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Portal(2007)感想・評価

 空間上の2点間を自在に繋ぐことのできる銃を使って謎の施設からの脱出を目指す一人称視点パズルプラットフォーマー&アドベンチャー

 

 

www.youtube.com

 

評価:9/10

プレイ時間:4時間

 

 本作がインディーゲームかと言うと微妙なところではあるが…。Steamを運営するValve発のゲーム作品だけど、2005年にDigiPen工科大学の学生が開発した『Narbacular Drop』というゲームが元となっている。この時点で「3Ⅾ空間に2つのワープホールを作る」というコアのアイデアは形になっていた。『Narbacular Drop』を見て感銘を受けたValveはその開発チームをまとめて雇いあげ、ゲーム性を発展・洗練させて『Portal』を作り上げたという。

 リリースはValveからだが、開発は小規模な『Narbacular Drop』のチームが学生時代から引き続き行っており、そういう意味で本作をインディー作品と位置付けることができるだろう。

当時の記事に「10人を超えることはなかったValveの小さなPortalチーム」という記述がある。)

 

 個人的に特によかった点を2つ。ひとつは「空間を繋げるワープホール=ポータルを自在に運用する」という根本のゲームプレイがおもしろいこと。もうひとつはシーケンスブレイクを組み込んだ魅力的な物語構造だ。

 

 前者は説明不用として後者について少し。要するに『メトロイドフュージョン』みたいなストーリーの構造ということなのだけど、伝わらない気がするので説明。もともと上位存在の指示に従って行動していたところ、あるタイミングでその指示・想定を外れて自分の意思で行動するようになる、という構造が『メトロイドフュージョン』や『Portal』にはあります(かなりネタバレですが)。

 シーケンスブレイクとは「順序を無視したショートカット」を意味する言葉で、主にRTA界隈とかで使われている(厳密な定義のある用語ではないと思う。たぶん)。特定の物語構造を指すものではないのだけど、「(上位存在の)想定から外れる」という構図が似ているので今回、物語の構造の形容に使ってみています。

 

(というかこういう構造ってそれなりに存在するようにも思うので、すでにジャンルみたいな感じでそれを指す言葉があるような気もするのですが。自分が知らないだけかもしれない。もしそういう意味……「シーケンスブレイク的な構造を持つ物語」を指す言葉がすでにあったら教えてください。)

 

 シーケンスブレイクには上司の命令に背く緊張感……なにか悪いことをしているかのようなスリルがあるのと同時に、プレイを通じて自分の意思を通すことでプレイヤーとキャラクターを強く同一化させる効果がある。キャラクターが周囲から求められているロール(役割)から脱するさまは、キャラクターが改めて自我を獲得したようにも見える。

 自分はたしか中学生のころに『メトロイドフュージョン』をプレイし、終盤のストーリー展開に本気で感動したのだった。おそらくシーケンスブレイクの原体験である。

 

 上記の2点に加え、徐々に難易度を上げていく丁寧なレベルデザインとプレイヤーの興味を惹く環境ストーリーテリングがあり、総じてゲーム作品として非常によくまとまっている。4時間程度のボリュームでこの内容なら破格と言っていいだろう。

 

 

 

 ……なんて書いてきたけれど、個人的に一番刺さったのはエンディングの演出だったりする。(以下ネタバレ注意。未プレイ者はマジで読まないでほしい)今までケーキを釣り餌として主人公に指示を下し様々なテストを行ってきたAI、GLaDOS。望んだ実験結果が得られたので不要になった主人公を処理しようとするが、それを察した主人公に裏切られ破壊されてしまう。……そんなAIの彼女は実はまだ生きていて、自らを破壊した主人公にケーキを用意し、歌を歌いながら祝福してくる。このような倒錯した本作のエンドクレジットのシーンに自分は情緒をぐちゃぐちゃにされてしまった。

 

 

よくやりましたね。

個人ファイルに書いておきましょう。

「大成功」と。

私は本当に

満足しているのですよ。

Aperture Science

私たちには力があるから、

すべきことを やらねばならないのです。

私たちみんなの ために。

死んだ人々はあきらめましょう。

 

科学の進歩に

失敗は付き物です。

ケーキがなくなるまで、

ひたすら試し続けるの です。

科学はそうして進歩していくのです。

そして、すばらしい銃が作られる。

生きている人たちの

ために。

 

(中略)

 

あなたは 私を 裏切って 殺し、

ばらばらにして、

火の中に放り込んだ けれど。

燃えるのは苦しかったけれど、 私はあなたの成功が

うれしかった。

このデータのおかげで、

すばらしいコードができました。

ベータは終了、

予定通りのリリースです。

だから、私は、燃やされてよかった。

たくさんのことが分かったのですから。

生きている人たちの

ために。

 GLaDOSの歌「Still Life」より抜粋。

 

 

 意味がわからない。GLaDOSについて、もともとはなんとも思っていなかった(名前すらクリア後まで知らなかった)。ことあるごとにプレイヤーに話しかけてくるが、そもそもパズルを解くことを優先して話を聞いてないときもあった。レベルをクリアしたらケーキをくれると言いながらぜんぜん寄こさないので口だけ野郎とは思っていた。途中から明らかにプレイヤーのことを殺そうとしてきていたけど、単純接触効果のたまものか彼女独特のユーモアのセンスによるのか、彼女のことはそこまで嫌いにはなれなかった(悪いやつとは思っていた)。レベル19でのシーケンスブレイクも、ただ自分が死なないためにやったことで、最後にGLaDOSを破壊したのだって同じだ。自分はただ生き延びようとしていた。

 そんな主人公を、自分を破壊したプレイヤーのことを彼女は心から祝福する。理由を問うと「生きている人たちのために。」と言う。なんなんだ。展開に理解が、心が追いつかない。殺したと思ったら生きていて、怒られると思ったら褒められて、悪いやつかと思ったら根(だけ)はいいやつっぽくて……もう意味わかんねえよ~~~(号泣)

 ギャップがすごいんだよね。それは音楽にも言えて、上述したように歌詞は率直でシリアスなのに、楽曲はめちゃ明るくてポップなんですよ。自分はこういうのにどうしようもなく弱いんだな。

 

 もともとSFとか好きなので、科学技術を信頼するスタンスが好きなんですよ。エンディングでのもろもろの急転換にこの科学への信頼と、さらにシーケンスブレイクからの「親離れ」の構図が重なって、本当に情緒がイカれました。

 

 う~ん、こんなゲームとは思ってなかった。なんかもっとコンパクトにまとまった、優等生的なゲームだと思っていた。いや実際それは合ってたんだけど……こんな尖った、刺さる部分のあるゲームとは思っていなかった。

 自分に特別刺さっているだけかもしれない。レビューを見てもゲームデザインの革新性やパズル&レベルデザインの出来の良さを取り上げているものが多い。し、たぶんValveもそこをセールスポイントにしていると思う。でも自分にとっては本作は「エンディングの演出のゲーム」みたいになってしまっている。そんな一点突破みたいなゲームあるか? いやもちろん、どんでん返しを機能させるにはそれまでにいろいろなものを丁寧に積み重ねておかなければいけないわけで、だから道中のテリングももちろん優れているのだけど。

 

 名作だと思う。2003年には『メトロイドフュージョン』も『メトロイドプライム』も出てるのでゲームとして超・革新的とは思わないけど、しかしプレイヤーに与える印象の強さで言えば間違いなくトップクラスだと思う。パズルゲームとしてもよく出来ているけど、どちらかといえばナラティブというか独自のストーリー体験の方が印象に残っている。パズルファンはもちろん、なによりSFのファンにおすすめしたいゲームです。『Half-Life』シリーズと世界観が繋がってるらしいので、そちらを先にプレイしていたらまた印象が変わったかもです。




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