方が重いんだから。
余命少ない彼女がそれでもやってしまう怪盗、セキュリティの突破。ならばそれは命よりも大事なもの、あるいは生きるために必要なことで。それは即ち生きがいだよね、ということで生きがいの大切さを描いた話でもあるのだけど。それに倫理を対置させているのが難しいところで(怪盗、セキュリティの突破は他人に迷惑をかけてしまう)。
自分が読み違えてるところもあるかもしれない。読んでる最中ずっと難しい〜って呻いてました。メルストにしては珍しく?詰め込みすぎな話だったのかも。先に「展覧会と怪盗」という絵面だけ決まってたのかな。
特別篇4 10
イベスト全部読んでからたどり着きました。最高。ちゃんと砂漠1stからみんな駆けつけてくれるの……。少数2ndや機械3rdなど節目のものはちょっとだけ目立つようになってた気もするし。
イベスト時空もメイン時空と同じ重さを持った存在としてクライマックスとエンディングを用意してくれたことが本当に嬉しい。なんならこっちの世界の方が愛着あるという人もいるでしょう。冒頭からクライマックスでずっと泣いてたわ。旅人ユウくんにもちゃんと救いがあって。全部すくい上げてくれる。本当にありがとう。
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