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Dear Esther: Landmark Edition(2017)感想・評価

 無人の島を探索しつつ、断片的に語られる奇妙な物語に思いを馳せるアドベンチャー

 

 

www.youtube.com

 

評価:8/10

プレイ時間:2時間

 

 プレイにあたりこちらの日本語字幕データを使用させていただきました。

rind.gozaru.jp

 

 大元は2008年にポーツマス大学の研究室が開発した『Half-Life 2』向けのMODだったらしい。2012年に商用としてリメイクしたものがリリースされ、2017年にさらにUnityでリメイクされた「Landmark Edition」がリリースされた……というのが大まかな経緯。たぶん。だから作品の根っこのアイデア自体は2008年には存在していたけど、いち作品として正式なリリース年を決めるとしたら2012年になるのかな。だいたいの人がDear Estherを2012年の作品として扱っていると思う。

(蛇足。2012年のDear EstherはSource Engine製。The Beginner’s Guideの作中で言及されていたゲームエンジンですね。Valveが開発したエンジンらしく、これで初めて製作されたゲームが同じくValveによる『Half-Life 2』(2004年)だったらしい。3Dグラフィックのレベルを引き上げた有名なゲームエンジンなんだそう。)

 

 この作品が有名なのはその斬新なゲームデザインによる。先ほど触れた『The Beginner’s Guide』なんかが括られる「ウォーキングシミュレーター」というジャンルを確立させたのが本作らしい。

 プレイヤーにできることはただ3Dのマップを歩くことのみ。歩いているとたまに知らない男によるナレーションが差し込まれる(彼の語る物語にEstherという名前が登場する)。プレイヤーは断片的な語りと島の景観から奇妙なストーリーを想像する。

 

 ウォーキングシミュレーターについて話すなら、まず散歩のおもろさについて話さなければならないのでは。散歩とは歩けば歩くほど新しい視覚情報が提供されるゲームである。嘘、別にゲームではないけれど、散歩のおもしろさのベースが「変わり続ける景色」にあるということは言えるのでは。

 未知の景色とはそれだけで魅力的な報酬たり得る。自分がエルデンリングやブレワイのプレイを止めたのはマップ全体をある程度踏破したタイミングだった。ゲーム内世界の景色を見尽くしたから満足したのだ。

 

 もちろん人によって感じ方は違うだろう。でも自分にとっては見たことのない景色とはおもしろいものであり、だからそれが得られる「移動」も十分楽しめるゲームプレイとなる。

(一応、ここには「景観が充実している」「ゲーム内世界が視覚的に作り込まれている」という前提が存在するのだが。)

 

 本作には幻想的な景色と音楽が揃っている。その時点で個人的にはある程度満足できるのだが、加えて解釈の難しい、掴み所のない物語も存在している。よくわからないからこそ反芻し考えたくなるし、他人の考えを聞いてみたくなる。そんなふうにして本作はじわじわと人気を広げていったのではないか。

 ストーリー自体は……正直よくわからんです。でも一応、ゲームの最後にはそれらしい演出があって、ストーリーが掴めなくても演出で満足させられてしまう。今までに登場した意味深な名前や情報が集約されていてエンディング感が醸されている。そもそも舞台も序盤から気になっていた赤い光のところだし。

 

 一応、悪いところとして道に迷うことがある(迷わない人もいるだろうけど!)。迷ってずっと同じところをぐるぐるしているとさすがに走ることもできないゲームデザインに文句を付けたくなってくる。移動の報酬が視覚・聴覚含めた新しい情報だとして、道に迷っている(=新しい道が見つけられないでいる)ときは新しい情報、つまりゲームプレイに対する報酬がなにひとつ手に入らないのだ。極端なゲームデザインだけあって取扱いには慎重さ・繊細さが必要だなと思いました。

 

 雰囲気のよさと意味深さ(よくわからなさ)、なにより「プレイヤーにストーリーを考えさせること」に特化したゲームデザインによってコンパクトながら強い印象を残す作品です。自分は意味がわからなくても雰囲気がよければ高評価しちゃうのですが、前提として人を選ぶゲームではあると思います。でもまあ1~2時間でクリアできるので、ちょっと散歩に行ってくるくらいの軽い気持ちで触ってみるといいと思います。




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